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Imagedia  作者: SaikoroX
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【第十五章:不協和音(Dissonance)】

ネルヴェリア機構、管制棟の一角にある小型ブリーフィングルーム


窓の外には、オービタリス・クラウンの巨大な環状構造が静かに横たわっているが、室内の空気はそれとは対照的に、刺すような緊張感に満ちていた。


部屋の中央に置かれた円卓を囲むように、Dev-3の面々が座っている。

誰もが口を閉ざし、円卓に投影されたホログラムの通達ログを見つめている。

その沈黙をさらに重くしているのは、部屋の隅、入り口に近い壁に背を預けるようにして立っているユルク・バレンタ少尉の存在だった。


ユルクはいつも通り静かだった。


しかし、これまでの戦闘や訓練で見せていた、どこか突き放したような親密さ――「仲間」としての気配はそこにはない。


背筋をわずかに伸ばし、視線を一点に固定したその佇まいは、まるで冷徹な監視員のようであり、隠しきれない**“よそ行き”の気配**を漂わせている。


円卓の上には、新任務のホロウィンドウが冷たい光を放ちながら浮かぶ。


【資材運搬護衛任務】

目的地:カルナゼルヴァ圏 主補給拠点

現地運用主体:バルゲイン隊

Dev-3:戦術支援部隊として同行


グランは、袖口の乱れ一つない動作でホロパネルをスクロールさせた。


「補給艦隊に同行し、カルナゼルヴァ圏までの護衛にあたる。

現地の管理はヴァルゲイン隊が主導する」


「“お邪魔しまーす”って気分だな」


カイルが鼻で笑うように、椅子に深く背を預けた。


しかし、周囲に笑う者はいない。カイルはボルトを握り込み、眉を寄せた。


「腕は十分だし、監視されてんのは俺たちの方かもな、あれ」



グランは端末を操作する指を止め、一同を射抜くような鋭い視線を向けた。

「腕は確かだが、信用しきれる相手でもない。

……我々は我々のやり方を貫く。それだけだ」


ダリオがゆっくりと腕を組み、深く頷く。


「まぁ、話せるやつもいる。ガイルとか。

だが……気を抜ける環境じゃねぇな」


リアナは、不安を押し隠すようにわずかに声を震わせた。


「向こうの空気……絶対違うよね。

受け入れてもらえるかどうか……」


シオンはホロパネルを見つめたまま呟く。


「……でも行く。

やるべきことがあるなら、やるだけだ」


その時だった。

グランがひとつ画面を閉じ、音もなく姿勢を正す。


「――それともう一件、通達がある」


視線が自然とユルクへと集まった。

ユルクはわずかに顎を引き、正面を見据えたまま動かない。


「ユルク・バレンタ少尉。

本部より、監視任務の一時解除が命じられた。

即日、ドラウスト圏へ帰還し、次任務へ合流せよ」


シオンたちが小さく息を呑む。

ユルクはわずかに瞬きをしただけで、すぐにグランへ向かって頭を下げた。


