第四話 ~試験~
第4話をご覧いただきありがとうございます!
今回はルアが冒険者登録の最後に行われる適性試験へ挑みます。
果たして無事、冒険者として認められるのでしょうか。
受付嬢は登録用紙をしまうと、小さく微笑んだ。
「それでは最後に、簡単な適性試験を行います。」
「適性試験……?」
「はい。冒険者として最低限の実力を確認するためのものです。」
オルセが笑う。
「安心しろ。命がけの試験じゃねぇ。」
「新人は全員受けるもんだ。」
受付嬢に案内され、俺たちはギルドの裏庭へ向かった。
そこには広い訓練場があり、木剣を打ち合う冒険者たちの姿があった。
「まずは身体能力の確認です。」
受付嬢が木剣を一本差し出す。
「この試験官に、一撃入れてください。」
俺の前へ一人の男が歩いてきた。
短く刈り込まれた髪。
鍛え抜かれた体。
腰には本物の剣を下げている。
「俺は試験官のガルドだ。」
「遠慮なく来い。」
木剣を握る。
(……剣なんて握ったことないはずなんだけど。)
「始め!」
ガルドが一気に距離を詰める。
「っ!」
反射的に木剣を構える。
__カンッ!
木剣同士がぶつかる。
腕が痺れた。
(重い……!)
そのまま押し切られそうになり、慌てて後ろへ飛び退く。
「ほう。」
ガルドが少しだけ目を細めた。
「初めてにしては悪くない。」
そんな事を言っているが、相手は片手で木剣を受け止めているだけだった。
(全然本気じゃない……。)
力の差は歴然だった。
ガルドは木剣を軽く払い、俺との距離を取る。
「もう一度来い。」
「……っ!」
俺は地面を蹴り、一気に踏み込む。
横薙ぎ。
突き。
振り下ろし。
思いつくまま木剣を振るう。
だが、その全てが紙一重で躱され、時には片手で軽く受け流された。
「動きは悪くねぇ。」
「だが、剣に振られてる。」
「もっと相手を見ろ。」
次の瞬間。
コンッ。
「あっ……。」
木剣で手元を軽く叩かれ、俺の木剣は宙へ舞った。
カラン、と乾いた音を立てて地面へ転がる。
「そこまで。」
ガルドは頷いた。
「合格だ。」
ガルドは木剣を下ろし、俺をじっと見つめた。
「剣術は素人。」
「だが、反応速度は悪くない。」
「初見で俺の動きについて来られた新人は久しぶりだ。」
周囲の冒険者たちが小さくざわつく。
「ガルドが褒めるなんて珍しいな。」
「見込みはありそうだ。」
オルセは腕を組みながら笑った。
「言っただろ? 面白い嬢ちゃんだって。」
俺は額の汗を拭いながら息を整える。
(……勝てる気はしなかった。)
(でも、あの蜘蛛型の魔物よりは相手になれたと思う。)
受付嬢は試験結果を紙へ書き込む。
「身体能力、反応速度ともに基準値を上回っています。」
「これよりルア・アークさんをEランク冒険者として登録します。」
そう言って、小さな金属製のプレートを差し出した。
「こちらが冒険者証です。紛失しないよう、大切に保管してください。」
俺はそれを受け取り、刻まれた''E''の文字を見つめた。
(これが……俺の冒険者としての第一歩なんだ。)
第4話を読んでいただきありがとうございました!
ルアの冒険者としてのスタートを描いた回でした。
次回からは異世界での本格的な生活が始まりますので、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。




