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3話 嫌です

目を覚ますと自室のベッドの上だった。

「アオリ...様?」

目の下にクマが出来てるルナが泣きそうな顔でベッドの側に座っていた。


「良かった...ほんとに良か...った...です」

「ルナ、心配かけてごめんね」

その話し声が聞こえたのか扉の側にいたであろうもう1人の召使い、ケイが入ってきた。

「アオリ様!目が覚めたのですね」

私より年下のケイが浮かべる表情は涙ぐむルナよりも大人びている。


「人を呼んできます」

「えぇ、ありがとう」

その後はお父様が優しく抱きしめてくれたり、中身は大人だというのに皆の優しさに泣き出しそうになってしまった。


「それで、アオリ。ヴァンの事だけど」

「はい」

「話があるそうだ、大丈夫か?」

「えぇ、心配には及びません」

「そうか分かった。お前たちは出て行ってくれるか」


お父様がこの場にいる召使いに外に出るよう言った。個人的にはいて欲しいんだけどなー。


ルナは渋々外へ行き、入れ替わるようにヴァンが入ってきた。

「姉様...ごめ、なさい」

泣きそうな顔で唇を噛み締めている。

これはこっぴどく怒られたか。自分の愚かさを嫌という程知らされたか、どちらにしよ娘の事になると容赦がないな。


「大丈夫よ、もう怒ってないわ。それにお父様怖かったでしょう?」

私がそう言うとコクリと頷く。

「いや、別にそこまで怖くはないと思うけど」

(お前は黙っとけ)

心の中でお父様に悪態をついた。


「そんな!酷いよアオリ!」

「心の中を勝手に読むのやめて下さい」

相変わらずこの人は...と思いながらも過保護な所とかやり過ぎだと思う事も多いけど心地良くてなかなか手放せない。


「ヴァン、もうこんな事しないでね」

「うん...!ほんと、にごめん...なさい」

そういえばずっと気になってた。この子私と1歳しか変わらないのになぜこんな喋り方なのか。

多分触れてはいけないんだろう。


「そうだ!アオリ」

「嫌です」

「まだ何もいってないじゃないか」

なんとなく察する。ヒロインの回想シーンであった。彼の教育だ。

そもそも何故刺された相手の教育に励まなければいけないのか。それがゲームの仕様だとしても可笑しいだろ。ヒロイン優しすぎて泣けるわ。


「で、アオリには彼の教育をしてもらいたいんだ」

「は?」

「だってある程度の歳になれば社交界に出る事になるんだ。その時恥をかかないよう今から教育した方がいいだろう」

(病み上がりに何をさせるつもりだこの馬鹿は)

「そんな事言わずに!すぐにとは言わないから傷が治ってからね」

すぐに人の心を読むのはいかがなものか。

魔法を跳ね返す力でも手に入れようかな、出来るでしょヒロインだし。


「姉、様は僕...嫌?」

(嫌です)

ニッコリと微笑んで答えた。

「いえ、大丈夫よ。一緒に頑張りましょうね」

はぁ、出家しようかな。

ブックマークありがとうございます!!

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