「……承知しました。

状況の変化があるとは聞いていましたが……ここまでとは」


本人の声は淡々としていたが、握り込まれた拳が微かに震え、その奥に疲労と別の感情が混じっていた。 彼は、少しだけシオンたちの方へ顔を向けたが、目は合わせない。


「正直……助かる部分もある。

ジュリの件で、俺はお前たちに肩身の狭い立場だった。

……だから監視官のまま同行するより、きっとこれで良かったんだろう」


リアナが、何かを言おうとして口を半端に開き、そのまま息を吸い込んだ。


「ユルク……」


「心配するな」


ユルクは口角をわずかに上げ、痛ましげな微笑を浮かべた。


「ドラウストへ戻るのも仕事だ。

お前たちは、お前たちの任務をやれ」


そして最後にグランへ敬礼する。


「以上です。……皆、健闘を」


これで会議は締めとなった。


――――


会議室の重厚な扉が閉まると、廊下には四人の足音だけが響いた。


グラン大尉とダリオ中尉は、残務処理と任務の最終調整のため室内に残っている。


「……なんか、いきなりだな」

カイルが、首筋をさするようにして頭をかいた。


「もっとガッツリ首突っ込んでくるかと思ったわ、お前……」


ユルクは歩調を緩めず、隣を歩くカイルに小さく肩をすくめて見せた。その動作は以前のような硬さが取れ、どこか柔らかい。


「俺だってそう思ってたさ。

だが本部がそう言うなら……従うだけだ」


廊下を横切るオービタリス・クラウンの朝の光が、一行を逆光で照らす。

ユルクはふと足を止め、三人の顔を順番に見つめた。


「お前たち――気をつけろ。カルナ=ゼルヴァは……甘くない場所だ」


ルクの言葉に、リアナが姿勢を正し、自分の腕を抱くようにして頷いた。


「わかってる。でも、行くよ。それが私たちの、今の仕事だから」


「ならいい」

ユルクは短く言った。

「……シオン、カイル、リアナ。

次に会うとき、胸を張れるようにしておけ」


シオンは、ユルクの言葉を真正面から受け止める。


カイルが、わざとらしく鼻を鳴らして笑った。


「お前こそな。帰ってきたら飯くらい奢れよ」


「……考えておく」

ユルクはわずかに口角を上げると、一度だけ短く頷いた。


次の瞬間にはもう、背を向けて歩き出していた。


朝の光が差し込む廊下の先へ。

三人は、その背中が通路の曲がり角に消えるまで、しばらく黙って見送っていた。


――――――


銀河の星明かりを背に、三隻の艦隊が静かに進んでいた。


先行する補給貨物船。

その両側を守るように、左右に並ぶ二隻の護衛艦――

左にDev-3小隊艦、右にバルゲイン隊の小型拠点艦。


貨物船の外殻には、積載物資の反射でかすかな鈍い光が滲んでいた。

戦闘艦のような武装はなく、防御フィールドだけが規則的に微振動している。


その周囲を、4機のギアがゆっくりと旋回していた。


シオンの ID-NV-01tCイマジディア

ダリオの SD-NV-02L


そして――

バルゲイン隊の NRXX-12(クァルナ搭乗)

同じく NRXX-12B(ソリオ搭乗)


