39話 そこら中に火がつく
あけましておめでとう!!
やばい!!久しぶりすぎる!!
よろしくお願いします!
「・・・正義ねぇ。その言葉を聞くと!あのトカゲを思い出してイライラが止まらなくなるんだよぉぉ!!」
「!!」
イブはパーカーを投げ捨て、サシミに突っ込んでくるとイブの指から鋭い爪があらわれた。
「まだあんのかよ!お前!どんだけ殺しやがった!!」
「グギャギャギャ!!《刺爪》」
イブはサシミの顔を重点的に引っ掻こうとしてきた。チリチリの毛が爪にあたり抜けている。
「ゴロォォォアーー!!!」
「ブフェ!!」
「いいの入ったぞコラ!」
サシミはイブの隙を突きアゴを怪物化した拳でぶん殴った。サシミはイブが頭から倒れると思っていたが
「グギャッ!」
「ブォォ!!」
「サシミ!」
サシミが逆に吹き飛んだ。風が禎を襲う。見たことのない兎の描かれた硬貨を足から出した。
「はぁ・はぁ」
「お前らは使える能力は一つ。たった一つなんだよ。そうなりゃやれることは少ない。他の異能力ペットを倒すことができても俺様を倒すことは絶対にできない。俺様の《能力強奪》の敵じゃねぇ!!グギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!」
「確かにその通りだぜ。お前の能力がすごいってのは知ってんだよ。あんころとたかひろはお前自身もすごいって言ってたが俺はそうは思わねぇ。強いのは能力だけだぜ。お前が殺したやつらの能力がな!!クソうさぎ」
「ほざけぇぇ!!!」
イブは爪で休まず頭を足を耳を的確に狙っている。サシミはスレスレで避ける。
「これは俺様の復讐なんだよ!!その復讐が今叶う所なんだ!邪魔すんじゃねぇ!」
「いーや、とことん邪魔してやるよ。お前が葬った奴らの分のな!」
「チィィィ!!」
イブはしびれを切らしたのかサシミの心臓を狙ってきた。イブの爪が左胸に刺さると思った次の瞬間、パキンと異様な音がした。
「ぐっ!!何しやがった!!」
「胸筋に力を込めて怪物化した。どうだ硬いだろ」
爪はサシミの左胸に触れはしたがそこから動かない怪物化した胸筋があまりに硬いのだ。
「ぐっ!ぐぅぅぅ!!」
「ドレァァァァァァァァァ!!!!」
「ガァ!!」
「爪が長いと不潔に見えるぜ。だから切ってやったよ。いや、折ったって言った方がいいか」
サシミは右手拳を爪に向かって振り下ろした。爪と拳が当たる直前に胸筋の怪物化を解き拳を怪物化すると見事に爪が折れる。根元から。イブのささくれ付近から血が出ていた。黒色は全くもって見えない。綺麗な赤色である。
「どうした。そんなもんかよ」
イブは息を切らしながら血が流れ出ている手を《氷結》で凍らし血を止めている。
「・・・・・・・・・・うざいんだよ。お前。ちょこまかと動いて、うざい・・うざい・うざいうざいうざいうざい!!うざい!!!うざい!!!!うざい!!うざったらしいんだよ!!!!!」
「!!!」
イブは自分の足元を凍りつかせ、そのままサシミの方へ向かってきた。ハンマーを生み出し。
「サシミ!!逃げて!そこから早く!」
「・・・俺じゃねぇ」
「は?」
「アイツが狙ってるのは俺じゃねぇ」
サシミはクラウチングスタート状態
「怪物化・・・足」
「グギャッ!」
「サシミ!」
サシミは右足を怪物化してイブに向かっていった。風が周りに吹き荒れる。
「グギャッ!!まるでビーチフラッグだ。相手の後ろの旗を取るビーチフラッグ」
「そう思ってろ。ただし!!絶対そこから動くなよ!」
「サシミ・・何言って・・」
禎が困惑しているとその一瞬でサシミとイブがぶつかろうとしていた。しかし
「・・・え!?」
サシミはイブの、イブはサシミの目を見ていなかった。
「え?・・・・あ?ぼ・僕!!??」
「だから動くなよ!!能力半径外になっちまう!」
2匹とも狙ってるのは相手の飼い主であった。
(クソうさぎがただしに一発繰り出すまでより俺の方がはるかにアイツの飼い主に近い。先に飼い主を気絶させれば能力はなくなる。ただしは殺されねぇ!)
