キノコリアン
「っしゃあ!!!三日経った!!!」
目の前で方位宝針がストンと落ちたのを確認した。
これで森の中の潜伏生活が終わりを迎える!!
「あまりにも暇だったからその辺の見たことのある草むしったりキノコ採ったり襲ってくる獣狩ったりしてたけど、これでようやく仲間が作れるぜ!なぁ、エクスカリバー!」
「………」
心なしかエクスカリバーも祝ってくれている気配を感じる。
「まずはどうしようか。おばあちゃんからお小遣い貰ったからそれで減った食料を買い溜めて、そっからどうしようか」
蔦で縛った歩きキノコがバタバタと暴れている。
そこに蔦のリードを付けてみると犬みたいになった。
これはこれで、有りかな。
「よいしょ」
森から出た。
草じゃない地面が違和感。
「おいでー、キノコリアン」
呼ぶと歩きキノコが付いてきた。
そして道を歩いて、向こう側に見える町へと向かうことにした。
【ブルーレインの街】
「歩きキノコ…」
「なんで歩きキノコが…」
「散歩?」
「なにあれ」
「歩きキノコ??」
凄い。待ってここ見たことある。
ブリテニアスオンラインの割りと初めの方で。
「ちょっと細部が違うけど、でも大体合ってる。なに?ブリテニアスオンライン予知能力でも搭載してる??」
どうりであのアルミオオムシがいると思ったよ。おかげで良い運動になった。
それに。
「使い慣れた方法とか、威力とか、全部再現できるし。あれはデジタルだから生身だと体が付いてこないかなーって思ってたけどなんとかなったし」
スキルとかあったらもっと良いんだけど。
「そういうのあったらエクスカリバーも凄く強くなるけど贅沢は言っちゃダメだよねー。な?エクスカリバーにキノコリアン」
「………」
「……キュッ」
「あ、そんな音出すんだお前」
売るの可愛そうになってきたな。
街をぐるっと回ったら放してあげよう。
「お?ここ道具屋っぽい」
村の道具屋よりもでかいけど、看板の印が同じだ。
「こんにちわー」
中に入ってみると、何故か先客が俺を見るなり逃げ出してしまった。
なんでだろ。
「ばか野郎!!!魔物を店の中に入れるんじゃねぇ!!!」
「魔物?」
「そのキノコだ!!!」
「ああ、そうか。わかった」
ペット入場不可的なやつか。
仕方がない。
店の横の柵に繋ぐ。
「キノコリアン。すぐに戻るからここで待ってるんだぞ」
「……キュッ」
今度こそと店に入ると、ホッとした顔をしていた。
「ここってとってきたのを売れたりします?」
「ああ、売りに来たのか。ビックリしたぜ。てっきりあの魔物で店荒らししに来たのかと」
「大人しいですけどねぇ」
「とりあえずあんたの頭がおかしいのは分かったが、仕事は仕事だ。何を持ってる?」
「えーと、まずこれと」
草各種。
「これと」
キノコ各種。
「これ」
襲ってきた獣の皮。
それらをカウンターに並べた。
「……」
店主が鑑定を始めた。
「とりあえずみんな買い取れる。価格はこのくらいだな」
机の上に置かれる32マルダ硬貨。
「ナッツ村で教わったよりも大分安いな」
というよりも、ブリテニアスオンライン価格の半分しかない。
「はぁ!?俺がぼったくっているってのか!?」
「確認していい?この睡眠作用によく効くシツミン草っていくら?50ゼイン?(マルダよりも下の単位)じゃあこの胃薬になるセーロン草は?割りと高値で取引されるって聞いたけど」
色々確認していくと、ついに店主が盛大に舌打ちして、追加で硬貨を置いた。
「降参だ。なんだよアホのふりしやがって。ほら、持ってけ。文句ないだろ?」
数えたらブリテニアスオンラインよりもちょっと低いけど、ナッツ村で教えて貰ったのと同じ値段になった。
ぼったくり未遂か。
「繋いでいる歩きキノコをここでダンスさせていい??」
「上乗せしてやるから早く帰れよ」
「ありがとうおっちゃん。また来るね」
「来なくて良い!!」
店を出て繋いでいた歩きキノコをほどく。
「なんか君連れて歩き回るとみんな吃驚するみたいだから先に離そうか」
「…キュッ」
一旦街を出て、キノコリアンの綱をほどいた。
「なんか、勝手に捕まえたり離したりごめんね。これ、選別」
くびれているところにお試しで作ったなんの効力もないただのアクセサリーを着けた。
「じゃあ、またどっかで会ったらね」
バイバイと手を振ると、歩きキノコは頭をユサユサ振って森の中へと消えていった。
「戻るか」
次に目指すは図書館だ。




