3-6
そう、死にゆくときに今までのことが一気によみがえってくるように、俺の記憶が巻き戻された。
そのとき、俺は思い出した。
俺は、死にゆく親にこう言ったんだ。
「俺と話するといらいらするんだろ? 腹が立ってくるんだろうが! 俺がただ真相を聞きたいというときに、お前たちは『気に入らんのなら殺せばいい。寝ているときに鼻をふさげば簡単だ』といい、俺の話を聞かなかった! ただの八つ当たりで、いやらしくて、悪かったな! お前らが殺せといった。殺したら保険金が入るだろうが、橋の下で暮らすってか! 上等だ! ぶっ殺してやるよ! 何だ? 貴様らが殺せって言ったんだろが! だからやってんだよ! 俺は今まで、お前らをぶっ殺したかったんだよ! 死ね!」
俺がヤクザの事務所に押しかけた時から、全く連絡を取っていなかった
話す必要がなかった。
ポケットに銃。懐にドス。
もはや、殺すことにためらいはなかった。
今までもそうだったじゃないか。
何人殺してきたと思っている!
今まで俺が殺してきた奴らはニュースになり、未だ犯人は捕まっていない。地元にはちょっとした動揺が起きている。
親どもは俺の顔を見るなり、矢継ぎ早に言葉をかけてきた。
いったいなにをしていた。
しんぱいしていた。
……、あぁ、うるさい。
さつじんはんがうろついているのに。
しんぱいかけて。
……しずかにしてくれ。
いったいなにをしていたんだ
しごとはやめたらしいが、どうした。
いままでどこにいたんだ。
なぜだまっているんだ。
なんとかいわないか。
どれだけしんぱいしたか、わかっているのか。
……、……、……!
気が付くと、俺は怒声を上げ、拳を突き出していた。
やや老齢に差し掛かった親たちは、簡単に吹き飛ぶ。
信じられないといった視線が俺に向けられ、戸惑いと動揺が彼らを支配したようだ。
それから何を言ったか、何を言われたのか、途中記憶が飛んでいる。




