31.大騒ぎが未だ終わっていない
お読み頂き有難うございます。ブクマ、ご評価有難うございます。
マデルに連れられて焦げた部屋に戻るアローディエンヌです。
「じゃあー、アレッキオちゃんの外套はー肩にでもかけてー、こっちをーどうぞー」
「素敵なヴェールですわね」
私は背中まである白いキラキラした紗のヴェールをお借りして頭に被ることになった。
マデル様のお持ちのモノをお借りするなんて申し訳ないわ……。
「私物で御免ねー。後でちゃんとしたのをー作りましょうねー」
「そんなご迷惑は」
「いいのよー、私にー怯えない女の子はー久しぶりだからー」
「…憧れのあまり、遠巻きにされているのだけでは?」
「無いわよー、心の柔らかな可愛い子ー。アレッキオちゃんが大事にするだけあるのねー」
え、お褒め頂いてしまった。何故だ。
それにこんなに優しくて美人なのに、何故怯える子が居るの?
即答されるって……。本当にいらっしゃら無いのか……。
コレッデモンってどんな所なのかしらね……。
ドートリッシュとサジュ様とマデル様とミーリヤ様しか知らないけど、私に丁寧に接してくれた心の優しい、いい人ばかりなのに。
でもまあ…いい人が居る国が、いい人ばかりの国では無いわよね。
「物知らずの私に、穏やかに接して頂けて優しくして下さるマデル様は素敵な方ですわよ」
「……やだわー、和むわーこの国には勿体無いー連れて帰りたいー」
「それは困ります……」
……護送中再現より、素敵なヴェールをお貸しいただいて素晴らしいのだけど……。
でも…ヴェール被って義兄さまのコートを羽織り、マデル様に手を引かれ、フロプシーが横に浮いてたら、今の私滅茶苦茶厨二病患ってるイキった電波女じゃないかしら。モブの癖に!!
だ、誰にも……会いませんように……。ま、まあコレから義兄さまに会いに行くんだけど……。
被ると白くてキラキラしてるからかしら、目の前が…キラキラな靄に囲まれている気がするわね。
……だが案外周りは見えるもんだな。
でも若干慣れないので、マデル様に手を引かれて……義兄さまが待つ部屋へ向かう事になった。
「……ヴェール越しなら、マデル様のお顔を見ても問題ないですわ」
「あらー結構無謀ねー。見ちゃったのー。倒れたらどうするのー困った子ねー」
「申し訳御座いません」
「表情も見えるわねー。でもー念の為にー向こうのお部屋にはー、一杯居るからー衝立越しにーお話ししましょうねー」
「多対一だと、倒れる可能性も有るって事ですか」
「何分ー貴女はー特殊だからねー。試すにしてもーちょっとずつよー。何せースキルがー四分の一しかー無いのだからー」
「そ、そうでしたわね……」
確かに今から行くであろう部屋は、イケメンで溢れていて美少女が居るからな……。普段はヒャッホウやったね気分なんだが、今となっては危険地帯ってか………。
しかも相手にしたら、顔を見てぶっ倒れられるなんて最悪だし。
マデル様のみを見るのは大丈夫でも、一斉に見られたらぶっ倒れる可能性は大って事か。
しかし、衝立越しに話か……。
匿名希望の被害者Aさん(18)が証言してる番組みたい……。私の音声は変わらんけど。
あ、どうでもいいけど私のイニシャルもAだわ……。此処の共通言語の文字、厳密にはアルファベットじゃないけど。
「もう少しよー」
「あ、はい……はい!?」
「……あー気付くわよねー。表情がー分かるわー。元々はー意外と表情豊かな子だったのねー」
……確かにちょっと頬っぺたが引き攣ってきたような気もするな。普段動いてないから。
じゃなくて!!
「また壁が……焦げ…融けてるんですかコレは!?」
「そうなのー」
……石が積まれ、漆喰で塗り固められた美しい壁だったんだろう。
今まで渡ってきた廊下のように。壁紙も美しかったしね……。
だけど……其処は、ぽっかりと穴が、……丸く空いていた。
普通は壊れたら出るであろう、瓦礫も無しで。丸く……まるでくり抜いたかのように溶けていた。
お昼なら綺麗に選定された庭が見えるでしょうけど、今は夜の闇しか見えない……。
な、何をしたら…こんなことになるのよ!?
さっきの焦げた臭いってこれかあああああ!!