「グギャッ!!」
「ウワァァっ!!」
イブは足元に引いていた氷から足を離しジャンプして禎に向かってハンマー振りかぶっていた。
同じようにサシミも新月に怪物化した拳を振りかぶろうとしている。完全にサシミの方が近く、サシミは勝ちを確信した。
「ドレァァァ!!!もらったぁぁ!!」
新月に拳がぶち当たる。サシミと禎はそう思っていた。
「俺様が狙ってる『旗』は最初っからお前だよ。
俺様と新月」
「!!」
当たった。当たったのだ。
イブのハンマーがサシミの頰に。サシミはそのままゴミ箱がある方向へと吹っ飛んでいった。さっきまで新月がいたところにイブが。イブがいたところに新月がいたのだ。
「サシミィィ!!!・な・なんで!?」
「・・・イブの能力だよ」
「うっ!?」
イブと入れ替わった。新月が禎に向かって歩いてくる。
(何・・この人。足の震えが止まらない。で・・・でも!!)
「ドリヤァァァ!!」
「・・・・・・」
サシミの真似をして新月の顔に殴りかかった。しかし
「・・何してるの?お兄さん」
「ベホッ!」
新月はその腕とうなじを掴むと逃げられないように地面に押し付けた。
「新月そのままにしとけよ。おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい猫よぉ。概念を一つだけに絞るからそうなるんだよ。概念はもっとたくさん考えないとなぁ!これは異能力を使うバトルなんだからよ。相手だったら何をするかを考えるんだよ!!!」
「グホォッ!!」
イブはサシミの元に着くと、腹をハンマーで殴る。
「今の能力はいい能力だ。初見殺しっていいよな。『人物変換』自分と指定した奴の場所を入れ替える!最初から俺様が飼い主を狙うわけねぇだろ。飼い主を先に殺しちまったら、お前と一緒に死なねぇじゃねぇか!!」
「ゲホォッ!」
何度も殴る。
「グギャギャギャギャギャギャギャッ!!!」
「ゴホォォッ!!」
「・・サシ・ミ・・・ガァァッ」
「・・・・・はは」
イブに習うように新月も禎の顔を地面に叩きつけていた。
「お前・・・ただしに手を出すな・・・」
「やかましいんだよ!!!」
「ゴボッ!!」
「新月!もっかいだ!!」
「・・・」
「オベェっ!」
「グギャギャギャギャッ!」
イブがサシミの腹を叩き、新月が禎の顔を痛めつける。するとイブはハンマーを振るのをぴたりとやめ新月にサインを出すと新月も攻撃をやめた。
「お前を殺る前に殺さねぇといけない奴がいたぜ・・」
「・・・何言ってんだよ」
イブが指を指すとそこにいたのは、
「!!!!」
「グギャッ!」
「バ・バレたカメェェ!!」
「だから・あいつらがどっかに行くまで気絶のフリして待ってろって言ったんだよ!」
ば亀と一だった。
「気絶・・・・してなかったのかよ・・」
「グギャッ!詰めが甘かったな。やっぱり殺さねぇとなぁ!」
イブは方向転換するとば亀に向かってジャンプした。
「ギャァァ!!死んだぁ!確と実に誓って死んだカメェェェェ!!」
「うるせぇぞ!そこら辺の石でも・・なんでもいいからぶつけて重力かけろや!!」
「もう遅いぜぇ!その甲羅かち割ってやるよ!俺様と亀の飼い主!」
イブそう言うと一とイブの場所が入れ替わり、ば亀の背中がガラ空きになったところハンマーを振り下ろした。
「や・・やめろぉぉー!!」
「カメーー!」
「カ・カメェェ!!」