元はスカーヴァンが扱っていた旧パイロンギアNRXXシリーズ。

だがヴァルゲインが運用するそれらは、外装のほとんどが改修され、

装甲は無駄に分厚く、関節部は刃のように鋭く尖っていた。


ソリオの機体には、かつての作業用アームを無理やり近接武器に転用した無骨な痕跡が残り

クァルナの機体からはエネルギー供給用の無機質なケーブルが母艦へと繋がっている。


無音の宇宙空間。

推進音も、会話も、外には何も響かない。

唯一、コックピットの内部だけに、緩やかな通信音と微細なセンサーの警告波が重なっていた。



静寂を破るように、通信回線がノイズと共に開く。


「……異常なし。艦隊、定時航行中」


リアナの報告が艦内チャンネルを通して流れる。

コンソールの青白い光に照らされた彼女の横顔はどこか硬く

不慣れな混成部隊のオペレーションに神経を尖らせているのが見て取れた。


「ギア隊も異常なし。現在、シオン機、クァルナ機が第一区域巡航中。

ダリオ機、ソリオ機は第二区域から第三区域へ移行開始」


ダリオが淡々と応答し、巡航ルートを補正していく。

慣れた手つきでスイッチを弾きながらも、その視線は常に、隣り合う「かつての敵」の機体挙動を鋭く射抜いていた。


その返事に、クァルナが短く答えた。

「了解」

必要最低限だけの冷たさ。

音声フィルタ越しでも、温度の低さが伝わる。

コックピットの中で、彼女は感情を殺した瞳で流れる星々を見つめ

ただ指先だけでスロットルの微細な振動を抑え込んでいた。


ソリオの声も同じだった。

「問題なし」

切り捨てるような一言だけが返ってくる。

返答と同時に通信を遮断するその仕草には、アグノテウムという「国家」の枠組みに対する

拭いきれない拒絶が滲んでいた。


コックピットの外、星々が流れる。

遠くには、まだ知らないカルナゼルヴァ圏が、冷たく瞬いていた。

それは、彼らにとっての新たな「火種」か、あるいは「居場所」か。


小隊艦アルヴィエルの中で、グランは航路情報を確認しながら小さく呟いた。

「――静かだな。静かすぎる」

腕を組み、重厚な椅子に深く腰掛けた彼の眉間には、消えない皺が刻まれている。


艦内に響く駆動音さえ、嵐の前の静止のように感じられた。


その声に、ダリオも低く答える。


「静かなのが一番ですよ、大尉。……本来なら、な」


モニターの端で点滅する「バルゲイン隊」の識別タグを見やり、ダリオは苦笑混じりに唇を噛んだ。


グランの指がホロウィンドウを軽く撫でる。

航路の一部が、わずかに教範とズレていた。


「……ヴァルゲイン隊の巡航角度、微妙に……」

言いかけて、口を閉じた。

「……いや、気にしすぎか」


かつて「スカーヴァン」としてこの空にしがみついていた者たちの、軍規では測れない独自の「癖」。

それを感じ取りながらも、彼は自らの指先を見つめ、思考を打ち切るように拳を握った。


それでも、誰もがわかっていた。

この静けさが、永遠に続くわけではないことを。


銀河の宙域を進む影たちは、

やがて訪れる何かを、まだ見ぬ未来を、

知らず知らずのうちに警戒しながら進んでいた。


静かな巡航。


貨物船を中心に、ギアが一定間隔で周回し続ける。

無音の宇宙に、推進波の淡い脈動だけが広がっていた。


シオンのイマジディアが貨物船の左舷側を滑るように進む。

I.E.S.S.特有の熱源を持たない推進光は、星々の輝きを僅かに歪ませながら、まるで空間そのものを滑走しているかのようだった。


ふと、その時、カイルから気楽な声が無線に流れた。


「なぁシオン。……ぶっちゃけていいか?」


「?」


「……あんな骨董ギアと並走してさ。

爆発とか……ないよな? 俺らまで巻き添えとかマジ勘弁」


それは軽口の形をしていたが、

中身はわずかに本音の“恐れ”を含んでいた。


直後、別チャンネルからリアナの怒りが走る。


「カイル! そういうこと言わないの!」


「冗談だって! ほら、ちょっと思っただけで――」


言い訳めいた声が途切れた。


――その瞬間。


共同無線に、鋭い声が割り込んだ。


「……聞こえている」


一気に空気が張る。

バルゲイン隊――ソリオ。

怒気ではなく、冷えた刃のような静けさ。


「発言には気をつけろ。

宙域警戒中だ。雑音は不要だ」


低く、抑えた声。

しかし、明確に“何かを刺す”温度を帯びていた。


カイルは沈黙し、気まずそうに咳払いする。


「……あー、共同回線って案外広いんだなぁ……はは」


返答はない。


シオンはため息を押し殺し、チャンネルを切り替えた。


「……カイル。反省しとけ」


「わーってるよ……ったく、こえーな、あいつら」


リアナも黙り込んでいる。

その表情が硬いのが通信越しにも伝わる。


ギアたちは再び静かに宙を巡る。

だが、さっきまでの静けさは違っていた。


まるで見えない境界線が、

彼らの間に引かれたかのように――。


冷えた航路。

カルナゼルヴァ圏はまだ遠い。


だが、緊張はもう始まっていた。


共同回線が静まりかけた、その瞬間だった。


今度は別の声が割り込んだ。

バルゲイン側のもう一人――クァルナ。


「……そのよくわかんねぇギアに“打たれなかったら”爆発なんざしねぇよ!!」


怒りというより、

“あの時の記憶が剥き出しになった”ような声だった。

彼女は無意識に左肩を抱きしめていた。

かつてシオンのイマジディアが放った高出力ビームに装甲を焼き切られ

死の淵を覗いた時の熱い恐怖が、今の冷たい沈黙の中で疼き出していたのだ。


カイルも反射的に噛みつく。


「なにぃ!? あの時はお前らが――!」


その瞬間、


「――おい、お前ら!!」


ダリオの怒声が、通信全体を叩きつけるように響いた。


「ここは航行中だ!

