27.ダンスフロアの真ん中で
お読み頂き有難うございます。
今回はレルミッドの叔父上様、近衛騎士ロン・アルヴィエ視点です。
アローディエンヌは聞き手側。結構新事実が多いようですね。
義兄さまは相変わらずアローディエンヌしか見ていません。
廊下にごっついの含め固まっているのは目立つ。
俺らは手近な部屋に全員で引き上げることにした。
……取り敢えず全員大人しくついて来るようで良かったぜ。
公爵なんか絶対帰るって思った…。
「こんなの放っといて帰ろうよーアローディエンヌう」
「いけませんでしょ。ちゃんとお話を聞いて、此方の事情もお話しないと」
発言は…兎も角としてちゃんとついて来てるし…義妹姫効果絶大過ぎだな。
……マジでこの子、王妃に納まってくれねえだろうか。
陛下の手綱ちゃんと取ってくれそう…。俺らの仕事、超楽になりそう…。
マトモだし……。陛下が歳離れてて嫌ならルディ様の嫁でも…。
……うわ、公爵の視線が怖っ!!
やべえやべえ。要らん事考えたのがバレたか?
「あーーー。取り敢えず、俺の方から説明するわ。
多分そっちは何が何やらだろーし」
俺が咳ばらいをしたら、素直な反応が3つ。コレサジュ坊と義妹姫とフォーナ嬢ちゃん。
聞いて無さそうなのが1つ…コレ公爵な。あんま反応しないのが1つ、レルミッド。
早く言えってキッツいのが2つ…あ、コレ隊長とオーフェンな。
んで、さっき騒ぎを起こしてくれた別嬪さんからもふわっとした反応を1つ。
……いやー、こんな巨乳美女に見詰められていつもならウキウキだが、この令嬢…超怖えの分かっちまったしなあ。
いや、今俺本命居るんだった。でも別嬪過ぎてついメッチャ見ちまったよ。
何処とは言わねえし言えねえけど。
オーフェンからメッチャ睨まれたけど、まだお前のもんでもねーだろ。
見る位減らねえだろうが腹立つな!!
俺がオーフェンとガン飛ばし合っていたら、トコトコと小さいのが近寄ってきた。
「アルヴィエ様、よくぞご無事で、本当に良かったですわ。
ルディ様がおられないのが大変心配ですが…」
「フギギイ」
おお、さっきは面倒な事押し付けたってのに…義妹姫案外優しいな!!
隊長とタメ張れる無表情だけど!
抱えてる蝙蝠ウサギが若干唸ってるが……ちょっと変だな。蝙蝠ウサギってこんな鳴き声だっけ?
でもこの子とフォーナ嬢ちゃんだけだよ!!俺の無事を喜んでくれたの!!
公爵は義妹姫以外は本ッ当に無関心だしな…。
甥っ子と騎士共は、死んでねえなら早く働けって位にしか思われてねーし。
野郎はこれだからよ。
「お気遣いを有難うございます、義妹姫。貴女とフォーナ嬢ちゃんは優しいな…」
「アローディエンヌに寄るな」
「無駄口は良いから早く喋れ、ロン」
公爵も隊長も超怖いんだけど!!
はいはい。分かりましたよ。俺には和む暇もねーのか。
えーっと、どっから話すかなあ。
取り敢えず…玉座の主が発動したんだよな。
……他国の令嬢も居る中で…玉座の話は拙いよな。
「前半はフォーナ嬢ちゃんが言った通りなんですけどね。
取り敢えずレルミッドから不思議な光が…びかーっと光ったもんで」
「玉座のー主ねー。知ってるわよー」
は!?おい!!!!何で他国の令嬢が知ってんだよ!!
言いそうな奴の顔をジロッと見る前に…、滅茶苦茶頭を下げてやがる!早!!
この野郎!!要領いいな!!でも俺も同じ立場ならそうするけど!!