「グギャッ!」
どこからかパァーンと音がした。その瞬間
「ガァァァーーー!!暑いィ!!!痛いィ!!!」
「カメ!!こっちに来い!」
「カメェェ!」
「なんだよ・・これ」
「燃えてるカメ・・うさぎが燃えてるカメ・・」
「・・イブ・・・」
「・・ゴホッ!これは・」
地面から急に吹き出した炎にイブが燃やされていた。更に周りにも至る所で吹き出してくる。その炎はどこかで見たことがある炎である。
「澤畑く・・ん!?この炎・まさか」
「たかひろ・・これって」
「サシミン!!」「澤畑くん!」
隆弘達が禎に追いついた。ハリちゃんはサシミの元へ走っていった。隆弘とあんころはその炎を見た瞬間に気づいた。
「ニワトリくんを殺した、消えない炎」
「同じだあの炎と」
またその音が鳴り響く。
「くっ!」「あんころ!」
あんころがいた足元から炎が出てきたがあんころは素早く避けることができた。
「・・近くにいる。今の音がした方にいる」
「そいつはあとだ!まずはあの炎に入ってる子を助けるぞ!!」
隆弘は炎に向かって走り出した。その瞬間
「ブッ!」
「たかひろ!!」
「イブに近づくな・・」
禎から離れた新月が隆弘の顔をぶん殴った。そのままイブのうさ耳パーカーを持って炎にテクテク歩いていった。すると
「え!?」
「!!」「・・君!何やってるんだ!!」
「・・・・・助けてるんだよ?」
新月がイブの囚われている炎に手を突っ込んだ。
「グギャーーー!!!!!」
「・・・イブ・・帰ろ?」
新月はイブの耳を掴むと引き抜いた。出てきた新月の右手は火傷しており真っ赤であった。そしてイブは
「ウッ!」「・・ひどい」
「・・・コヒュー・・・・コヒュー・・コヒュ」
見るも無残な姿になっていた。コッケと同じように全身がひどい姿になっていた。しかしそれでもイブは生きている。意識を失わないようにさらに息を激しくする。新月はそのままイブを引きずって闇に消えていった。
「何が起きてるカメ?」
「よくわかんねーけどよ・・・・・逃げるんだったら今のうちじゃねぇか!」
一はば亀の腕を掴むとリュックに入れると走り出した。
「バイバイウイルスだぜぇ!」
「カメはやっぱりうさぎに勝つカメ!ついでに猫ちゃん!」
一達は見事にこの修羅場から逃げ切った。
「たかひろ!あの2チームを追うかい?」
「今はそれよりもこの炎だ。何処からともなく地面から吹き出してくる。早くここから私達も離れるんだ!あんころはサシミくんのところへ。私は澤畑くんのところだ。雨森さん!ハリちゃんくん!早くここから離れるぞ!」
「澤畑くん!!大丈夫?」
「・・サシミは?」
「ハリちゃんくんとあんころが向かったよ」
智晴と隆弘は新月が移動した隙に禎の元へ走る。隆弘が禎をおんぶして運ぼうとしていた。禎がサシミを見ると
「サシミン?どうしちゃったんでちゅか?」
「サシミくん!!??」
「へ?」
サシミは自分の身体を抱きしめて震えていた。その声は小声で耳をすますと
「・・・・・ごめんなさい・・・ごめんよ・・・・許してくれ・・証明するから・・ごめんなさい・・・・・ごめん・ごめん・・・・俺は強いから・・・・・証明するから・・・・・許して・・・・」
「サシミくん・・」「サシミくん?いったい」
「・・・サシミ?どうしたんだよ」
いつものサシミではない。その事は禎がよくわかっている。だからこそ、このサシミが全くわからない。しかしこの現象を一度見たことがあるものもいる。