くだらねぇ口喧嘩してる暇があったら、周囲警戒に集中しろ!!」


普段温厚なダリオとは思えない鋭さだった。


クァルナもカイルも――そしてシオンすら――一瞬息を呑んだ。


ノイズすら消え失せた静寂の中で、ダリオが放つ圧倒的な威圧感だけが

各機のコックピットを物理的な圧力となって支配していく。


沈黙。


その沈黙を切り裂くように、

冷たいソリオの声が入った。


「……第一区域、再展開。

警戒最優先だ」


それだけだった。


ギアたちは無言で持ち場へ戻り、

航行ラインへ再び散っていく。


だが、

無音の宙域を進む彼らの間には、

先ほどまでにない“鋭い縁”が生まれていた。


まだ信頼には遠い。

まだ何も始まっていない。

それでも――確実に、何かが動き始めていた。


だが、この航路は――

いつか、誰かが、本気で命を預ける場所になるかもしれなかった。


静かな銀河を、四機の影が巡っていく。


それぞれの胸に、未だ収まらぬ火種を抱えたまま。

モニターに映る互いの熱源反応は、まるでいつ消えるか分からぬ灯火のように

暗黒の中で小さく脈動していた。


重たい沈黙が、共同無線を支配していた。


だが、その空気を、

ひときわ軽い声が破った。


「――まぁ、見てみろよ」


ダリオだった。

兄貴分らしい、少し肩の力の抜けた声。


「船もギアも、ネルヴェリアでちゃんと改修してやったんだ。

もう骨董品なんて言えねぇだろうよ」


その言葉に、一瞬だけ無線が静かになった。


そして、今度はヴァルゲイン側――

艦橋にいたガイルの声が入った。


「……そっちのやつもな。

マルキが見た部分、調子よさそうじゃねぇか」


豪快ながら、どこか親しみのある声だった。



無線越しの言葉の交換。


わずかながら、それは認め合うきっかけになった。


クァルナもソリオも、それ以上は何も言わなかったが、

否定するでもなく、沈黙のまま会話を受け止めた。


「……良い所も悪い所もある」


グランが、最後にまとめるように低く言った。

艦橋の窓から広がる、光と影の混ざり合う星海を見つめる彼の背中には

立場も過去も違う者たちを一つに繋ぎ止めようとする、指揮官としての静かな覚悟が宿っていた。


「だが、今ここで互いに守るものは――同じだ」


それだけだった。


指示も命令もない。

だが、十分だった。


互いに、互いを完全には信じない。

だが、だからこそ、今は手を取り合える。



無線は再び静かになった。

だが、今度は、

冷たさではなく、ほんのわずかな温もりを残して。


銀河の中を、艦隊は静かに進み続ける。


互いにわだかまりを抱えながらも、

それでも、

一緒に同じ航路を歩くために。


「――まもなく、カルナ=ゼルヴァ圏内に入ります」


リアナのアナウンスが、艦内に響いた。

その声は、普段よりも少しだけ硬かった。


コンソールに映し出される重力偏差データが、これまでのネルヴェリア周辺とは比較にならないほど乱れていることに、彼女は無意識の警戒を抱いていた。


同時に、外の景色も変わり始める。


無数の小さな影。

細かい金属片や、砕けた船体の破片。

星の死骸とも呼ぶべきデブリ群が、航路を埋め尽くしていた。


それは星衝融合という「光の時代」の繁栄が生み出した、美しき世界の排泄物だった。


「……すごい量のデブリ……!」


リアナの驚き混じりの声。


「各艦各機、周囲に気をつけてください!」

即座に、警告が無線に飛ぶ。


