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便利機能!  作者: 黄金餅
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いんべんとり

しばしの間(15秒くらい)感激に悶えていたものの、やはり時間がないため急いで平常心に戻る。いやまあ、平常心で行うべきではないものであるのは理解しているが。


「え、どうしよ、何収納しよう……」


手近には…デジタル時計。あ、これにしよう。最悪スマホで時間は分かる、ダメージは少ない。


じゃあデジタル時計を手に持って……


「しゅ、〈収納〉…」


そう呟いた瞬間、衝撃的な変化ではなく、こうなんというか、ぬるっと、というか。至極自然に、デジタル時計は消えた。いや、


「収納された……?」


どう確認すれば……あ、「・専用ウィンドウにて収納内容を確認可能。」って書いてあったな。


この一覧からタップすればいいのか……?タップしてみる。


そしてまた、新しいウィンドウが開く。


────────────

《インベントリ》

○収納内容

・多機能デジタル時計 [詳細]

────────────


他のウィンドウに比べれば随分と簡素なウィンドウだ。情報が少ない…あ、詳細見てみるか?


「タップ、と」


────────────

《インベントリ》

・多機能デジタル時計

松本 至哉(ゆきや)の所持品。黒を基調としたデザイン。6&6社の製品。

────────────


かなり簡単な説明のみだ。ただこれで、確かにインベントリの中でも「収納」の機能は正常に動いていることがわかった。次は…


「取り出し、だな」


果たしてデジタル時計は虚空から出てくるのか、場所は…ベットの上。


「〈取出〉」


またもやぬるっと起こった変化。そして、気づけば指定した通りの場所、自分から50cmくらい先の場所に俺が収納したデジタル時計がある。


上部にあるボタンを押す。カチッと音がして、画面が光る。


「ちゃんと動くな…」


細部までは分からない、中の機能に一部変化が起こっている可能性も否めないが……今の所は大した問題は見られない。つまりインベントリは正常に機能しているということ。


結論としては、


「これぶっ壊れでは?」


ぶっ壊れとかのレベルではない、まず現実世界にこんなことが起こっている時点でおかしいのだが、今更そんなことを考える理性など俺に残っているわけがない。


時間は……残り15分。まだまだ余裕はあるが…


「どうするかな……」


次は何をするべきだ?見境なく収納するのは流石に気が引ける。


「うーん…」


いややっぱり見境なく収納してみるか?収納上限ないんだろ?


こう、無くなってもダメージの少ないものを収納していく感じで。


いらないものいらないもの……あ、タンスの奥に服ないかな?


「あったー」


じゃあ……


「〈収納〉」


服が俺の手の中から消え、開きっぱなしにしていた《インベントリ》のウィンドウが更新される。


────────────

《インベントリ》

○収納内容

・6&6 comfyシリーズ:Tシャツ(黒) [詳細]

────────────


「詳細、っと」


────────────

《インベントリ》

・6&6 comfyシリーズ:Tシャツ(黒)

松本 至哉(ゆきや)の所持品。黒いTシャツ。6&6社の製品。

────────────


まあこれも大した説明は書かれていない、他も入れてみるか?


「これとーこれとーそれとーあ、あれも、それならこれとーこれもかな?」


────────────

《インベントリ》

○収納内容

・6&6 comfyシリーズ:Tシャツ(黒) [詳細]

・スムーリー quickly:シャーペン   [詳細]

・スムーリー quickly:ボールペン 黒 [詳細]

・スムーリー gently:イレイザー    [詳細]

・或る人は語る 1           [詳細]

・或る人は語る 2          [詳細]

・或る人は語る 3          [詳細]

────────────


なんというか…詳細を見る見ないとか、このインベントリと便利機能がどうか、という前に。


「俺って同じ所からしか買ってねぇんだな……」


なんとも言えない心で、一覧を眺める。


「詳細は…これでいっか」


────────────

《インベントリ》

・或る人は語る 1

作:黄金餅のオムニバス形式の物語。[あらすじ]

────────────


お、あらすじも見れるのか。まあ今は見ないが……一旦全て出してみよう。


あ、これまとめて出せんのかな?


「〈取出〉」


入っているものを全て出そうという意識で使ってみるが……何も起きない。


「まとめては取り出せない……?」


それとも機能の不具合?一つずつなら…


「〈取出〉」


出そうと意識したのはTシャツ、すると何事もなかったかのように、いとも簡単にTシャツは現れた。


つまりまとめて出せなかったのは不具合でもなんでもなく、言うなれば「仕様」。


「不便だなぁ……って、これがあるだけで中々か」


人の業は深いものだ、いいものを与えられると次々と「それ以上」を求めてしまう。かたや上限がわからないために。


「まあ一個ずつ取り出すか」


一つずつ位置を指定して取り出す、例えばシャーペン・ボールペン・消しゴムは机の上、本は本棚といった具合だ。


「こんなもんか」


意外と器用に使えるなこれ、本とかも意識すればピッタリ本棚に入れられる。欲を言えば──先ほど自戒したばかりだが──補助用のカーソルとかガイドみたいなのも付けてあったらより便利だったんだが。便利ポイント5点減点だな。


「あ」


気がつけばいつの間にやら6時55分に。まあ余裕がないことはないがこの辺りで一旦辞めておこう。


朝飯何かなー

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