怖あああああ!
まさか、あの子……フェレギウス皇太子は、これに……このえげつない熱量に当たって無いわよね!?グロいを通り越してる!!
犯人は逃げたってレルミッド様が仰っていたけれど、本当に溶けてないわよね!?
この威力なら死体も残らないけどおおおおお!!
「ひ、人死には無かったんでしょうか」
「ええー。例えばー人がー融けてもー、魔力の余波くらいはー残るしねー。今の所のー被害はー壁だけねー」
「に、義兄さまの仕業ですか!?」
「そうよー。お話にはー聞いてたけどー、こんな術者はー世界に二人とー居ないわー」
「……義兄さまはまた無駄に暴れて……!!」
「でもー仕方ないわねー。
よっぽど雨のお花ちゃんがー大事なんでしょうねー」
「私は……義兄さまにせめて常識の範囲内…叶わないでしょうけど、せめて!!少しだけ逸脱するくらいで行動してほしいんですが」
「無理ねー貴女が絡む以上はー」
無理なんだ……。
初対面に近いマデル様が仰るくらいだから、よっぽどブチ切れてたんだろうな、義兄さま。
……そりゃ心配して貰って嬉しいけれど、それよりも、恐ろしいんだけど!!
「……そこを何とか……ならないものでしょうか」
「だから絶対俺が行くって言ってるだろ鳥番!!」
「ハア!?ふざけんなよ!!大体アレキちゃんに任せたらルディが裂きイカみてーになるか、いいとこ丸焼きで連れて帰ってくるだろうが!!」
「はっ、それならアルヴィエ侯爵家に熱湯漬けで送り付けてやる!!」
「公爵、俺んちにそんな怖いモン送るな!!」
「人の甥をモンとは何だロン!!」
「……お前ら…いい加減にしろ。一応陛下の前だぞ」
「お前が一番失礼だろうがデイン!!」
「えー何でこんな感じになってんだ……」
「ふええええアロンさあん!!」
……予想以上に中が混沌としているようなのだけれど。
子供か義兄さま!!
そして、この世界にも裂きイカ有るのね……。別に好物では無いけれど。
って、何か…違和感が。
ってえ?
へ、陛下!?
今、陛下って聞こえた!?
「あらまー。陛下までーいらしたのー」
「ゲッ、『舌切り悪魔』……!?」
え、今ゲッて言ったの陛下!?
あれ?今までのイメージと違うな……。そんな事言うタイプだったんだ…。
しかし流石マデル様。陛下の失礼な失言にはニッコリと微笑まれ、お手本のようなカーテシーを陛下に披露された。
……凄く優雅だけれど、中におられる方々がシーーーーンって静まり返ったわね。
……正気に返られたようで何よりだわ。特に義兄さま。
「ご挨拶が遅れまして申し訳御座いません。……ディメイラ・マデリーン・リメイですわ」
「あ……ああ、すまん。ウォレム・ディマ・ドゥッカーノだ……」
「ええ存じておりますわ、陛下。シェーリは元気にしておりますわよ」
「…………そうか。失礼をした……、リメイ公爵令嬢。アロ…ユール公爵令嬢の世話、大儀であった」
ヴェール越しに、陛下が滅茶苦茶慌てているのが見えるわ…。
マデル様、語尾伸ばさない時は怒ってる時と真面目な時なんだろうな……。怖え。
そして……シェーリって誰だろう。この感じ…もしかして陛下の想い人だったりするのかしら。
くそう、聞けるムードじゃないな。怖い。
「ブギュ」
「…ああ、フロプシー」
横を飛んでいたフロプシーが私の腕の中に潜り込んできた。
……うーん、癒えるモフモフだわ。
すっかりフロプシー専用のケモナーとして、躾けられている気がするわね。
「ア……アローディエンヌうううう!!!!」
「アロンさあああああん!!!」
「其処のお子様二人はー、雨のお花ちゃんにー抱きついちゃ駄ー目よー」
マデル様が立ちはだかって下さったから、綺麗なお背中しか見えないな。
しかし美女っぽいフルネームだ。流石美人は違うな。
アレ?でも……マデル様って、セカンドネームから来てる渾名なの?お珍しいわね。
「レルミッドちゃんったらー、アレッキオちゃんをー鳥籠から出しちゃー駄目じゃないー」
「アレキちゃんのボケが壊したんだよ!!お陰でこっちもボロボロだっつーの!!」
