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What is the wish?-番外編-

掘り起こした番外編


加筆は行っていません・・・すみません。

見知らぬアドレス


空白の題名


『What is the wish?』とだけ記された一通のメール


私の願いはただ一つ・・・

愛する人の傍にいること


それ以上もそれ以下もない。


ずっと一人だと思っていた私。


やっと見つけた私だけの場所



「カスミ、本当に日本にいっちゃうの?」

ツアー最終日のリハーサル中

バイオニストの一人が半泣きでやってきた。

「えーぇ、活動は今まで通り続けるつもりだけど日本を拠点に頑張るわ。」

ここのメンバーと離れるのはつらいけど、日本に戻ったら人生のビックイベントが待っているし

それに勝るものなんて絶対にないわ。

本音は今すぐにでも空港に走って航空券を買って飛行機に飛び乗りたい。

今まで海外生活をしていた私。

10年振りに日本に戻った私に降り掛かった事件。

そこで出逢ってしまった・・・とても言葉で言い表せない大事な人

すぐに日本に戻るつもりだった。

でも、私を待ち受けていたのは一年先までびっしりとつまったスケジュール。

そして、

「(行方を眩ませたんだ)仕方ないさ、 君は(それでも)プロなんだから仕事は(もちろん)全うしなきゃいけないよ。」

と、冷たい言葉を言い放つマネージャー・・・

極め付けは、一年は戻れないとドキドキしながら電話をした相手の一言。

「気にするな、頑張れよ。」

・・・それだけ?

早く帰ってこいって言ってたくせに!

なんて、正直ショックはあるもののホッとした気持ちが多かったのが本音

さすがの私も仕事をほおりだすことは出来なかった。(一度やってしまったが・・・)

うぅ~早く会いたいよ。

よし決めた。

「マネージャー、私決めたわ。」

リハーサル終了後本番まで控え室にいた私。

控え室に入ってきたマネージャーを見るなり叫んだ。

「何を決めたんだい?」

威勢よく椅子から立ち上がったまま、懐かしい声の主に見入った。

「うそ・・・」

立ち上がったままの私は今度は飛び跳ねたように声の主に抱きついた。

「孫のツアー最終日くらいみたいから無理言ってこっちの仕事を都合つけたんだよ。」

抱きついた私の頭を撫でながら優しく微笑む老人

「おじいさん、嬉しい。元気でしたか?」

ゆっくり祖父から離れ顔を見せるように正面から見つめた。

「この通り元気だよ。そうそう、ついでに今日はプレゼントを持ってきたんだ。でも、サプライズというものは後にとっとくほうがいいな。」

そうご自分で納得し控え室から出ていった祖父

「よかったですね、最後に家族の方がいらっしゃって」

笑顔でそう言ってくれたマネージャー

今日はおじいさんもいるしいつも以上に頑張らないと・・・

気合いを入れ、私はステージへと向かった。

「マネージャー、一番早い日本のチケット押さえてくれる?おじいさんには悪いけど、このまま空港に向かうわ。」

本番前に決めたと叫んでいたのはこのこと。

本当は、明日の便で日本に戻る予定だった。

でも私は早く会いたかった。

だから・・・

「・・・かまいませんけど、後悔しません?」

煮え切らない様子のマネージャー

「後悔なんてするわけないでしょ!」

マネージャーの言葉にムカッとし怒鳴った。

「せっかく成功したのになにをカッカッしておる?」

いつの間にか控え室の扉が開きおじいさんが立っていた。

「おじいさん、ごめんなさい。私、今から日本に戻るわ。ちゃんとおじいさんの所にも行くし、お願い今から空港に向かわせて」

孫娘の私の頼みに困った顔をするおじいさん

「しかし・・・「何をわがまま言っているんですか?」

外からもう一人の声がした。

おじいさんのSPだろうか。

こんな老人だが、日本の元総理だったりもする。

「いきなり失礼な人ね。とにかく私は早く日本に帰ってお・・・ちょっと顔見せなさいよ。」

大沢さんに会いたいのだからそう言おうとしたがふと眉をひそめ叫んだ。

この声って・・・

「もっと早く気付いてほしかったなぁ~」

ニヤニヤと外から顔を覗かせた人物

「なにしているわけ?」

意中の彼を目の前にして意外に冷静でいられる自分に驚きを覚えつつ相手を見据えた。

「なんだ、俺には久々の再会の抱擁はないのか?」

残念そうに呟いているものの瞳の奥にはいつもの悪戯っこが見え隠れしていた。

この人、いつからいたわけ?

