前編
※注意
『俺変』『俺イチャ』を見ないと分からないかもしれないので事前に見ておきましょう。
「温泉だ!!温泉に行くぞ!!」
休み時間、小月が突然そんな事を言い始めた
「は?」
「温泉といえば、混浴だぞ!冬の定番だ!!」
ガンッ!!
「痛いっ!?何すんの小岩!」
「大声で混浴って言うな!!ていうか、こんなやり取りを前にしたし!!」
「あれ?そうだっけ?」
俺が雪未にプロポーズしてから2年
無事大学受験が終わって、卒業まであと少しのことであった
「それでどうして温泉なの?」
俺の嫁、雪未が聞いてきた
「………俺達もそろそろ卒業だろ?」
「?あぁ」
「卒業したら俺達はバラバラになってしまうし、こんな日常が終わってしまうと思うと、なんだかすごく悲しくなってきてさ」
「……………」
「だったら別れる前に皆と思い出を作りたい。だから俺は温泉に行くことを提案したのさ…」
「小月……………」
「まっ、本当は女の子の浴衣姿を拝みたいんだけどね!!」
「いろいろ台無しだよっ!!」
さっきまでの感動シーンはなんだったんだ
「まったく…本当に浴衣姿見たいわけじゃないよな?」
「まぁ思い出を作りたいのはマジだから、というわけでどうだ?」
「私はいいよ~皆で楽しそうだし」
クラスメイトの黒磯が言った
「私もいいよ。皆と思い出作りたいし」
「おう、城崎っちゃんも乗ってくれるか!」
「雪未が行くってんなら俺も行くよ」
「よし!!俺もノってきたぜ」
「あ。でもさ、今から予約するのは大変だろ?」
ふと小月にそう聞くと
「ふっふっふっ…こんなこともあろうかと旅館の宿泊券を人数分持ってるぜ!!」
「毎度のことながら用意がいいな(汗)」
「そうだろう。ところで尾久はどうするん?」
「う~ん温泉かぁ…」
すると尾久が珍しく悩んでいた
「珍しいな、こういうのすぐ飛びつくのに」
「そうなんだけど、温泉でしょ?」
「温泉だな」
「なんていうか…温泉で身体晒すのはちょっと…」
「あぁ…」
確かに女の子にとっちゃ男の前で身体見られるのは抵抗あるか
ましてや混浴だしな。
「そうかな~?沙紀って結構いい身体してると思うんだけど」
「そんなことないって、この前なんかちょっと増えちゃたし」
「でもその脂肪は全部胸に回ってるんじゃないのー?」
「違うってば!!ねぇ、私って太ってるように見える?」
なぜか男の俺らに話を振ってきた
「その話を俺らに振るなよ(汗)」
「でもこういうのは第三者に見てもらったほうがいいじゃない?」
「う、うーん…いつも通りだと思うけど」
「小岩ったら、そんな目で見てたなんて…スケベ///」
「そんな目ってなんだ、そんな目って」
「でもいつも通りに見えるんだ…もしかしたらお腹に脂肪溜まってるのかも…」
「どれどれ」
ムニッ
「~~~~~~~~~~!!/////」
グシャ!!
「ぐぼへ!!」
「だ、誰がお腹触っていいって言ったのよ!!/////」
「ちょ…尾久………みぞおちとかナシだわ…」
小月はお腹を押さえて苦しんでた。相当痛いんだろな
「アホか…ほら、高井戸さんを誘いに行くぞ」
苦しんでる小月を引きずって、教室をあとにした
~~~~~~~~~~~
「え?卒業旅行ですか?」
「うん、卒業前に皆で行くかって決めてんだけどどう?」
「私はいいですよ。卒業旅行とか憧れてたんです」
「そっか、でも行くところは温泉らしいよ」
「へぇ………ところでどんな温泉なんですか?」
「なんと混浴のある温泉旅館なんだぜ!」
「こここ混浴!?/////」
「そうだ、温泉の醍醐味といえば混浴だからな」
「じゃ、じゃあ一緒にお風呂に入るってこと?///」
「え?あー、そうなるわな」
「えと…つまり私の裸が小岩くんや正孝に見られるわけで………ということはそういう事で…はぅ…あうぅぅ…/////」
「由香里?(汗)」
ボンッ!!///
「きゅうー…///」
「ちょっ、大丈夫か!?」
「大丈夫かな高井戸さん…(汗)」
…とまぁいつものメンツが揃って、1泊2日の温泉旅行が始まったので
あった。
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そして当日
ガタンゴトンガタンゴトン…
「さぁ!!旅行だ!!」
「えらくテンション高いな小月」
「当たり前だ!!だから昨日は全然眠れなくてな」
「小学生かお前は(汗)」
コイツよく見ると目の下にクマがあるし…