「すみません、チェネレ隊長、アルヴィエ副隊長!!」
いや、謝って済む問題じゃねえよな。『玉座の主』だぜ、国家機密だよ。
横の甥っ子を見たけど、愕然としてるし。
慰めてやりてーが、職務中だからなあ。
後で慰めてやらなきゃな。
……まあ、コイツ結構精神力有るから、ある程度の時間置いたら立ち直りそうだがな。
「いや、お前どう言う事なの。滅茶苦茶国家機密だって言っただろ。
おい、どーなってんのオーフェン。お宅のサジュ坊のご教育は」
「サジュお前……」
「御養父殿マジでゴメン………」
オーフェンも知らなかったみたいだな……。
コイツは熊野郎だが、分かり易くていいぜ。後でぶん殴られるな、サジュ坊は。
しかし覚悟の上だろうが…また何で。
こいつ職務規定違反とかしない奴なのに…。
「怒らないであげて―オーフェン様ー。
サジュ・ミエル・バルトロイズはー、私達からー脅してあるのー」
「……どういう事だ、マデル嬢」
え、またのんびりした口調で何てった?
…脅し?
……詳細は分からんが、この別嬪な令嬢がコレッデモン王国の『悪魔の四騎士』の一人だと言う事は知ってる。
……変な名前だなあと思ってはいたが、実在するんだな、コレが…。
世間って怖え。
だが…サジュ坊も…粗削りでは有るが、騎士だぜ?
……そのサジュ坊を脅すって…ええ?何で?
「……え、それも謎だけど……
どうしてマデル様とバルトロイズ様が…何だか御親密な雰囲気なんですの?」
「ほ、本当ですねえ…お名前で呼び合ってますねえ」
流石女の子だね。そこ気付いて突っ込んじゃうか…。そっちが気になるか。
少女二人がオーフェンとリメイ公爵令嬢見ながらヒソヒソ話しちゃってるよ。
いやー若い女の子は可愛いねー。妹か姪っ子か欲しかったなあ。
「サジュてめえ…」
「先輩、マジすんません。後で幾らでも殴られます」
「怒らないであげてー、『王様』」
「その変な名前で呼ぶなボケ!!大体…何なんだよねーちゃんは!!」
……俺と一緒で、美女に強く出れないところに血筋を感じるぜ、レルミッド。
どう考えても父上の血かな…。
ジジイの癖に未だ美女に弱えからな。
亡くなった母上が寛容で良かったような悪かったような。
「私ーと言うかー、姫様を加えて私達5人はー、サジュ・バルトロイズのーお姉さん、ドートリッシュ・ムニエ・モブニカのー安全と引き換えに―、最近ー色々とー内通してもらったのー」
「「……はあ!?内通!?」」
レルミッドと義妹姫が同時に反応と声のデカさは違うが、声を上げた。
双方顔色が悪い。…そりゃそうだな。
……この美女、見た目にそぐわずそんな事してたのか。
ええと、サジュ坊の姉ちゃんを国で人質に取られてたって事か?
……それで内通に利用……えげつね。よくそんなことを脅すもんだ。
でもサジュ坊の階級じゃそんな大したこと……まあ、ウチの甥っ子の事とルディ様は……結構な重大事項だったな。
うん、……完璧配置ミスだな。上の……俺らの責任だ。
だが、それを俺らにバラすってことは……リメイ公爵令嬢は何が狙いだ?
サジュ坊を処断させねーように、ってのも有るんだろうが……。
単なるおっとり巨乳美女じゃねーもんなあ、この令嬢は。
「……まあーサジュちゃんの階級じゃあ、其処まで大したことはーとは思ってたけどー。
お役立ちだったわー」
「……」
「サジュ様…そんな!!ドートリッシュはご無事ですの!?」
「普通にー何も知らないでー普通にー生きてるわー」
頭を下げたままのサジュ坊の顔色は良くねえ。
しかし無事か、良かったなそればっかりは。
サジュ坊の姉ちゃんはコレッデモンに居るんだもんなあ……。
いやまだこっちに居るんだっけか?
