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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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取引

「オッラァ!!」


 迫ってきていたゴーストをクレイが盾で殴り飛ばした。


「おおっ」


 なんだそれ、なんのスキルだ??


「ふーっ、あっぶねーな、おい」

「なんのスキル?それ」

「いや、これはスキルじゃなくてノクターンが魔除けの陣を描いた札を貼り付けてくれたんだ。ほれ」


 盾の内側には小さな護符が貼られてた。

 ノクターン、そんなこともできるんだ。


「ノクターンから預かってる。はい」

「ん」


 差し出された護符を受けとる。


「これをポケットにでも入れとけ。ゴーストを物体化する効果と、ゴースト自身が触るのを嫌がるらしい」

「へぇー、助かる」


 目の前でクレイが実演して見せた。

 ちょうどよく近付いてきていたゴーストに盾を翳すと、ゴーストは「うわ」みたいな顔のあと距離をとった。

 三角形しか描かれてないけど、どんな魔法なんだろう。


 早速折り畳んでポケットに収納。


「おれはこれからドルチェット達にこれを配りに行く。もう呪いが進行して盾を飛ばせなくなってるから、自分の身は頑張って守れよ。まぁ、近くにいたら助けに行くが」

「わかった。クレイも気を付けて」


 拳をぶつけて解散。


 走りながら再び狙いを定めて矢を射っていく。

 ボヤけが強くなってきたせいで、目をギリギリまで細めないと見えなくなってきていた。


 それでもなんとか飛んでくるゴーストや尻尾を回避しながら火属性付与の矢で攻撃をしていく。

 効いてはいるらしいのだが──実際悲鳴をあげたり仰け反ったり怒ったりしている──、目に見える範囲、というか全体的に傷などが見当たらない。


 功太が光で貫いた額にも、ドルチェットが焼いた腹も、肌には傷ひとつない。


 演技なのか?


 思わずそう思ってしまったとき、遂に恐れていた事が起きてしまった。


 ふっと、まるでコンセントを抜かれたゲームのようにブツリと、景色が消えた。

 突然真っ暗闇の世界になってしまい、思わず、「あ…」と間抜けな一言か溢れた。


 それだけならまだマシだった。


 すんでで見えたガブリエリスの姿は、例の目が光る攻撃に入った瞬間の光景。


 誰かの悲鳴と怒声の後に激しい攻撃音。


「うぐっ!!?」


 状況を理解する前に何かに弾き飛ばされて、受け身をとる前に激しく全身を地面に打ち付けた。

 頭を庇うことも出来ず、強かに打ち付けたことで軽く意識を飛ばしかけた。


 ズクンズクンと全身の激しい痛みに耐えながらも立ち上がろうと苦戦していると、ガブリエリスの笑い声が聞こえる。


『ははっ、ははははははははは!!!どうだ!?見えまい??動けまい!!くくくっ、所詮勇者といっても人間。このまま動くこともできない虫のように一匹ずつ擂り潰してやるわ』

「…っっ」


 こんなところでまさかの全滅!?


 ガブリエリスが移動しているらしい音が聞こえる。

 ズルズルと、ゆっくり移動している。


 体が動かない。

 まずいまずいまずい。このままだとガブリエリスの言う通りになぶり殺される。


 その時ふと思い浮かんだ。




 “ここで死んだらどうなるんだ?”




 いや、それは前に聞いた。

 シャールフの話で、その時は村が消えたとか言っていた。


 でも俺が知りたいのはそこじゃない。

 勇者は一度死ぬみたいな話も知っているけど、今一番知りたいのはそれじゃない。


 俺以外の仲間が死んだとき、その時どうなるんだ?

 なんの問題なくリスポーンできるのか?


 わずかな希望を理性がそんなわけないと否定する。

 そうだ。楽観視してはダメだ。


 もし、もし、その死が反映されるとしたら?

 


 ぞわりと背筋が凍る。



 ガブリエリスの移動音が止まった。


 誰のものか、殺気らしき圧が押し寄せてくる。


『先ずは、この目障りな獣と女を潰さないとな。勇者はその後だ。念入りに潰してやる』


 獣!?

 もしかして今アスティベラードの所にいるのか!!?


「ぐっうぅぅううううーーーーっ!!」


 痛む体を叱咤してなんとか立ち上がった。

 だけど、見えない。


 何処を見ても、どんなに目を開いても、黒。


 こんな状態じゃ、闇雲に射ったところで当たるはずもない。

 何かないのか?この状況を打開できる“何か”は!?


 頼む。何でもいい。

 何かを引き換えにしても良いから…っ、






 “助けてくれ!!”













 声には出ていなかったと思う。



 強くは願ったが。






 だけど、この時の選択は間違ってなかったと思いたい。












 脳内に響く知らない言語がグニャリと歪んで入り込んできた。

 楽しそうな笑みを貼り付けて、この声は言った。








──願ったな? 貴様の■■■と引き換えに叶えよう。

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