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殺しの天才  作者: 迫田啓伸
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3-1

 ここ一週間の記憶がない。

 人間の脳は実によくできているな、と感心した。

 都合の悪いことはすべて忘れてしまう。

 俺はもしかしたら二重人格かもしれない。今の俺とは別の人格が起動し、何かをやらかして消えた。

 しかし、俺は大体のことはわかっていた。


 親殺し。

 

 いまでは、それほどめずらしくないか?

 頭に残っているイメージとしては次のようなものだ。

 俺は親を殺した。

 やくざから奪い取ったサブマシンガン……イングラムをそいつら向けて撃った。

 親が何を言い残したか。

 俺が何を言ったか。

 それらは全く覚えていない。俺は家族を殺し、逃げた。

 家を家族の死体もろとも、放火した。

 ついでに適当な民家にダイナマイトを投げ込んだ。

 何事かと様子を見に出てきた野次馬たちや、騒ぎを駆けつけてきた警察にも、イングラムを撃ちまくったり、ダイナマイトを投げ込んだりもした。

 サブマシンガンは弾がなくなり、どこかに捨ててきた。

 M500も撃った。

 持っていたものはすべて使った。何人も人が倒れていった。

 たまたま投げたダイナマイトがパトカーの群れのすぐ前で爆発。

 パトカーは玉突き事故を起こし、何台もひっくり返った。

 映画の中の話のような気がする。


 よく今まで逃げてこられたものだ。

 どうやって逃げてきたのか。

 全く覚えていない。


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