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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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73/212

10.信頼は仇となるか否か

お読みいただき有難うございます。

閉ざされた扉の中の会話、レルミッド視点になります。

この三人になるとレルミッドが苦労しますね…。

…何時からか知らねえが、スゲー降ってやがるな。

フードに蝋塗ってあるとはいえ、地味に染みてきそうだぜ。

後ろでルディは義妹にアイサツしてやがる。


それにしても…ルディはマジで女好きだな。

何もアレキちゃんの義妹にまで愛想振り撒くことねーだろ。

アイツが疑いが晴れて白になった訳じゃねえ。

何も解決してねーんだぞ?


…いや、義妹…違ったんだったか?

アレキちゃんとの関係…。嫁?

……理解できねーような、納得出来るような。

アレキちゃんのあの義妹に向けるツラ…

アレは惚れた女に向ける顔みてーだった。

ウゼエ位に過剰な位に見せびらかしてやがったが。

後ろ向きでも気配で分かる…怖え位に執着してやがる。

……あのツンケン女…いや、野郎の口調変わるほどだもんな。

突っ込む気も起こらなかったぜ…ビビりすぎて。

ルディ、ああいう所はスゲーよな。

見習えねえわ。


……後、何か、女のアレキちゃんのツラがダブって女同士に見えそうになるのが…何ともな。

結局何で女が野郎になれんのかも説明ねーしよ。

義妹も分かってねーみたいだったし、他の奴らもそーゆーモンみたいに流しすぎだろ…。

あああモヤモヤすっぜ!!


それにしても無表情な女だったよな、義妹…。

こっちの方がツンケン女…でもねえか。

中身はフツーみたいだが…。何であんなに表情が動かねえ?

余計に胡散臭かった…。

まあ、一瞬動いたけど、アレ不便じゃねえのかよ。

まあ、アレキちゃんを止めようとするだけはマシか?

分かんねー。


それにしてもさっきの話し合い?は…ムカツク上に訳分かんなかった。

俺は雨に濡らされつつルディを待ちながらさっきの事を思い出していた。



「テメエアレキちゃん!!」


何で逃がすよ!?

アイツ気ィ弱そうだったから聞く絶好の機会だったのに!!


「だから、アローディエンヌに関しては俺に聞けばいいだろ。

本人よりも良く知っているよ…妻だから」

「は…ハァァァァ!?」


ツマ…妻ァ!?

い、義妹じゃねえのかよ!?

さっきあの義妹…ニイサマって呼んでたけど…!?

え、ハァァァ!?何なんだよ!?何がどうなってそうなるんだ!?

え、あ?えええ!?


「…また言っているのか…認められていないのに」

「本人に言ったら殺すよショーン」

「知らせもしない癖にか。

まだ囲いから出さないとは…常軌を逸しているぞ」


声滅茶苦茶低くねえ?お前ら…。

結局何なんだよ?囲い?


「箱庭に青い雨の器を埋めたままで楽しかったか、アレキ」

「草原で見つけた鳥の玩具は燃えなくて良かったな、ショーン」


いや、訳分かんねえ。

後、誰が玩具だボケ。それは分かるぞ。

雨の器って…花の名前だっけか?

……この流れからして、俺と義妹の事か?

何か怖いこと言ってる気しかしねーし。

にこやか風に笑うな…。普通に怖いだろ。


「お前ら……仲悪すぎだろ」

「何を今更」

「まあ、とても悪いな」

「さっきの空気が何だって位重いぞ、オイ…。

後滅茶苦茶苦い!!ちったあ魔力と嫌悪感を隠せ!!」

「空気に味とか有るの?」

「レルミッドの表現は独特だな」

「独特さでお前らには負けるわ!!」


俺は勘違いしていた。

……女っ気がなくなった途端、こいつ等全く嫌悪感を隠しやしねえ。

え、アレ猫被って…たのか?

アレで?…アレでか。

…いや、腹芸になってんな。さっきより断然殺気がヤベエ…。

…怖っ!!


「例えば、あの冒険者達…予めそうだな、仕込むことも出来たね」

「ハァ!?」


仕込みィ!?誰が!?