でもまあ、身内を盾にってのは…定石だが…結構散々だな、サジュ坊も。
ただなあ…コレ、組織としてはどうしたもんだ。
従騎士の立場だから大したことも漏らしちゃ無かっただろうけど…ルディ様とレルミッドの件はなあ……。
「ちょ、義兄さまはご存知でしたの!?」
「うん、ルーロから聞いてたよ」
「……え、ノロットイも知ってたのか…」
「そりゃそうでしょ、当たり前」
「っておいアレキちゃん!!てっめえふざけんなよ何で黙ってた!!」
「寧ろ何で君に話さなきゃならないの」
「いや先輩、アレッキオ卿より俺に怒るべきだろ」
「ハア!?つか今はアレキちゃんがムカつくんだよボケ!!後でブッ飛ばしてやるから邪魔すんな!!」
うわ、ガキンチョ共が揉めてるな。
今此処でレルミッドと公爵をぶつからせたら王城は崩壊する………。
おまけにサジュ坊まで加わったら王都の方まで被害甚大になりかねねえ。
ある程度で止めねえと……。
それにしても、面倒くさいスキル持ちが集まってるよなあ……。
あー、でも今の会話からして公爵は大概両方の事情を知ってるってことか。
公爵、コレッデモンとどういう繋がりだ?
……ルーロって…誰だ?ノロットイ…神官商人一族か?
「……マデル嬢」
「卑怯でー御免ねー。でも、さっきの言葉は本当よー。」
「……俺迄内通者にしようと?」
「?貴方はーならないでしょー。普通にー好みだっただけよー」
「……」
おい、そこ。二人の世界を作るな。
……やっべえ。他人のつーか、ガキの頃からツルんでるオーフェンのこういうの見るのが……其処ら痒くなるほど気持ち悪ぃわ。
少なくとも此処にいる野郎全員は異質なモンとしてしか見れねえ……。
いや、ガキンチョの言い合いが止まって良かったけどな?
でも、もれなく俺含め野郎共の目が死んでるし。
何でか少女2人はキラキラして見てるけどな。
いや、片方は美女だけど、こんな熊野郎とでそんな憧れの目で見れんの!?
すげえな年頃の女の子は……。
「おい、サジュ・バルトロイズ」
「はい!!」
「お前は俺の責任で預かる。沙汰は追って知らせるから覚悟はしてあるな」
「勿論であります!!」
「じゃあ顔を上げろ。座れ」
あ、隊長が預かってくれるのか。
良かった。じゃあ変な事にはならねえな…。
しっかし、11でオーフェンのとこに養子に来て……サジュ坊も変なのに巻き込まれやすい奴だなあ。
「……所で、そこで変な空気を出しているオーフェンと、リメイ公爵令嬢は昔からの知り合いか」
「………さっきまでは、知り合いじゃ有りませんでした」
「何が有ったんだ。あのオーフェンが…美女と…だと?」
サジュ坊の顔が引き攣りまくってるぜ。
何が起ころうが動じねえことで有名な隊長が吃驚するってよっぽどだな。
俺も見てたけど…信じられなかったわ。白昼夢か?
「隊長、話を続けますね。光ってるレルミッドを思わず掴んだら……例の椅子の所に吹っ飛ばされたんです」
「例の椅子?」
「後でー説明するわー、義妹姫ー」
「は、はあ。話の腰を折って申し訳御座いません」
丁寧な子だ…。
見た目だけが派手な割に、アホと常識ハズレが多い王城で常識的な子は素晴らしい。褒め称えてえ。
俺の好感度は鰻登りだぜ、義妹姫。
……公爵の視線が超怖えから見ないようにはしてるけどな。
義妹姫から見えないように火花撒き散らすの止めて欲しいぜ…。器用すぎだろ。
「それで、シ…ルディ様の姿を探したんですが、全く居らず。
他に行ったんじゃないかと其処を出て、俺とレルミッドは会場に戻りました。」
横の甥っ子がギリっと奥歯を噛みしめている。
……お前本当に友達思いだな。叔父上様は誇らしいぜ…そんな状況じゃねーけど。
「結局…ルディは何処行ったんだ」
「今探させている」
「そうなのよねー。ウチのーミーリヤもー居なくなったのー。同じ場所に居たであろうー煩い小馬鹿はー居たと言うのにねー」
