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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
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4-12

 俺が子供のころの話が出ている。

 インタビュー形式になっている。

 答えているのは、自称Sの中学時代の同級生。

 女性だ。名前は北野(仮)となっている。

 ちなみに、俺の中学時代に北野という女子はいなかった。小学生のときも同じく。高校のブラスバンドでは、いたような記憶はない。


 記者…Sは中学時代、北野さんから見てどんな少年でしたか?

 北野…ええ、あまりパッとしないほうでした。クラス替えで一度だけ同じクラスになったんですが、そのときもおとなしい人だなとしか思いませんでした。

 記者…友達はいるみたいでしたか?

 北野…いえ、休み時間はふらりと教室から出て、終わる前に戻ってくるような人でした。友達はいたと思います。結構色々な人から話しかけられていましたし、彼もそれに愛想よく対応していました。無口なほうで、彼から話しかけるのは、何か用があったときに限られていました。

 記者…いじめはあったと思いますか?

 北野…わかりません。たまにからかうようなことを言われていたと思いますが、腹が立つほどひどいようなことは言われていなかったと思います。

 記者…問題行動などはなかったと思いますか?

 北野…いえ、全然。まじめなほうだったと思います。委員の仕事はサボらずにやっていて、先生からもよくほめられていました。授業も毎日出ていましたし、成績もよかった。

 記者…それでは、学校生活では何の問題もなく、過ごしていたと?

 北野…ええ。あっ、でも一回、S君がお菓子を買いに学校外へ出たことがありました。別の友達が行かせたようでした。他にも、色々あったと思いますが。

 記者…他には?

 北野…そういえば、学校で、もらしたといううわさもありました。卓球部をやめようとしていたらしいし。時々、物に当たることがありました。

 記者…たとえば?

 北野…ペンを床に投げつけたり、いすを蹴ったり。そのときも、何も言わず黙ってやるので、周りはびっくりして。いつも笑顔でいることが多いのですが、そのときは怒っているなというのがわかりました。

 記者…学校では、あまり変わった様子は見られなかったというわけなのですね?

 北野…はい。私の見た限りでは。

 記者…彼、Sにとってはどうだと思いますか?

 北野…わかりません。それなりに楽しくやっていたと思います。ただ、なんとなく浮いていましたね。変な奴だという陰口も聞いたことがあります。

 記者…Sは何がしたいのだと思います?

 北野…(黙って首を振る)

 記者…とにかく、成績もよく、無口でおとなしい学生だったのですね?

 北野…はい。


 そこで会話は終わっていた。

 別の記事で俺の高校時代や大学時代を知るものが出てきて、同じような感じでインタビューに答えているかもしれない、と思っていたが、なかった。

 他にも、俺の家庭環境に関しても記事が載っていた。が、特に問題はなかったとだけしか書かれていない。

「普通の家族でしたね。S君にも特にこれといった悪いうわさはありませんでしたし」

 俺は大学時代、何回か親に反抗して大声を出したことがある。

 理由は高校時代にどうして野球をさせなかったか問い詰めるためだった。

 そのはずだったが、親のあまりに身勝手な言い分(だと当時は思っていた)に腹が立ち、家庭内暴力もどきをやってしまった。

 もどき、がつくのは俺が自分の部屋で暴れただけで誰にも暴力は振るわず、何も壊れなかったからだ。

 その後、俺は落ち着いたが、親の、自分たちは何も悪くないという態度には怒りを感じていた。

 俺が野球をするのは高校でなければならなかった、と思い込んでいた。

 草野球をやろうったって、初心者を受け入れてくれるチームなんかない。

 俺がチームを作ろうと名乗りを上げても、誰もこなかった。

 不景気で、公務員志望が増えているときだった。

 市役所に入れば草野球チームがあるからできる、といわれたが、俺が宗像市役所に入れるとは到底思えなかった。

 高校でも大学でも滑り止め以外に合格しなかった俺が、競争率が百倍近くある公務員試験に受かるとでも思っていたのだろうか。

 ちなみに、工場には草野球チームはなかった。

 そのときの声は近所に聞こえてしまったが、あの事件で俺が近隣の人達をことごとく殺してしまったらしい。

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