始まる前のおじいさんとのことを知っているから言っているのはすぐにわかった。

「先に部屋に戻ります。深川さんくれぐれもこのホテルから出ないようにお願いします。かすみもだよ。それでは明朝、お迎えに参ります。」

マネージャーを含めおじいさんと彼とで一緒に夕食をとりマネージャーが帰るのを見送るとなぜか私にまで釘をさして大沢さんが席を立ちレストランから出ていった。

「なにあれ・・・」

1年振りに会ったのに、いつもとかわらない様子の大沢さんに怒りを募らせる私。

「なにがそんなに気に入らない?折角、職権濫用して彼を駆り出してつれきたのに。」

ワインをゆっくりと口に流し込むおじいさん

「・・・だって、私ばかみたいじゃない?早く大沢さんに会いたくて日本に帰ろうとしてたのに、大沢さんはそんな様子まったくないし・・・」

しゅんっと今日、会ってからの大沢さんを思い出しても私に会いたかった的行動はまったくなかった。

というより、業務連絡のように堅い感じで私に接していた。

「それにこっちに戻った時にだって1年いることになったって言ったら気にするなって言ったのよ?日本では早く帰ってこいって言ってたクセに・・・」

気をぬいたら涙が出そう・・・

「お前は彼の気持ちを考えたことあるのか?」

私は言いたいことを言って口を貝のように閉じた。

そんな私を見ておじいさんははぁーとため息を吐く。

「そんな所は由梨にそっくりだな。日本に戻ったらお前は今までのようにピアノを弾くのか?」

おじいさんの問いに私は顔を上げ口を開こうとしたが止めた。

「できないよな?前みたいに長時間ピアノを弾くことが出来ないよな?それはなんでだ?」

そう、私は今までのようにピアノを長時間弾くことが出来ない。

せいぜい一時間が限度・・・

それは1年前に巻き込まれた事件で肩を刺されたからだ。

後遺症として私はピアノを長時間弾けなくなった。

イギリスに戻り、しばらくして気が付いたのだ。

だから、ファイナルツアーと称したこのツアーも1年と言う時間を費やしたのだ。

しかもほぼ、メインはオーケストラ・・・

お客さまには前以て告知しているから問題はなかった。

それでも、私はとてもお客さまに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

だからと言って・・・

「私は後悔していないわ。だってあの時、私が刺されなければ確実に大沢さんが死んでた。彼の命に比べれば・・・・彼、気にしているの?」

はっと気付き、私はおじいさんに聞いた。

ゆっくりと首を縦に降り「たぶんな」と答えたおじいさん。

「そんな・・・・だから、帰れないっていっても・・・」

それ以上、言えなかった。

「あーぁやって普通を装っていたが本音は違うと思うぞ?さてと年寄りはさっさと眠るとするか。

彼の部屋は1305だよ。行っておいで。・・・・と、聞いていないな。」

すでに走り去った私の背中を見つめおじいさんは言った。

ドンドンドン

遠くから聞こえたおじいさんの声をたよりに私は1305室にやってきたうるさいくらいドアを叩いた。

「だれだよ、せめてチャイムを・・・悪い、弥生また掛け直す。」

シャワーを浴びたのか、ドアから出てきた大沢さんは腰にタオルを巻き頭は雫がポタポタと落ちては絨毯が吸い上げていた。

「どうした?深川さんも一緒なのか?」

私がやってきたことに不思議そうに廊下をキョロキョロしていた。

が、私はその隙をつき部屋の中に押し入った。

「おい、かすみ!」

外に誰もいないことを確認したのか扉を閉め、私の後を追った。

「教えて、大沢さんは私に会いたいと思わなかったの?」

私は真っ直ぐ大沢さんの目を見て言った。

手に持っていた電話を置き私に近づいてきた。

「お前はそう思うのか?」

大沢さんの瞳は怒りに満ちあふれていた。