シオンのイマジディアが微かに揺れた。

推進調整のため、繊細なスラスターコントロールを続けるが――

細かすぎるデブリに、機体がふらつく。


I.E.S.S.特有の空間歪曲が、微小な金属片と干渉し、機体に奇妙な共振を伝えていた。


ステアリングがわずかに流される…。


その瞬間。


すぐ横を飛んでいたソリオ機が、

無骨な近接用マニピュレーターを伸ばし、

迫ってきたデブリを一閃、弾き飛ばした。




「……っ、ありがとう!」

思わずシオンが礼を言う。



すぐに、無線に別の声が重なった。


「そんなんじゃ、あんたのギア、廃棄になっちゃうよ!」


クァルナだった。

その声には怒りではなく、どこか呆れと――

わずかな優しさが滲んでいた。


「ここはね、どこもかしこも宇宙ゴミの多い掃き溜めなんだ。

あんたもそうなりたくなかったら、気をつけることね!」


シオンは驚きながらも、

素直に頷いた。


「……了解」


短い返答だったが、無線越しに確かに伝わるものがあった。


「圏内ったってよ……」

カイルがボソッと無線で呟いた。


「こんな地球から離れてるのか……?

ジェムリングの外どころじゃねぇじゃねぇか」


カイルはモニターのズームを最大に引き上げ、遥か遠くに霞むクラウン・ピラーと地球の残光を見つめた。

自分たちが慣れ親しんだ、光輝くアグノテウムの中枢が、ここではあまりにも無力で遠い。


その疑問に、ガイルの落ち着いた声が答えた。


「――カルナ=ゼルヴァは、

星衝融合の資源領域を護るために、地球圏からわざと距離を取ったんだ」


「地球に寄れば、クラウンのジェムリングに引かれて、

惑星残骸がリング内に落ちる。……そんなことになったら、取り返しがつかねぇからな」


ガイルは続ける。


「ここは言わば“外壁”だ。

地球を守るために、汚れ役を押し付けられた外縁だよ」


彼の声には、採掘惑星の劣悪な環境で命を消費し、国家から「誤差」として扱われてきた者たちの、静かな憤りが混じっていた。


――その静まり返った数秒、

カイルが、息を呑むような小さな声でつぶやいた。


「……外壁、ねぇ……。

そんな場所を、俺ら、これから行くのかよ」


それは文句でも弱音でもない。

ただ、目の前の光景を前にした、ごく自然な反応だった。


シオンは正面の視界に映る巨大な残骸の影を見つめながら、

胸の奥が少しだけ重くなるのを感じていた。


だがその重さを振り払うように、ダリオが小さく息を吐いた。


「――気を抜くなよ。

どんな場所でも、やることは変わらねぇ」


その声は、いつも通りで。

その“いつも通り”が、不思議と皆の緊張を少しだけ和らげた。


宙域はさらに濃いデブリ群に覆われ、

航路は細い一本の糸のように狭まっていく。

艦隊は速度を落としながら、慎重に進路を調整していた。


――カルナ=ゼルヴァ域。


そこは、“守られた世界”の裏側で積み上がった、

犠牲と、忘れ去られた者たちの宙域だった。


進む先――

まだ見ぬコロニー群と、崩れかけたオービタルクラウンの外縁部が、

遠い銀色の残光の中で、かすかに揺らめいている。


ここは、忘れられた者たちの宙域。

そして彼ら Dev-3 が――

新たな現実と向き合う、その最初の地だった。

銀河の境界線を超え、彼らは「国家の理」では測れない

剥き出しの真実へと足を踏み入れていく。

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