「あらーそれはーお疲れ様ー。後でー撫で撫でしてあげましょうねー」
「ハァッ……!?な……あ……」
返事はしたいけど、プライドが邪魔する、みたいな?声色だけで凄い葛藤が見えるわ、レルミッド様。
そうよね……マデル様お美しいもんね…。
「おいレルミッド、お前も子供じゃ無いんだからマデル嬢に甘えるなよ」
「……何だよオーフェンのオッサン。マジ怖えんだけど」
「はうううレルミッドさん……」
「うわあああ御養父殿、本当にマデル様に魅入られちまったのか…!?」
「アローディエンヌ!!アローディエンヌ!!」
更に大変なことになってしまっている……。
……義兄さまが煩いなあ……。
話すくらいは大丈夫だろうか。流石に声だけでぶっ倒れる事は無いわよね。
さっきも話してたし…。何かこう、背中がゾワゾワってはするけど。
「あの、義兄さま煩いんですけれど」
「アローディエンヌ!!もう体は平気なの!?」
「はあ、全然。それよりも……先程よりは大人しいご様子ですわね」
「ああやっとアローディエンヌと話せたよ……長かった……!!」
「……そんな長く寝てましたの私?」
「10日くらい待った気がするよ!!」
「嘘でしょう!?」
「30分もー経ってないわよー。
まあー、大事な人がー倒れたらー、気が気じゃないってのはー分かるけれどねー」
マデル様は私のフロプシーを抱えていない方の手を引いて、いつの間にか用意されていた衝立の後ろの長椅子へ座らせてくださった。
さっきの衝立より、嵌まってる硝子がでっかいな。
……うーん、本当に匿名で証言してる人みたい……。現場を見たこと無いけど。
「アローディエンヌの顔が見たい……。表情が動いてるの傍で見続けたい……」
「公爵、弱ってるんですから、俺らを出し抜くのは無理ですよ」
「あんたの甥が弱らせたんだけど、よくそんな事言えるね」
「義兄さま!!失礼でしょ」
「……このマトモな発言の主がアローディエンヌか……」
このゲームでよく聞いた落ち着いた大人の男性の声は!
うおわあああ!!忘れていたぁっ!!私陛下にご挨拶してない!!
しかも衝立の後ろだし!!不敬極まりない!!ど、どうしよう!!この衝立でっかいから、チビの私が立ち上がってお辞儀しても見えねえ!!
ああでも、取り敢えずめいっぱいそれらしい方向へ頭下げとこう!!
「申し訳御座いません陛下!!私…こんな…陛下にとんでもないご無礼を!!」
「…あ、ああ?ああ、良い。聞いている、動かずとも良い」
「何と寛大なお言葉…アローディエンヌ・マイア・ユールで御座います!!」
「う、…………アレッキオ」
え、何故義兄さまを呼ばれるの?私が不敬だから義兄さまにお叱りが!?
「何ですか陛下。まさかこんなに礼儀正しくて可愛いアローディエンヌに何か不満でも?」
「は!?ちょ、陛下に何を申し上げてますのよ義兄さま!!」
「だってえ、あの言い方聞いたあ!?
こんな酷い目に遭わされたアローディエンヌに、あんな言い方酷いじゃない」
「義兄さまは何を仰ってるの!!失礼でしょう!!」
滅茶苦茶普通だったけど!?
意味が分からないし、あんな言い方って言われるような言い方されてないし!!
何で義兄さまって、要らんところで喧嘩を吹っ掛けるの!?
「い、いや驚いただけだ。彼女が本当にお前の義妹なのか?」
え?何で?
陛下は、何故私が義妹じゃない疑惑をお持ちなの?
マデル様の美しいヴェールでも、隠しきれないモブさが過ぎるってこと?だから義兄さまの義妹っぽくないってこと?
いや……でも顔で義妹にされた訳じゃ無いし……そう言われるとどうしようもないんだけどなあ。
どうしよう。
「彼女は間違いなく僕の二人と居ない義妹であり、陛下に結婚を邪魔された直近に妻にする最愛のアローディエンヌですが、どう言う意味ですか?
納得のいく返事が頂けなくて力が戻れば、不敬も恐れませんけど」
陛下に嫌味言った時点でひっくり返りそうなのに!!
何を…仝…何を馬鹿みたいなバカップルみたいな事抜かしてんのよ義兄さまああああああ!!