「それにしても雪未はメイド服で来たんだね」
「うん、私こっちの方が着慣れてるから」
「そういえばそのメイド服って誰が用意してるの?」
「裕吾のお母さんが作ってくれたんだよ。裕吾のお母さんって有名なデザイナーなんだって」
「そうなの!?なんで教えてくれなかったの?」
「別に言うことでもないだろ」
「でも驚きだよ。そんな有名な息子さんがスキャンダルだらけだからねぇ」
「おい、尾久があることないことでっち上げたせいだろうが!!」
「てへぺろ♪」
「ところでね、これから行く温泉は美肌の湯って言われるほど有名なんだって」
「本当に!?それならたくさんお風呂に入らないとね」
「あ、そういえば山奥なら雪とか降ってるのかな?」
「もしかしたら雪見風呂とか堪能できるかもよ?」
「わぁ!!楽しみだね」
「そっか、山の方は雪が降ってるのか」
「降ってるかなぁ?まだ雪見てないんだけど」
「よく言うじゃん、『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』とか」
「あぁ、でも本当かね」
電車は長いトンネルを走っていた
そしてトンネルを抜けると………
目の前には一面の銀世界だった
「うわー、雪だー!!」
「うぉ、スゲー降ってるじゃん」
「すごーい。ね、着いたら皆で雪合戦しようよ!」
「いいねー、小月に雪玉を当てようね!!」
「なぜに俺!?(汗)」
ワイワイキャアキャア
「やれやれ…」
なんかスゴく騒がしい旅行になりそうだな
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電車とバスを乗り継いで、数時間
「さぁー、着いたぞ」
「おぉーなかなか趣のある旅館じゃないか」
旅館の名前は『龍水荘』、立派な造りの木造のいかにも旅館!って感じのたたずまいだ
ぼふっ!!
「ひゃー、ゆーきー!!」
尾久と黒磯は雪がよほど楽しみだったのか、誰も踏んでいない雪のところにダイブした
「おいおい風邪引くぞ」
「平気、平気。冷たくて気持ちいいー」
「そうだ!!今から雪合戦しよーよ!!」
「さんせー!!」
「荷物置いてからでいいんじゃ………ごふっ」
「よっしゃ、顔にヒット!!」
俺の顔に小月の雪玉がクリーンヒットした
「裕吾!?大丈夫!?」
「………よろしい、ならば戦争だ」
「裕吾の顔がスゴく怖いよ!」
「よっしゃ掛かってこい!!」
「てめーをあの雪山に頭だけ出して埋めてやる!!」
「怖い事いうなよ!」
てなわけで即席の雪合戦が始まった
「ん?」
すると旅館の玄関先から誰かが出てきた
ザッザッザッザッ
な、なんだ?みるみるこっちに近付いてくるぞ
「泣く子はいねーがー!!!!!」
「どえええぇぇぇぇぇ!??」
いきなり鬼のお面を付けた女性が出てきた
「な、なんだあれ!?超こえぇ!!」
「泣く子はいねーがあああぁぁぁぁぁ!!」
「なんでこっち来るんだよ!!」
そしてなぜか小月に向かって突進してきた
「ひいぃ…!!」
小月は追いつめられて、腰を抜かしてしまった。
小月ピンチ!
「あらら、怖がらせてゴメンなさいね」
「………え?」
女性はお面を外すと、キレイな顔立ちをした顔が現れた
「ようこそいらっしゃいました。ご予約された小月様ですね?」
「は、はい…」
「当旅館の女将をしております『東崎井草』です」
「お、女将さんだったんですか」
「はい、こういうお迎えのしかたがこの地域の伝統なんですよ」
「なんだその伝統」
「はあぁ…それにしてもさっきの雪合戦…よかったですわ」
「え?」
「若々しさが感じられて、元気を貰えるようでした」
「はぁ」
「でもお客様、旅館の前で遊んではいけませんよ」
『す、すいません…』
「ふふ、でも元気があるのはいいことですよ。では、早速部屋に案内しますわ」
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「おー、イイ景色だなー」
部屋からはすぐそばを流れる川と緑豊かな森が目の前を覆い尽くしていた
「よっし、それじゃあお風呂に行くぜ」
「いや、ちょっと待て」グイッ
「うげっ!?襟を掴むなよ!」
「そういやさっきはお前に仕返ししてなかったよな?」ニヤ
「ま、まさか小岩…」
「そうだ…」
「雪合戦再開じゃあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」
続く