「こ…こばか……すみません…」
「……フォーナ、大丈夫?」
「……アロンさあん…」
「ちょっと、アローディエンヌに近づくな綿毛神官」
……此処で無益な争いをしないでくれ、公爵…。
女の子にも嫉妬丸出しってマジ怖えな。
まあ…殆ど義妹姫を隠してたんだもんなあ。
未だ若いのにちょっと狂気すら感じるぜ公爵……。
「取り敢えず話を戻して良いか。フォーナ嬢ちゃんの話はもうちょっと待ってくれ」
「は、はい……」
「……」
うるうるお目目のフォーナ嬢ちゃんはレルミッドを見たが、甥っ子は難しい顔をしたままだ。
……此処でお前も慰めに行けよ…。
ルディ様が心配なのは分かるけどよ。だからモテねえんだぞ…。
「ええとな、俺と甥っ子は…会場に戻ったわけだ。
まあ、取り敢えず二階から様子見ようって事で、上ったら…下で騒ぎが起こってた」
リメイ公爵令嬢を見たら、ニコッと優雅に微笑まれた。
…何処に出しても引けを取らない別嬪さんだな、マジで。
あんな立ち回りした令嬢だとはとても思えねえわ。
えー、玉座の間…いや、飛ばされた某所から結構会場って遠いんだよな。
結構必死で歩いたが、ちょっと時間が経っていたな。
「なあ……叔父上様、ルディは…フォーナは無事なのかよ」
「未だ分かんねえなあ…。取り敢えず会場を見てから、あの廊下に……」
因みに警備上の事情で詳しくは言えないが、二階には会場を見下ろす窓が有る。
俺と甥っ子は其処から会場を眺めた。
もしかしたらルディ様が戻ってる可能性も有り…無しよりの有りだからな。
そしたら…ダンスなんかはすっかり終わっていて、
会場のど真ん中にとある令嬢がいらっしゃった訳だ。
「私ねー」
「そうです、リメイ公爵令嬢」
何でだって視線が集まったけど、俺だって何でなのか知らねえよ。
で、そのリメイ公爵令嬢がその麗しいお声で、この場に集まったクソ野郎と女狐人口多め…いや、紳士淑女の皆様にお声掛けなさってた訳だ。
「お取り込み中ー、ちょっとー宜しくて?」
「あ、悪魔の四騎士、舌切り悪魔だ…」
「ば、馬鹿者!!」
普通に目の前で悪口を言う馬鹿は本当に馬鹿だよ…とその時思ったね。
俺の感想はどうでもいいって目をすんな、甥っ子。
舌切り悪魔?何それ怖っって言いたいのに言えないであろう少女2人の可愛い反応を見習え。
「だーれ?そんな悪口をいう悪い子はー」
「あなたー?」
「ひっ!!」
「あなたー?」
顔を見て回る令嬢は…結構怖…いや、粘り強かったな。
「もう1回お口を開けてー大きな声でーお話してちょうだいー。
きっと予想通りにしてあげるわよー」
「…リメイ公爵令嬢」
「あら?どなたー?」
下っ端ではどーにもならんと見切りを付けて、オーフェンが収集に来たらしい。
……どいつだか知らねえが、賢明なご判断だぜ。
コレだけ聞いても俺も怖かったから、おんなじ立場なら…俺も上司に投げるわ。
え、お前も上司の立場だろうって?
俺はホラ、現場で動く上司だから。
「私はオーフェン・バルトロイズと申すもの。防衛を副長として担っております」
「警備を担当されてる方ねー、やっとお会いできて嬉しいわー。盥回しは害悪よねー」
「申し訳有りません」
「ご相談したいのー。うちのミーリヤ…ダンタルシュターヴ伯爵令嬢が何処を探させてもー見当たらないのよー。
取り戻す手段をお借りできないかしらー?」
俺達は其処で、ダンタルシュターヴ伯爵令嬢も居ない事を知った。
……俺はダンタルシュターヴ伯爵令嬢って誰だっけとは思ったけど、甥っ子は知っていた。
流石俺の甥っ子だ。
おい隊長、その目は何だよ。あんただって嫁バカだろうが。
「さっきの…ミーリヤって言うねーちゃんか」
「え、何お前知ってんの?」
「さっき会った。あの白いマデルってねーちゃんと一緒に居た…。同じようなでっけーおっぱいの」
え、でっけえおっぱいの美女がもう1人!?