辺りを見回すと、…アレキちゃんの薄青い目が俺に向けられてるのに気付いた。

ってハアアア!?

俺かよ!?何でだよボケ!!


「人脈の無い僕とレルミッドに出来ると思うか?」

「何だ、つまらない…分かってるんじゃないか」

「ハァ!?何だよルディ!?」


ふざけんな何通じ合ってんだボケ!!

お前ら仲悪い癖にこういう所は通じ合ってんじゃねえ!!


「鳥番は本当に…どうしようもないね」

「ざけんな何だと!?」

「この裏表の無さがいい所なんだろうが」

「それで椅子に纏わりつかれるとか……羨ましくも何ともないね」

「ふっざけんなボケ!」


椅子の事を持ち出すな!!

好きで纏わりつかれてんじゃねえ!!

コイツ…こんな高いモンばっかの部屋じゃ無けりゃ、暴れまわってんぞ。

今の俺は従順なる囀りはねーからな!!

…別のモンは張り付いてるけどな…。クソボケが!!


「…まあ、アローディエンヌに協力するように約束したしね…。

君とショーンに無いなら、人脈の有る奴が仕込めばいい話」

「…どういう事だ」

「破落戸を捕まえるのは何処の誰か考えれば、分かるだろ」

「騎士団だな」

「え…ハ…ハァ!?騎士団!?」


騎士団だと!?

な、な…何で騎士団が出てくんだよ!?

コイツ…まさか、ロンのオッサン…

いや、叔父上様とかオーフェンのオッサンが噛んでるって言いてえのか!?


「まあ、妥当だな」

「ちょ…ハァ!?騎士団が破落戸に義妹を襲わせたのかって言うのかよ!?」

「アローディエンヌなのか、冒険者姉弟なのか…はたまた両方か。

今のところ判断は出来んがな」

「何の為にだよ!?大体騎士団は俺らの味方じゃねえのかよ!?

何で疑うんだよ!?」

「そうは言うが、サジュ・バルトロイズの駆けつけ方は突然すぎだ。

僕達はあの店から通りひとつ離れていたんだぞ」


足が速くて着いていくのがしんどかった、とルディがため息を吐いてやがる。


俺は頭を殴られた気がした。

マジか。

マジなのか?


あの時、人が猫と戯れてんのに放って行くから…気紛れか何かかと思ってたぜ。

ルディ…単なる野次馬根性じゃなかったのかよ。

結構気紛れ野郎な所が有るから全く気にもしなかった…。


「物語じゃないんだからな。

人でごった返す喧騒の中、離れた店の乱闘騒ぎを見つけて

偶々アローディエンヌを丁度良く助けられる訳がない。

それこそ見張るか、仕掛けの始まる時間を知らない限り」

「……」


返す言葉がねえ。……全く考えもしなかった。

湧きだした疑問にポコポコっとハマっていく感覚すらする。

呆然とする俺の前でアレキちゃんとルディがやる気無さそうに話し合っている。


「君の叔父上が近衛だから、無条件に信じられるのかもしれないけどね」

「騎士団は騎士団の矜持と用事で動いているんだ。

僕とレルミッドの保護もその一環に過ぎん」

「だけどお前…サジュはお前の義理のイトコだろうが!!」

「サジュ・バルトロイズは僕を毛嫌いしているぞ」

「ハァ!?」


毛嫌い!?ハァ!?

サジュが!?ルディをかよ!?


「任務だから側にいるに過ぎん。別に構わないが」


か、構わねえって…。

まあまあ親しげにしてたの嘘かよ!?

ルディ…怖え!!こういうとこマジで怖えええええ!!


「だ、だってお前…まあまあ仲良さげで…」

「身内だったら何?

