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1話.転生、理解
ミシェルが目を覚ました時、はじめに考えたのは『どうしたらみんな絶望してくれるんだろう』だった。
一番最初。
初めて、ミシェルが“意識”を持った時。
ミシェルは混乱した。
ミシェルは日本に住む女子高生だった。
人と話すのが苦手で、友達なんて一人もいない、暗い女子高生。
それが、目を覚ましたらやたら煌びやかな部屋で寝ているのだ。
しかも、小さな赤子となって。
はじめは解らなかったその世界の言葉も、時間をかけて理解した。
文字だって、普通の子供よりも遥かに早く読めるようになった。
そして、理解した。
ミシェルが生まれ変わったこの世界は、前世に存在した、乙女ゲームの世界だと。
ミシェルは、その乙女ゲームのヒロインだと。
解った。解ってしまった。
人間を嫌悪するミシェルが、多くの人間に愛されるヒロインとなってしまったことを。
ミシェルは決意した。
「みんな絶望させてやる」
悪役令嬢も、攻略対象も、国王も、家族も。
みんなみんな、苦しんでしまえば良い。
人間なんて、滅びてしまえ。
そんな罰当たりなことを、とでも言うか?
人間だって、自分にとって不都合な生き物を、自分にとって嫌いな生き物を、滅ぼしてしまいたいと思うじゃないか。
ミシェルにとって、それが人間だっただけの話だ。
さあ、まずはこの国から始めよう。