「ななな何を陛下に申し上げているの!!止めて下さい義兄さま!!
陛下!!申し訳御座いません陛下!!」
「いや、今のはディマが失礼だろう。気にするな義妹姫」
「だってデインお前……こんなマトモなお嬢さんがアレッキオの義妹ってお前……」
え?マトモ?……そんなマトモって言われても…普通に偉い方に対する敬意しかお伝えしてない。
しかも無意識に無視しちゃったし。儀礼に煩い人ならもっと怒られる筈よね?
何故私如きの散々な対応に過分なご評価を……。
陛下はもっと傅かれ慣れておいでなのよね?……どうなってるのかしら。
「オッサン、今ルディとの血の繋がりを感じたぜ……似てんだな。面は似てねーけど」
「いや、お前とも繋がってるんだが」
「……はあ!?い、いえ失礼致しました」
「ええ!?あ、はうう!!わ、わあ!失礼しました国王陛下!!」
え?
今陛下何て仰った!?
どどどどどっどどどう言う事!?
レルミッド様って、王家とも繋がりがお有りなの!?
すっげえ!!全然知らなかった!!
て言うかふざけんな攻略情報及び制作スタッフーーーー!!
ガセネタばっか与えやがってーーーー!!
ってしまったわ!それどころじゃない!!
は?っとか畏れ多くも陛下に言っちゃったじゃないの!!
あああどうしよう、衝立越しではお顔を拝見できない!ご機嫌も分からんわ!!
「……少女達だけだな、私に敬意を払っているのは……」
「いや、そんな酷すぎますよ陛下。俺ら騎士団もこの上なく払ってますけど。なーサジュ坊」
「は、はい!!」
「ロンの言い方は不敬ですが、我々の忠誠は陛下に常に在ります」
「私もー払ってますわよー」
「……いや、もういい」
陛下って一体どのような環境に置かれていらっしゃるのかしら。
ちょっとの間だけでストレスが凄そうなんだけど。私如きがしていいか分からないけど、心配だわ。
後義兄さまも忠誠誓う場面よね、コレ。さっきまで喧しかったのに何で無言なのよ。
「要するに、僕のアローディエンヌが賢くて慈愛に満ちていて心が広くて可愛くて素晴らしいってことでいいんですか?」
「わあ……国王陛下御自らお褒めになるなんて……アロンさんってやっぱり凄い方ですね!!」
喋りだしたと思ったら、また!!息継ぎもしないで要らんことを!!
義兄さまは兎も角、何でフォーナ迄おかしくなってきたの!?
義兄さまの影響よね?止めてよね……!!
「そんな訳有りますか……!!
陛下、どうぞこの二人の戯言はお気になさらないで下さい」
「ええ!?何言ってるのアローディエンヌ!!」
「そうですよ!アロンさんは照れ屋さんなんですね!!」
「あー、何時もの義妹だな、良かったな」
「……この狂った空間が…義妹殿が戻ってきただけで、正常になって来て……オレマジで感動したわ」
……一体何が有ったの、サジュ様……。この一日で内臓損傷(ストレス性)とかになっていらっしゃらないか、滅茶苦茶心配になって来たわ。
胃腸はご丈夫そうだけど…この件が片付いたらお世話になった事だし、ご馳走用意して慰労の会でも開かなきゃね……。騎士様だしお肉とかでいいのかな……。
「……取り合えずー、感動の再会はーこの辺にしておいてー…何を揉めていたのー?
はい、陛下?お聞かせくださいなー」
え、マデル様陛下に聞いちゃうんだ。強いな……。
で、でもこれからは大人しくしておこう。多分私の力と知恵では何ともならんだろうし。
しかし……私、この場に要るのか?あ、義兄さまのストッパー役?
