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エンドレス・ニューゲーム~俺の幼馴染が『つよくてニューゲーム』を343回繰り返しているようだ~  作者: 竜山三郎丸


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95話 血液型は?

◇◇◇


 猿退治を行う前に街で服を買う。


 今着ているコピーのマントは異次元ポケットにしまうので、必然代わりの服が必要だからだ。


「選んであげよっか?」


「や、いい」


 二つ返事で断ると天戸は店の壁に寄りかかりスマホを眺める。


「あ、そう。じゃあ10分待ってあげるわ」


「感じ悪ぃ~」


 思ったことが声に出てしまったがしょうがない。時間は限られているのだ。


 そして、作っている人には申し訳ないが服に時間もお金もかける趣味はない。もう少し見た目が整っていれば違うんだろうが、まぁしょうが無い。


「えっ、もう買ったの!?」

 

 試着無しで三分位で店から出てきた俺を見て驚愕の天戸うずめ。何だかいい気持ちだ。


 そして、俺の買った服に文句を付けようとジロジロと値踏みするように俺を眺める。


 俺の服は別になんて事のない普通の麻の服だ。


 色は黒が楽でいいと思う。迷ったら黒。鉄則だ。


 天戸は納得したように一度頷き、微笑む。


「うん、意外と悪くないわ」


「まぁ素材がいいからな」


 俺のボケに何も言わず天戸はスマホを向ける。


「写真撮ってあげる」


 そう言ってマフラーでパシャリとする。



◇◇◇


 買い物を終えて空飛ぶ絨毯で邪猿が潜むと言う森へと向かう。


 そうだ、折角天戸様が『戦乙女の襟巻き(ヴァルキリーマフラー)』と呼んでくれたことだし、この絨毯君にもそろそろ名前を付けてあげないとな。


「なぁ、うずめちゃん。この絨毯って音速超えられるんだっけ?」


 俺のうずめちゃん呼びを露骨に嫌そうな顔で見て答える。


「そうよ。覚悟があるならお見せするけど?」


「…何の覚悟だよ。俺も守れ」


 俺は絨毯君に寝転がり少し考える。


 絨毯君はあまり地表から高くない高さを滑るように滑らかに飛んでいる。


「よし、決めた。ソニックスザクな」


 天戸はスマホを触りながらさほど興味なさそうに返事をする。


「何が?」


「ん?この絨毯の名前」


「好きにしたら?絶対に呼ばないから」


「ははは、またまた~」


「……あのさぁ。ほんっっと、うざい」


 天戸さんが本気で怒ると、俺の内蔵は口からまろび出るのでこの辺りで止めておこう。



◇◇◇


 まぁ、何はともあれ魔法の絨毯(ソニックスザク)は速い。


 お猿の潜む森までは三時間ほどで着きそうだ。


「それで?具体的にはどうするつもり?」


 修業プランの話だ。


「俺だって伊達にいろんなマンガを見てきたわけじゃないぜ?一言で修業と言っても色々なものがあるが、きっとお前に足りないだろう物はわかってる」


 呆れるかと思いきや、天戸は少し微笑みながら聞いている。


 ……調子狂うな。


「あれ?『またマンガ!?』とかそう言うのは無いの?」


「ふふ、何それ。言って欲しければ言ってもいいけど」


「やー……、いい」


 天戸は少しにこにことした後で、まっすぐ俺を見て言う。



「信用してるのよ」


 急に何を言うんだこいつは。



「ははは、またまた~」



 つまらない照れ隠しでついうっかりさっきと同じ返事をしてしまった。


 天戸にはそれが面白かったようでクスクスと笑う。


「本当よ?今度はどんな風になるんだろう、って少しワクワクする気持ちすらあるもの」


「……はは、ハードル上げて来ますなぁ」


 天戸は立ち上がり背伸びをする。


「安心して。今のところは全部クリア出来てるわ」


 おいおい、何なんだよこいつ。今日に限って。ツンデレかよ。


「まぁ、任せとけ。杜居流神気道を叩き込んでやる」


「あれ?あなたの流派そんな名前だったっけ?」


「ん?忘れた」


 あ、思い出した。杜居流封印術だっけ?まぁ、いいや。神気道の方がかっこよかろう。


 そんなのはさておき、一応俺とてジラークと天戸の修業を二週間見続けてきたのだ、素人ながらそれなりに思うところはある。


「そんじゃいつも通り憶測と推測と想像に基づいた真面目な考察行くぞ?メモの準備はいいか?」


 天戸はスマホをしまい俺を見て頷く。


「平気。一度で覚えるわ」


 ふはは、なるほど。中々の自信じゃねーか。


「思うに攻撃の速度自体にそれほど差があるとは思えないんだよ。で、あいつの攻撃はお前に当たるしお前の攻撃はあいつに当たらない。後はお前の攻撃はあいつの障壁を割ることすらできない。まずここまでOKな?」


 コクリと無言で頷く天戸。


 どんどん続けよう。


「ジラークが障壁を張った時の事覚えてるか?」


「えぇ、まぁ」


 ジラークが回避の動きを止めて、天戸が攻撃を仕掛けて、手が砕けた。


 思い出すだけで痛ましい。


「それまで障壁ってどうなってたんだろうな?ってのが一つ」


「……張っていなかった?」


「どうかな。じゃあその前の、狂戦士による出会い頭の攻撃を両手で防いだ時は?張ってないとどうなる?」


 一瞬何かを言い返そうとしたのが伝わったが、黙ってそのまま真面目に聞いてくれた。


「少し切れる程度で済むはずは無いと思うわ」


「じゃあそのとき障壁はどうなってるんだろうな?ってのがもう一つ」


 そこまで言って天戸を指差す。


「つーか、天戸はどうしてるんだよ。いつも全力で張ってるわけじゃないんだろうけど」


「んー、そこまで深く考えてるわけじゃないんだけど。なんとなく範囲を覆ってるような感じ」


 なるほど、概ね理解した。


 ……と、思う。


「なぁ天戸。お前血液型何型?」


「答える必要ないわ」


 出力自体に差がないはずなのに、攻撃にも防御にも圧倒的な差がある。


 考えられる答えは……効率が悪い、と言うことではないだろうか?


 要するに全てが大雑把なのだ。


 千剣などその最たるものだろう。


 効率度外視の超範囲攻撃。あのエネルギーを一点集中出来るなら、ジラークにも通用すると思うのだが……。


 打撃も面破壊っぽいし、破壊痕からみてもきっとそうだ。


 しばらく黙って考えていた俺を見て天戸は不安がる。


「……何か言ってよ。B型よ」


 B型の人には悪いが、納得してしまった。


「天戸、知ってるか?……ゴリラの血液型はB型のみなんだぜ」


 割と有名な雑学を披露すると、天戸さんは意外にも知らなかったらしく驚いた顔をした。


「へぇ、そうなの?ふふ、不思議ね」


 さて、このにこやかな笑顔はあとどの位保つのだろうか?


 森まで後一時間くらいかな?










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