是非ちょっと拝見したかったけどいねーのは残念だった…。
「鳥番の女の好みなんか死ぬ程どうでもいいんだけど」
「ばっ、は!?別に好みとか…」
「あーらー。ミーリヤの方が好みだったのー?ざーんねーんー」
「え!?いや、そのっ…」
「……」
甥っ子……綺麗なおねえさんが好みなんだな。タジタジしまくってるぜ…。
……オーフェン、ちょっとイラッとしだすの止めろ。
案外大人げねえな。いや、大人げない大人だけど俺ら。
「……アロンさあん……」
「……大丈夫よフォーナ、貴女は貴女の魅力で素敵よ」
「アロンさあん!!」
「アローディエンヌの魅力に勝るものはないよ?」
「私に誰かに勝る魅力なんざ有りません。義兄さま黙ってて下さいな」
成程…義妹姫は自己評価が低い、と。
そしてフォーナ嬢ちゃんはウチの甥っ子がかなり気になっていると。
……父上、マジでレルミッドの嫁(仮)扱いでいいみたいだな。
本人は野郎の心配で頭が一杯だが……。
「全力を尽くします」
「お話がー早くて助かるわー。」
「お、お待ちくださいリメイ公爵令嬢!まさか外交問題に!?」
「ならないとでもー?」
「そんな…き、きっと他国の仕業では!?此方には有象無象が入り込んでおります!!」
滅茶苦茶言い出してたよこの馬鹿。……外交問題関係担当の貴族だっけか。
よっぽどやる気がねえんだろうなあ。
「……バルトロイズ様ー、このー自国の防衛を虚仮にしてきた上にー国益を損ないに来る人だーれー?」
「……外交担当に新しく当たられたシカケ伯爵です」
「大体その伯爵令嬢がフラフラしていたんじゃないのか?」
……何か聞いたことねえ声が聞こえるなあと思ったら、闖入者が…。
うわっ、夜会で気を付けろ・絡まれたら拙い第一位、喚き蝙蝠フィルル皇女じゃねえか!!
「あのブス……さっき、ミーリヤねーちゃんと一緒に居た…」
「……マジかよ」
……あの騒ぎの後、何で一人シレッと無事なんだ?
服も綺麗だったな…。多分アレだと壁位崩れたと思ったんだが…実際崩れてたしな。
所で、何で現場に苺生えてたんだ?
「あれー?ミーリヤの仕業ねー。
あの子ー種を何時もー持ち歩いてるからー。大概ーお花かー果物のー種なんだけどー」
「はわあ、お花と果物ですか?可愛くて美味しいですねえ」
「……何でそのような事を?」
「襲われた時に―剣だけじゃー間に合わないからですってー」
……義妹姫の言う通り訳分からん。
……取り敢えず、ダンタルシュターヴ伯爵令嬢は木属性てことで間違いないってことか?
んで、魔術で種を媒介にして…植物の力を借りるってのでいいのかね?
まあ、そんなのは結構一杯居るけど…花と果物の種ってのは滅茶苦茶珍しいな…。
普通もうちょっと頑丈そうな植物の種選ぶけど…。
規格外なのか、少女趣味なのか?
