お昼前の軽い運動
戦闘術授業のためのクラス分け対戦が始まっている。
初級魔法クラスに属する僕は一番最初から戦わねばならない。
「クリスもうちょっと手加減してやれよ、あれじゃぁ相手がいいとこ無しじゃないか。」
「ダンはそう言ってくれるけどね、一撃しか当ててないんだから仕方ないじゃないか。弓だって使ってないんだからこれ以上どうしろって言うのさ。」
「せっかく先生たちが個人結界まで張ってくれてるんだからちょっと位当てさせてやってもいいじゃないか。」
「そういってくれるけどね、あれちょっと動くと体が当たって割れちゃうんだよ、熱いのも冷たいのもお断り、痛いのだっていやだよ。」
「え~?あの結界がそんなんで割れるの?」
「あ~クリスはエルフの森のサンクチュアリをぶち破っちゃったからね、長老が普通の人間に破られたんじゃ恥ずかしいって結界破りの呪い掛けたからこの位の結界なら触っただけで割れちゃうのよ。」
「え?シェリーそうだったの?」
「そうだったの?って私の目隠し結界全部取っちゃったの誰よ?」
「あれ掛け忘れてるんだと思ってた。」
「そんなはずないでしょ。」
シェリーは昨日の本が効いたのか女の子らしいしぐさが自然に出てる。
魔法以外のそういうところを身につけるってすごいよね。
「クリス、次出番じゃないの?」
「おっと。」
「「「クリスおにいちゃんがんばれ~。」」」
「クリスの応援すごいのね。」
「そりゃクリスがいいやつ、だからだろう。シェリーは応援しなくていいのかい?」
「ふふふ、シェリーは分かりやすいね。」
「なによ。」
「エルフと竜って結構お似合いだと思うよ。あっもう倒しちゃった。」
「竜ってどういうこと?クリスは人よ?」
「人にはサンクチュアリを破ることは出来ないんだよ。竜帝を継いだものくらいしか内側からでも破れないんだよ。もともとは人だと思うけど、今は間違いなく君と同じ妖精族だよ。」
「本当にそうなの?」
「それに僕の術が君たちに全く効かないってのもあるしね。間違いないよ。」
「え!あたしにも術を掛けた?」
「ちょっとしたのをね。」
「なに?なにを?」
「僕の種族はな~んだ?」
「ダンは狐の獣人?」
「ほら見えてる。」
「あ、人に化けてるんだ。」
「友達にへんな術は使わないよ。」
「うん信用してるね。」
「あクリスが戻ってきた。クリス~お疲れ~。すごかったね、全然相手にならないじゃん。」
「一応一人前の狩人なんだから初級では負けられないよ。お昼からはいよいよダンたちと当たるかぁ。楽しみだね。」
「ウン、タノシミダネ。」
「ダン、その棒読みセリフなに?」
「アタリタクナイ、イタイノヤダ。」
「またまたぁ。」
「ここにタリムのクリスはいるか?」
「ここですけど何か御用ですか?」
「ノルト護衛士長のランバルトだ。Bグループに入ることが出来れば護衛士にしてやるから励むように。それだけだ。」
「何よあれ、言いたいことだけ言って返事も聞かずにいっちゃった。」
「クリス、知り合いなのかい?」
「去年村に徴税官と一緒に村に来た人だと思う。」
「武官見習いの自国視察ね。で、どうするの?」
「ことわるよ、それに一番上のS1に入るつもりだからBには入れない。」
「クルスもなかなか言うね。つまりAあたりでさっきの人を叩きのめすってことだな。」
「どんな身分か知らないけど、あれは失礼よね。」
「早くお昼食べに行かないと時間が・・」
「お弁当いっぱい作ってきたからダンも一緒にどうぞ。」
「おぉ~ありがとう。」
「朝かなりいい匂いがしてたから楽しみにしてたんだ。」
「うふっ。」