(あの時と一緒、いやそれ以上。やっぱり炎なんだ)
あんころはコッケが燃えた時似たものを見たことがある。
「あんころん、早く連れて行かないと燃えちゃうでちゅ!!」
「ああ、ハリちゃん吾輩の頭に乗って」
「でちゅ!」
あんころはサシミを背負いハリちゃんを頭に乗せると
「でちゅぅ!?」
「しっかり捕まって・・」
あんころの足裏が光り出した。あんころの波動が足裏に溜まっていく。
「波動・バースト」
「でちゅぅ!!!」
足裏から一気に波動が放出されるとジェット機のように真っ直ぐに来た道を戻る。サシミの足を怪物化させるように。そのサシミはずっと『ごめんなさい』を繰り返していた。
「たかひろ!!!早く!!」
「わかっている!!」
炎を避けながら戻っている。そしてついに路地裏から出ることが出来た。
「はぁ・はぁ・はぁ・ごめん・・・」
「・・サシミ」
「ごめん・・・・なさい」
「サシミ!!!」
「!!な・なんだよ」
「サシミ・・いったいどうしたんだよ・」
禎はサシミの肩を持って心配していた。
「・・・なんでもねぇよ・・・・・そういえば!クソうさぎはどうなりやがった!!!」
「うわっちょ!!」
サシミは禎の服に入っている、異能力ペットバトルの手紙を奪うと鬼の形相でイブの名前を探した。しかしどこにもその名前はない。
「クソが!気絶も死んでもいねぇ。あんな燃・燃えてたのに生きてやがんのかよ」
サシミは壁を殴った。
「サシミ・・帰ろ。みんなボロボロらしいんだ。僕もかなりきついんだ」
「やかましぃぞ!!クソうさぎが瀕死状態なら探してぶん殴れば「サシミくん!!!」!!!んだよ」
隆弘がサシミの言葉を遮った。その隆弘の顔は怒っているようで、それでいて心配しているようだった。
「ここは引くんだ。私達がやっているのは殺しじゃない。そのうさぎくんを殴れば、多分死んでしまうだろう。瀕死ということはしばらく行動ができないということだ。炎の異能力ペットをあんころの能力で探したが見つからない。綾さんも動くのが困難。戻ってあげないといけない。今は引く。それが一番の選択なんだ」
「・・・・・・わかった」
「よし、行こう」
全員が歩き出すと、一番後ろを歩いていたサシミにあんころが話しかけてきた。
「・・・やっぱり炎なんだね」
「!!・・だからどうした。俺の過去を聞いてどうなりたいんだよ」
「過去は聞かないさ、吾輩はただ君が羨ましく感じただけだよ。過去がある君がね。吾輩は・記憶がないから・・・・」
「・・・俺はお前が羨ましいよ・記憶がないお前が」
「・・・・・吾輩は君の仲間だよ。もちろんハリちゃんも剣山くんもサックくんも。だからこそ頼ってほしい。1匹で抱え込まないでくれ。君には吾輩達がいる」
「・・・・・・・」
こうして長い一日が終わった。
そしてこの日を境に戦況は変わりつつあった。一番この異能力ペットバトルを荒らしたイブが瀕死に陥ったことにより、今まで隠れていた連中達が動き出したのだ。これを機に動き出すもの。まだ戦況を見守るもの。隠れているもの。逃げるもの。殺しているもの。まるでハイエナのように湧いて出てくる弱肉強食なバトル。この日本は
サバンナと化したのだ。
残り459チーム
ありがとうございました!
これからもこんなペースかもしれませんがよろしくお願いします!!