苺が結構立派なのを見る限り、魔力は高いみたいだな…。
「……は?ミーリヤ様、あの嫋やかな見た目で剣をお使いに?」
「……ミーリヤ様は、国で5本の指に入る位滅茶苦茶剣が強えんだよ、義妹殿…」
「「ええ!?」」
「「「はあ!?」」」
公爵以外、サジュ坊の話に滅茶苦茶驚いちまった……。
「え、コレッデモン王国って…令嬢も戦うんですの?」
「いやいやいや、騎士国家だとは知ってるけど、形骸化…してるよな?」
昔は貴族の男女問わず全員騎士戦士教育当たり前!!みたいだったのは知ってるけど…それ、俺らの親世代以前の話だよな…。
サジュ坊は恐々リメイ公爵令嬢を見て、首を振った。
……疲れてんな、サジュ坊。よっぽど巨乳美女が怖えと見える……。
何されたんだ。聞きたいような聞きたくねーような。
「……してないです」
「だからー、軽い考えでーウチに―攻め込んだりー喧嘩を売らないでねー」
……その話聞いたら誰も攻め込みたくねえだろうよ。
貴族人口…子供と老人を除いた分と、騎士団自警団なんかは別に居る訳だろ……。
ウチだと騎士団の人数でも負ける……。
リメイ公爵令嬢の微笑みと…真っ黒い目が怖え。
「……と、取り敢えず…お話を続けて頂けますか。アルヴィエ様」
「お、ああ」
……義妹姫の促しで、俺は話に戻った。
「フィルル皇女はどうしてこちらにー?」
「さっさと引き上げたいのに、小煩い騒ぎが起こっているからボクが見に来てやったのさ!」
いや、アンタも関係者だろって滅茶苦茶突っ込みたかったね……。
しかもキナ臭いし。
「水盤に頭でもー突っ込んでおられたら如何ー?その内ー何も聞こえなくなりますわー」
「何だと!?お前、このボクに何と言った?」
喚き蝙蝠は、リメイ公爵令嬢の挑発にガンガン乗っていってたな。
て言うかああいうのの相手お得意みたいでしたね、リメイ公爵令嬢は。
流石王女殿下の側近だ。
「褒めても何も出さないし、早く話の続きを言え」
……何でオーフェンに言われなきゃなんねえんだ。後で覚えていやがれ。
「私の連れだけではなく、行方不明者が出てますのよ。野次馬は引っ込んでなさい」
「無礼だぞたかが公爵令嬢の分際で!!ボクは皇太子になるフィルル様だ!!」
……余談だが、ソーレミタイナにはウチと一緒で女に継承権ねえし、皇太子が居たよな?
頷いてくれて有難うよフォーナ嬢ちゃん。素直な子は可愛いな。
是非レルミッドの嫁に来て欲しいぜ。
「まあー大きなお声でー勘違いはお止めくださいなー。
弟ぎみのフェレギウス皇太子をお忘れですかー?」
「煩い煩い!!居ないものはどうでもよいわ!!」
「此処で形だけでもーご心配しとく頭も有りませんのねー。
本当にー、ソーレミタイナはファーレン以外頭の中身が無いーお嬢ちゃん皇女さまばかりですことー」
「煩いぞあんなのと一緒にするな!!嫌われものの悪魔の騎士ごときが!!
もうひとりの悪魔だって恨みを買って身ぐるみも能力も剥がされて
路地裏に転がされてるんじゃないか!?」
フィルル皇女は思い切り指を令嬢に付きつけていた。
外交問題にも発展しかねない失礼な動作だったなあ。
「へーえー」
「な、何だ」
「単なる縺れかと思っていたけれどー」
「何なんだ分からないぞ!!」
リメイ公爵令嬢は穏やかだったが、フィルル皇女は喧しかったなー。
「ねえフィルル皇女ー。身ぐるみも能力も剥がされた人は、どうして路地裏に転がるのー?」
「は?そんなの…殺すと面倒だからだろ」
「どうして殺すと面倒なのー?もし顔がバレちゃったなら生かしとく方が面倒よー」
「する訳無かろう!!」
「……どーうしてかしらー?」
「う、煩いぞゴチャゴチャ言うな!」
「何をーご存じなのかしらねー」
「大体お前の国はおかしいだろうが!何故お前ごときが代表面している!?
ユディトも相当なバカだがな!!」
「………ペラペラと軽やかな舌ですこと」
其処で空気がガラッと変わったな。
微笑んでいたようなリメイ公爵令嬢だったが、離れていても笑顔が全く無くなったのが分かった。
彼女は豊かな胸の谷間に落ちたネックレスの鎖を手繰り寄せてたな。
「嘘つきはー舌を切るわよ」
シャキン、と軽やかな音が鳴って…会場がシンと水を打ったかのように静まり返っていた。
それはキラキラと光る装飾された糸切り鋏だったからだ。
……大変エロくて良かったけど、何で糸切り狭なんですかね。後で知りたいぜ。
サジュの苦悩が明らかに。
舌切り悪魔マデルと花咲か悪魔ミーリヤとその他3人に脅されていたようですね。
何でサジュがこんなに怖がってるのかは、次回にて。
そして何故バルトロイズ様とマデルのフラグが立っているのかも次回にて。




