第8章
「まずは、20時までに中谷を見つけないとな。」
私の安全を確認した総理を見送った後、作戦会議へと入った。
もちろん、最後まで一緒にいるとごねたが、孫として『総理が現場にいるのはまずい』といい説得した。
一生懸命、部下と一緒に中谷が事故現場までどの経路で行くかを検討していた。
一緒に作戦会議に混じっていた私が、黙り込んでいるのに気付き大沢さんが口を開いた。
「総理に勝手に正体ばらしたこと怒っているのか??」
大沢さんの言葉に私はキョトンッとし、口を開いた。
「そうじゃないの。私 大変なこと考えちゃった・・・」
真剣なまなざしで大沢さんだけではなく周りをも見渡す。
「もし、自分が中谷さんの立場だったら・・・・自分も死ぬ気でいるなら、社長を最後じゃなく自分にする・・・20時・・・・事故の時間に死ぬのは」
私が言うのを誰かがさえぎった。
「中谷、本人・・・・ってことは、社長はその前に・・・・」
私の意見を聞いていた大沢さんが口を開く
「やるだろうな。まぁ、死んで当然かもしれんが、警察がそんなこといえないしな。タイムリミットが縮まったな・・・」
大沢さんは、私の頭を軽くたたき叫んだ。
「さぁ、みんな中谷をすぐにでも逮捕できるように頑張るぞ」
その後の行動は さすがにキャリアだ・・・すばやい。
そして 大沢さんの先輩だという宮下刑事もなかなか頭が切れると見た。
「じゃぁ この4つの経路にそれぞれ配置させよう。」
気がつけば 結論をまとめていた。
いったい 私は、何でここにいるのだろうと思ってしまう。
でも仕方ない 私は10年 日本を離れていた。道など さっぱりわからない・・
作戦会議の結果 事故現場にいくには4つの経路しかないことがわかった。
なので、その経路にそれぞれ配置するとのこと。
私と大沢さんは、現場の近くに隠れることになった。
みんなが決定された 配置につく為 早々と移動を開始した。
「とりあえずは、これで・・・あとは、社長をどうするかだな。」
運転席に乗り込み呟いた。
「そうだな。藤川さんもともとは彼の予定では君が社長を殺害担当だったよね?」
助手席に乗っている宮下刑事が後ろに座った私を確認しながらいう。
「はい。だから彼は怒っていました・・・駒として利用するつもりが打算だったと。」
彼と最後に話した内容を思い出しながら恋人がどうとかいうこと以外は話そうと口を開いた。
「彼、どこかで私を見張っていたみたいです。私の行動を知っていました。社長のところへも ただ単に私の後をつけただけみたいでしたし・・・」
私の話に耳を傾ける二人
社長はどこで殺害するつもりかしら・・・
当初の予定は、私が殺害するはずだった。私だったらどうしていたのだろう・・・
社長のせいでかけがえのない人を失った。
きっと母や佐久間さんが許してくれなくても私はあそこを選ぶ。
二人に懺悔してもらう為に・・・
もしかして彼も、同じ気持ちかしら・・・彼の場合は社長だけじゃなく自分も懺悔したいはず・・・最後まで父親を信じなかったのだから
「・・・」
私は、おもむろに携帯を取り出し発信した。
前も二人は私の行動にびっくりしたものの何も言わずに見守ってくれた。
「おばさま??・・・うん。平気・・・お願いがあるの。・・・中谷琢磨の父親のお墓がどこ教えて!!・・・わかった。ありがとう。・・・大丈夫。大沢さんたちがいてくれるわ。」
そういい私は携帯を切った。
「場所は??」
私の考えていたことがわかったらしく大沢さんは聞いてきた。
「同じところよ。」
そういうと大沢さんは まったく逆方面にあるある場所へと向かうためUターンした。
「こにいくんだ??」
いきなりの進路変更。しかし宮下刑事は、冷静に突っ込んだ。二人の会話の意味はわかっていないだろう。
「中谷は、父親に懺悔したいはずです。もちろん社長にもしてほしい・・・そうだろう?」
ルームミラー越しに目が合い私は、頷いた。
「きっと今のこの時間彼は父親のところに行くはずです。社長に懺悔してもらう為に・・・そして自分の報告をしに・・・」
きっと彼は真実を知って 苦しんだ・・・
だか 同じような境遇の私に連絡をしてきた。
たったひとりでは抱え込みきれない思いだったのだと思う。
なんだかんだと考えていると車が止まった。
「お墓は どこかしら・・・」
私は呟いた。
「長谷川家・・・」
隣で大沢さんが答えてくれた。
どこに中谷がいるかわからないので私たち3人は静に探し始めた。
「さぁ懺悔してもらおうか!!」
どこからか叫びに近い声が聞こえた・・・
私たちはゆっくり声のしたほうへ移動した。
「いたわ。」
私たちの視線の先には墓石の前で倒れこんでいる社長と後ろからナイフを突きつけている中谷がいた。
「かすみ、お前はココにいろ。宮下さん・・・」
二人は目だけで会話をし二手に分かれた。
次回更新予定12/9(月)