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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
74/134

7-2

 中は、よくあるやくざの応接間。

 大きなガラステーブルを挟むようにして赤のソファ。

 そして高級そうなインテリアに、壁には額縁に入っている達筆な毛筆の『仁義』と神棚。

 床はオリエント模様の、結構高そうなじゅうたん。

 そして、一番向こうには零細企業の社長では絶対に買えそうにないような机。そのほかにも、調度品や骨董品などなど。

 ここの組長は和風好みのようだ。

 部屋にある物のゴージャス感で俺は圧倒されていた。

 そのおかげで、部屋にいる何人かの組員には全く目が行き届かなかった。

 奥の机には年を取った細面の男。

 糊の効いたパリッとした灰色のスーツを着て、俺を凝視している。他の組員も同様に。

 見たところ、彼らが俺の姿に嫌悪感を抱いているのはすぐにわかった。俺に一瞥をくれただけで視線をよそへやり、顔をしかめている。

「お前か?」

 組長の机のすぐ隣にいる黒いスーツの男が話しかけてきた。ちょうどよかった。場の空気が冷え込んでいたので、ちょっと緊張していたのだ。

 これで俺も話すきっかけをつかめた。

「そうです。相談がありまして」

「金なら貸さないぞ。お前みたいなのに貸しても、還ってこないからな」

「金ならありますよ。ほら」

 リュックを開け、逆さにする。そして揺らす。

 おかしい。何も出てこない。俺はリュックに手を突っ込んでみた。

「ブルーシートが邪魔でした。あはは」

 笑ってごまかしたが、シラーっとした空気が蔓延し、居心地が悪くなった。

「何がやりたいんだ、こらっ!」

 まあまあ、ちょっと待ってください。

 口には出さなくとも、俺はそう思い、リュックからブルーシートを出した。結構使っていたから、砂もパラパラっと落ちてきた。だが、砂が落ちたあと、札束が音を立てて出てきた。

 数えていないし、まとめてもいない。

 応接間の机の上はあっという間に、紙幣に覆われた。全部一万円札、ならよかったが、千円札五千円札が混ざっていたのはみっともなかった。

 俺はソファに身を投げ出した。

 組員の一人が俺をとがめようとしたが、俺と目が合ったらすぐにおとなしくなった。他の組員は俺が出した金に目を丸くしていた。

 組長もそうだ。

「おい、これをどうしようと」

「弾丸がほしいんですよ。9ミリパラベラムと50AEナグナム弾を買えるだけ」

 この部屋の中にいるもの全員が絶句してしまった。

 中には隣と顔を見合わせ、ひそひそと話しているものもいる。

 俺はそいつらを気にせず、組長を凝視する。

 組長は俺がこんな大金を出すとは予想もしなかったらしく、目を見開いて金の山を見下ろしていた。

 俺が見ていることに気がつくと、わずかに狼狽したようだった。だが、組長は冷静に

「数えろ」

 周りにいた組員たちは互いに顔を見合わせていた。

 が、俺を出迎えたヒゲが紙幣をひとつかみすると、我も我もと一人ずつ手に取っていった。

 俺は腕を組み、周りの様子を眺めていた。ちょっと時間がかかるようだった。俺は目を閉じ、うつむいて、うたた寝を始めた。


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