「他国の貴女に……」
「ウチのーダンタルシュターヴ伯爵令嬢はー、今日此処でー攫われましたってー報告はーしてますのよー」
「……ユディト姫にか?」
「当然でーございましょうー?」
「……そうだよなあ……」
陛下のお声が滅茶苦茶ストレスMAXなご様子に聞こえるわね……。
ユディト姫って…マデル様のお国、コレッデモンのお姫様のお名前かしら。素敵ねえ、他国にはお姫様が居るのよねえ。
きっとマデル様のように綺麗で優雅なんでしょうね。お目に掛かりたいなー。
フォーナも皇籍抜けて無きゃお姫様なんだろうけど……多分籍入っててもあんまりお姫様オーラが無さそうだしな……。
「此処までー足をー突っ込んだのですからー、私もー参加させて下さいなー。仲間外れはー嫌よー」
「……宜しいので?陛下」
「断れるならお前が断ってくれ……」
「宜しいわよねー陛下ー?」
押しが強いな、マデル様……。
しっかり仕切っておいでだし。やはり公爵令嬢としてはこんなのも朝飯前なのだろうか。……すげえな。引きこもりのお飾り公爵令嬢(仮)の私とは全く違う……。見習いたいが器も才能も段違いだな……。モブにも真似出来る、他の何かいい方法を考えなければ。
「……しかしマデル嬢、危険だぞ」
「私ー、役に立つわよー?」
「だが貴女は美しく嫋やかな女性で、荒事に巻き込め」
「あらーーー」
「うわあああああ御養父殿せめて一日!!もしくは一月位じっくり置いて滅茶苦茶よく考え直してくれーーーー!!!」
バルトロイズ様とマデル様のお姿は素敵だけど……。
サジュ様の苦悩が深すぎて気の毒過ぎるから、迂闊に触れられんな……。
……違う意味でハラハラするカップル未満だわ。
「……養子の意見が尤もだぞ、バルトロイズ」
「陛下まで何ですか。さっさと結婚しろと言っていたのに」
「あらーじゃあー渡りに舟ねー」
「……まさか『悪魔の四騎士』と組む羽目になるとは……」
……何だか義兄さまが静かだな……。
こういう時って碌な事考えて無い気がするんだけど。
「そのー渾名はー嫌いですのー。ファーストネームで名前をー呼ばれるののー次の次くらいにー」
「………両方二度と呼ばんと誓う」
何だかよく分からんけど、マデル様をファーストネームでお呼びするのは地雷、と言うことか。こんなに親切にして頂いたのだから、御不興を買わないよう気を付けなきゃ。
「それでー進捗はーどうなりましたのー」
「…あ、ああ……。その、だな。……結論から言うと、だな。我が国から被害者が出過ぎた」
「困ったことに、100人は超えてますね」
「ウラはー取れたんですのー?」
「其処のお嬢ちゃん……フォーナに聞いて、こっちの情報と照らし合わせたたところ、真っ黒なのがフィルル皇女とフェレギウス皇太子、濃い灰色なのが、ファーレン皇女なんですよね」
「だが……正面切って戦争には……」
「ハァ!?んなダリいことしてられっか!!ルディが殺されたらどーすんだよ!!オッサン、ダラダラしてたら責任物理的に取らすからな!?」
「アローディエンヌのスキルが向こうの手に有るんですけど!?他はどうでもいいけどこのままにしておいたら、アローディエンヌの命が危ないんですよ!?俺を行かせないなんて許さない!!」
「行くならどちらか片方だと言ってるんだ!!王位継承権高位のお前ら二人が同時に行くことは許さん!!仲の悪いお前ら二人を送り込むような事をしたら、被害が甚大になる!!」
「だからアレキちゃんは城に置いとけや!!俺が行くっつってんだろ!!」
「馬鹿なの鳥番!?俺に決まってるだろ」
「はううう!!お二人とも、フラフラなのに争いはいけませんよお!!」
……………え、何か物凄く政治的な話になってる上に、何時の間にルディ様と私の命まで掛かってんの?
そんで、何で義兄さまとレルミッド様が再びヒートアップしてんの?
レルミッド様も義兄さまも陛下脅してるし!!
しかも二人共フラフラなのに怒鳴り合ってんの?どういうことなのよ。何でそんなにしてまでいがみ合うのよ……。
「………義妹姫、貴女の具合が悪いのを強引に引っ張り出して迄、リメイ公爵令嬢にお願いしてお呼びした理由、ご理解頂けたか?」
「……レルミッド様を抑えられるルディ様も居られない中、せめて私が義兄さまを抑える為にですか」
「慧眼恐れ入る、義妹姫」
隊長さんに誉められたが、コレどうしたらいいんだ。
抑えられるっつっても……私に出来ることったって……なあ。
義兄さまの顔も見られないのに。
本編1から影が薄すぎた『旅人』な陛下、やっとマトモに出て来ましたね。
政治的な話に…なってもいいけど、義兄さまとレルミッドが許さないようです。
それにしても、今ここに居る王位継承権持ちが軒並み物騒ですね…。




