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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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休憩

 買い物も済ませ、ノクターンにも食べれる物をと思い(魔力欠乏状態になると固いのを食べるのも億劫になる)、何か栄養満点で柔らかいものをと探しているとプリンのようなものを発見した。

 実際プリンではなく卵焼きの甘いヤツをプリンに似た形に固めてあるだけなのだが、これなら食べれると思った。


「……高」


 12マルダか…。

 だいたい3マルダ位かと思っていたけど、ここの世界ではデザートは高いらしい。

 でもノクターン辛そうだし。


「クレイ、買っていい?」

「いいぞ」


 二つ返事で許可が降りた。


 三十分ほど並んで購入。魔力補充薬が苦いからこれで口直しになると良いけど。


「じゃあ俺がこれ置いてくるよ」

「大丈夫か?まだ目が痛いんじゃないのか?」

「いいよ、さっきクレイに教会調べてもらったし、目も良くなった。それに多分俺のが時間短縮になるんじゃない?」


 目以外は完全復活したし。


「……。それもそうだな」


 クレイが納得した。


「じゃあ行ってくる」


 薬とプリンを持って出発。

 一応宝位指針に教会関係者を避けるに設定した。


「にしても凄いなここは」


 あちこちに巨大な歯車が回っている。

 水車とか言っていたけど、滝が止まらない限りは町全体にこの巨大な歯車から生み出された力を使ってさまざまな機械を動かすことができるらしい。


「ん?」


 空から影。


「おお!」


 大きな気球が山の方から谷の方へと飛んでいく。

 ガラガラと小さい風車の音を響かせながら四枚の羽を動かしながら空の向こうへと消えていった。


「かっこいいー」


 ドラゴンツアーも良いけど、ああいうのに乗って空を旅するのも良いな。


「まぁ、まずは全部の聖戦を終わらせないといけないんだけどね」








 宿について部屋の扉をノックする。


「ノクターン?…まだ寝てるのかな」


 クレイから預かった鍵で開けるとノクターンはまだ寝ていた。というかちょっと魘されていた。


「ケイケーイ」


 窓際にいたトクルが来る。

 お前余計なことすんなよ?っていう感じの視線が刺さる。


「うう…」

「………うーん、辛そう」


 額に手を当てると熱があった。


「…あ!そうだ」


 布を濡らしてアクピレの葉で撫で回してみた。

 手の甲に布を置くといい感じの清涼感。


 それをノクターンの額にのせる。

 少しは楽になると良いけど。


「これ落ちちゃったら直してくれる?」


 トクルに言うと頷いた。賢い。

 いい子だから木の実をあげた。

 ついでに指をかじられた。痛い。


「ここにデザートとか薬とか置いてあるから、起きたら教えてあげて」

「ケーイ」


 幻聴で『了解』と聞こえたから大丈夫だろう。

 扉を閉めて鍵を掛けた。





 皆の元に戻ったら一人欠けていた。


「あれ?ドルチェットは?」

「………」

「………」


 クレイとアスティベラードがある箇所に視線を滑らせた。

 釣られてそちらを見る。

 視線の先でドルチェットが柄の悪い輩を投げ飛ばしている途中だった。


 なんとなく察した俺にジルハが追加情報を寄越した。


「女の癖に大剣なんぞもって生意気だとおしりを触られたらしいです」

「…なるほど」


 今は投げ飛ばした男の股間を蹴りあげている最中。

 思わず股に力が入ってしまった。まったくもってあの男は自業自得だと思う。というか剣で切られなくて良かったね。


 気がすんだドルチェットが戻ってきた。


「ちっ、胸くそ悪ぃ。ちと早いが居酒屋いこうぜ!飲んで忘れてぇ!」

「痛い痛い痛い!!」


 ドルチェットはイライラしたままクレイの胸ぐら掴んで引っ張っていく。


 良かった。こっちに八つ当たりされなくて。


「行きますか」


 同じくほっとしているジルハとアスティベラードと共にドルチェットのあとを付いていった。








 居酒屋で枝豆タイムに入ったドルチェットがようやく落ち着いた。


 さすが枝豆。

 国や世界を問わずに賢者にしやがる。


「ノクターンどうだったか?」

「少し熱出てた。濡らした布を置いておいたよ。アクピレの葉を使ったヤツ」

「じゃあ今頃安眠してるな」


 麦酒飲みながらクレイが安心したように背もたれにもたれ掛かった。


 隣で焼き鳥を食べていたアスティベラードが、ふうと小さくため息。


「にしてもあそこまで消耗するとはな…。なにやら良くない助言もされたし」

「確かに気を付けないとだね」


 えらくざっくりだったけど、あの一言でもただ事ではないのはわかる。


 その時。


「……おい、聞いたか?今期の勇者のはなし…」


「!」


 後ろの席からそんな言葉が聞こえた。


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