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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
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3-4

 高校でも、今までと同じとは思わなかった。一年のときだけで、あとは何もなかったが。

 高校の奴らとはあまりあわなかった。

 卒業と同時に、どんな奴がいたのか忘れた。

 ただ、俺を馬鹿にしてきた奴らは、事前に居場所を調べ、何人かに死んでもらった。

 ブラスバンド部に居た奴もいたよ。俺をからかうために一時期大量に入ってきて、すぐにやめていった。何しに来たんだが、今でもよくわからない。

 男女合同でやるブラスバンド部だったが、彼女がいないのは言うまでもない。常に気持ちが追い詰められ、一刻も早く去りたかった。

 俺がいたころの男子部の顧問は全くやる気のないおじさんだったが、俺が辞めた後の顧問は若くて音楽知識のある人だった。

 その顧問はピアノが趣味で、文化祭でピアノ演奏をするほどの人だった。

「やりたくなったら、いつでも戻ってきていいよ」

 俺がやめるとき、その顧問はこういった。

 この言葉を聴いたときはうれしかった。

 しかし、またあの中に戻るのはいやだった。そんなことをするぐらいなら、死んだほうがましだった。

 部活をやめ、時間に余裕のできた俺は古本屋をめぐったり、ゲームセンターに行ったり、もちろん勉強もした。

 成績はよかったものの、一年のころよりは落ちていた。

 俺の学校の中間、期末のテストはクラスによって問題のレベルが違った。

 実力テストのときだけ同じ問題で、学年単位で順位が出るのだった。中間、期末テストではクラスごとに順位が出た。

 そのクラス順位では一年のころは常に上位に入っていた。文系、理系と分かれた二年のときは上の下というところだが、実力テストでは名前は載らなかったものの、いい位置につけていた。

 そのころには、俺にもやっと普通の奴と同じ学校生活を送ることができた。

 とはいえ、相変わらず友達と呼べる奴はいないし、どこへ行くにも俺は一人。


 三年のときは準特進クラスに上がった。

 特進クラスに上がれなくても、普通科で成績のいい連中を集められたクラスだ。

 ちなみに、特進とは特別進学クラスのことで、優秀な連中が集まり、結構レベルの高い大学を受けるためのクラス。

 だが、この年の夏。ふと、俺は目覚めた。

「こんなことして何か意味はあるか?」

 それまで自覚はなかったが、俺は親の言うとおりの生活をしていて、全く疑いを持っていなかった。

 大学に行けば野球ができると思っていた。

 親の言うがままに俺は勉強していた。大学に行っても、野球ができるのか? 就職だなんだで大学受験よりも大切なものが控えているのに、そんなことをさせてくれるだろうか。

 そもそも野球初心者である俺が、大学野球なんかできるだろうか。

 大体、俺はどうして大学なんかに行こうとしているんだ?

 こんな思いをしてまで行かなきゃいけない大学って何だ?

 親は俺に嘘をついたことをいまだに謝っていない。

 どうして、俺は野球ができないんだ? 野球って、選ばれた人間でなければならないほど神聖なものなのか?

 騙されているのか、と思い始めたのはそのときが最初だった。

 俺はその日から勉強をするのをやめた。当時は相変わらず口下手で、誰とも話せないほどだった。なんと言っていいか、考え出すのに時間が必要だった。

 俺ははじめて、クラスで最下位を取った。


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