些細な日常
新連載始めました。不定期更新です。
今回は書いてたら何故か淡々とした文章になってしまいましたが、次話からはもっと面白みを出して行く予定です。
「……であるからして、この公式を使うことによってxの値が求められ……」
それなりに面白い数学の授業を聞きつつ、窓の外へと目をやる。
「良い天気だなぁ……」
眼下には校庭が広がる…のだが、それよりももっと先。この学校は他と比べて高い場所に建てられているため、教室が校庭に面していればこの素晴らしい景色を拝むことができる。
比較的緑が多いこの街の景色は、都会にはないほのぼのとした感じを醸し出している。
「くあ……あああ」
ついついあくびが出てしまう、寝ると言う選択肢が頭をよぎるが、この数学の先生は自身の授業で寝られると普段の温厚さを無くして激怒するためそんな愚かな真似はできない。
と、こんな風に全く授業の内容を聞いていなかったのがバレたからかは分からないが。
「松本、これの答えわかるか?松本、松本!」
「はッ、あ、えと、あ、はい。えー……3分の2?」
「不正解。ちゃんと授業聞けよー」
うーむしくった、それより先生が温厚は言い過ぎだったな、訂正。比較的優しい。
「チッ、なんで俺のこと当てるかねぇ……」
「ちゃんと授業聞いてないからじゃないの?あくびしてたし」
1人して愚痴っていると、隣の女子にそう指摘される。
「言い返せないのがつれぇ…」
「懲りたらちゃんと授業聞くことね」
「へいへい」
まー今回は聞いてやらんこともない。
「なんか腹立つ顔ね」
「そう?」
……
「あー疲れた、やーーーーーっと終わった」
「お前今日一日中あくび連発してたくせに」
「いやそれは言わない約束じゃないですか」
「一回もした覚えがねぇなそんな約束」
「この外道め……!!」
「いやお前だろそれ」
友達とくだらない会話を繰り広げつつ家路へと就く。
「んじゃまた明日ー」
今日は珍しくさようならを言ってみる。
「お前明日土曜だけど学校来んの?」
「あっ」
「しっかりしろよー、主に寝不足が原因だと思うからちゃんと寝ろよー」
「お前母さん?」
「テメーみたいな息子は持ちたくねぇなかな」
「うわーひどーい」
「はいはい、んじゃ今度こそまた来週」
「おう、また来週」
家の前で友に別れを告げ、玄関をあける。
「ただいまー」
「おかえり、帰りに日愛見なかった?」
「いや?見なかったけど」
「そう。まだ帰っていてないんだよね」
「んーまあそろそろ帰ってくるんじゃねーの?」
日愛というのは俺の妹。中学生だ。
「ただいまー」
噂をすればなんとやら、グットタイミングで日愛が帰ってきた。
「おかえり、遅かったけど?」
「あーごめん、ちょっと友達に勉強教えてた」
「なら良いけど、あんまり遅くならないように」
「はーい。あれお兄、なんで突っ立ってんの?」
「いや、ちょっと呆けてただけ」
「いつも通りだねー」
「おいちょっと待て聞き捨てならないぞ」
家でも妹と繰り広げるのはくだらない会話、ただ我が妹ながらに本当に自分の妹か疑いたくなる程には勉強ができるため、大抵の場合言葉の応酬では負けてしまう。解せぬ。
手洗いとうがいを済ませて自分の部屋へ向かう、たまに日愛とかち合ってまた言い負かされることもあるが、今日はその「たまに」ではなかったらしい。
そして自分の部屋で最初にするのは宿題、ただ俺の通う高校は、中の上程度のまあ進学校と言えなくもないくらいの学校なのだが、その割に宿題の量が平均に対して少ない。
毎日出はするものの、大抵の場合30分もあれば終わってしまう。それ故に、学校は憂鬱だが宿題をやるときはそこまで悲観的にならなくて済んでいると思う。
宿題が終われば風呂だ、平日はシャワーのみで済ませる。リンスは一応使うが、もちろん濡れた髪は自然乾燥。妹にジト目で見られるのは気にしない。
風呂から終わったくらいには晩御飯ができている、母さんの手作り飯は結構うまい。最近レパートリーが増えてきたのも高評価だ。
「「「「いただきます」」」」
我が家は4人家族、父もそれなりに早い時間に帰ってこられるホワイト企業に勤めている。それにしても早い気がするが。
きょうの料理は……鯛飯か、なかなかうまそう。
「うまっ」
「よかった、日愛も美味しい?」
「めっちゃ美味しいよお母さん」
「良い食べっぷりね」
「……」
「……?」
「父さんには聞いてくれないの?」
「え、なんで?」
結構酷いこと言ってると思うぜ母さん。父さん泣きそうだよ?
そうしてご飯も食べ終われば、遂に訪れる自由時間。
うちは夜更かしに制限がない代わりに絶対に朝の7時に起きなければならないというルールがある。そしてそれを破ったらお仕置きですよと。
このお仕置きが結構怖い、俺は大事にしてた漫画を1、3、5巻だけ売られた。なんでそんな悪質なことができるのかは知らんがこれじゃ買い直すにも売るにも悩む。ちなみにそれは全部売った、ただどうせ読まないだろうと考えてのことだったが今現在もの凄く読みたくて仕方がないため若干後悔しているが。
ちなみに日愛は洋服2着、父さんはもったいなくて開封すらできてなかった靴を一足売り払われていた。ただ母さんも一度破ったことがあったため俺妹父で協力して母さんが3番目くらいにお気に入りの洋服1着を売った、一番のお気に入りとか2着以上とかを売る勇気は俺たちにはなかった。悲しい。
そうして眠りにつく、今日は11時半だ。
「おやすみ、っと」
そう呟きながら部屋の電気を切る、明日は一日中怠けるか。