しかし、質問を質問で返されイラッとした私は気が付かなかった。

「私にはあなたがどう思っているかなんてわからないもの。でも、私にどう写っていたか教えてあげる。」

キッと一睨みし私は口を開いた。

彼は、目の前にたったままいた。

「元総理についてきたSPで私とは面識はあるけれど他人同然。そう感じたわ。誰も、私とあなたが1年振りに会う恋人同士だなんて間違っても思わないでしょうね。それくらい事務的な仕草だったわ。仕事だっていわれたらそれで終わりだけど。」

一気にまくしたてるように言い切った私は近くにあるソファーに力が抜けたように座り込んだ。

「私はあなたが気にするってわかっていたら、絶対に言わなかったわよ?一生でも嘘を突き通していたわ。」

私は再び彼を思いっきり睨んだ。

それに負けじと彼も視線を鋭くこちらに向けた。

「それは困るな。俺は嘘吐かれることが大ッ嫌いだからな」

大沢さんは座る様子もなくイライラと目の前に立っていた。

「それは、よかったわ。私も同意見だから」

フンッと鼻をならし私は彼から目を逸らした。

ケンカをふっかけてどうするのよ。

私はただ、彼に気にしてほしくなかった。

ううん、ただ一言会いたかったって言ってもらいたいだけ・・・

「ここへは、俺を怒らせに来たのか?そうだったら大成功だぞ。」

黙り込んだ私を見て、大きなため息を吐きはき捨てた言葉。

「違うわ。」

視線を合わせることなく一言言った。

そしてゆっくり深呼吸して彼の視線に自分の視線を絡ませ口を開いた。

「あなたを愛してるって言いに来たのよ。ずっと会いたかった。なのに、あなたは・・・」

泣くもんか・・・そう思ってるのにとめどなく溢れてくる涙。

「泣くなよ。俺が悪かった、だいたいかすみが控え室でなにをしているなんて言わなきゃ俺だって・・わぁー、頼むから・・俺が悪かったからこれ以上泣くなよ。」

そうだ、あの時私が冷たくなにをしているなんて言ったから・・・

そう思うと更に涙腺が緩んだ。

「かすみ、愛してるよ。

俺だってずっと会いたかった。

本音を言うと1年も離れるなんて耐えられないって言いたかった。

でも、お前は俺のせいでピアノを諦めなくちゃいけなくなった。

だから、わがままなんて言えなかったんだ。」

私の涙を拭いながらたくさんの優しいキスをくれた大沢さん。

「そのぐちゃぐちゃな顔を洗ってきなさい。

その間に、用事を終わらせるから。」

そう言って大沢さんは電話を手に取った。

「what is the wish?」

隣に寝ている私の髪を梳くいながら呟いた大沢さん

「それ・・・・犯人は大沢さんだったの?」

ツアー中に届いた宛先不明のメールの内容。

「いや、犯人は弥生と祐だ。俺は、ぎりぎりまで知らなかった。」

ぎりぎり?

大沢さんの言葉に『?』をつける私

「今回、俺が深川さんのSPになったのは、深川さんを始め弥生や祐が絡んでいたんだ。」

クスクスと笑い出す大沢さん

「・・・もしかして、返信内容見た?」

なんとなく、大沢さんが笑っていることがわかり眉を寄せた。

「one’s beloved honey」

耳元で囁いた言葉に私は力が抜け切ってしまった・・・

「俺も同じ答えだったからこの悪戯にのったのさ。」

私が腰砕けになってしまったのを満足そうに微笑み言った大沢さん。

翌日、私はおじいさんと大沢さんと3人で日本に戻った。

大沢さん曰く

「深川さんいるし、このままラスベガスでもかまわなんだけどね。」

と私だけに聞こえるように呟いた。

私は顔を真っ赤にした言うまでもない。


END







「one’s beloved honey」⇒最愛の人



これにてこちらのお話は終了です。

ありがとうございました。


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