そんなので仲良しこよし出来たら世話はないよ」

「それに関しては同意しよう」

「お前ら…」


仲良くしてなかった奴等だから、やたら言い分が重々しいぜ。

こんなところばっか似てやがるな…。

…あ、遠縁なんだっけか。って俺もか…。

…アレキちゃんが俺の親戚とかマジ考えたくねえが、

アレキちゃんとルディとは血の繋がりを感じるぜ…。

言ったら両方にドツかれそうだな。

流石に両方に喧嘩売る気はねえけど。


「まあ、僕はオーフェン伯父上は好ましい人物だと思う。

だが、毛嫌いされているサジュ・バルトロイズと関係を深めたいかと思うかは…未来は分からんな」

「気楽だね」

「事実を述べたまでだ」

「それに忘れてそうだけど、サジュ・バルトロイズにも家族がいるんだからね」

「たりめーだろうが」


あのデケー声のガブット熊みてーな姉ちゃんだっけか。

…アイツも腹立ったな。

…まあ、ブスは言い過ぎだったかもしんねえが、何で義妹の肩持つんだ?

やけにルディを目の敵にしてやがったし…フラれたのか?


「…何でそんなに単純なの。

彼だって大事なものの為に、かつての君みたいに暴走する可能性は高いんだよ」

「……」


…それ言われると弱えな。

言い返してえが…無理だ。


「まあ、見た目より血の気は多そうだな。爆発はしにくそうだが」

「鳥番よりはね」

「煩えええええ!」


コイツマジで一言以上に多いな!!アレキちゃん!!


「君の方が煩いよ。

…鳥番も頭から人を信じて回るのを少しは考えれば?」

「…信じてねーよ。人を見てる」


知り合いだから片っ端から信じてるアホみたいじゃねえか。

…一応隠し事してそーな後ろ暗そうな奴は信じてねえだけだ。


「まあ、疑うのは僕が得意だからレルミッドはそのままでいいと思うぞ」

「馬鹿みたいに仲良しこよししていられるのは何時までかな」

「あんだと!?」

「ショーン、いい加減に教えたら?

お前ら二人ともが、他国も嗅ぎ付けて来ているかもしれない格好の餌だってことを」


アレキちゃんは義妹の前で全くしなかった悪い笑いを浮かべた。

は?何?餌?


「狙われてるんだよ、君もショーンもね。

突然拐われるかもね」


ハァ!?

…狙われてる!?

ルディは兎も角、俺が!?


「まだ自覚無いの?『玉座の主』の」

「有るわけ有るかァ!!」

「ただの不気味な椅子じゃないんだから…。

君が王様だって、見る奴が見たら解るって聞いただろ」

「だ、だから何だよ。一般人してたら分かんねえだろ」


大体見たら分かる奴ってのが分からねえよ!!王城の魔導師とかか?

遭わねえよ!!


「物分かりが悪いなあ。

何処かの国に拐われて、王様にさせられかねないんだよ」

「ハァアアアア!?」


お、王様ァ!?俺が!?

何でそんなことに陥るんだよ!!


「そんなことにはならんし僕がさせんぞ」

「どうだか。今国内外から山程ややこしいのが来てるのに」

「…ああ、例の夜会か」


ヤカイ?…夜会?…貴族がヒラヒラ踊る奴か?

益々俺に縁がねえだろうが。


「何でその夜会とやらでややこしいのが来んだよ」

「陛下に嫁を漁らせる場だからに決まってるでしょ」

「ハアアア!?そ、そんなモン勝手に見合いでもしろや!」

「全員としてれば色々過ぎるし磨り減るからな。夜会だと運が良ければ一度で済む」


適当過ぎだろ。

て言うか王様の癖に嫁取り面倒臭がるなよオッサン…。

何か有ったのかよ?


「コレッデモンからも来ているな」

「ハァ?何処だって?」


地理には詳しくねえ。何処だよそら。

知らねえな。

聞いたことあるような気もするけどよ。


「サジュ・バルトロイズの故郷だ」

「ハア?何が来てんだよ?」

「そうだなあ、舌切り悪魔と花咲か悪魔…だったか?」

「ハアアアアア!?悪魔ァ!?オバケかよ!!」


何でそんなもんがコレッデモンとやらにいんだよ!

いや、オバケは責任持って自分ちで処理しろよ!!

国外に出すなあああ!!

世の中オバケで溢れてるとか…認められねえだろ!!

しかも何か名前…バカみてーに怖…危険そうだしよ!!


「残念ながら生きているぞ」

「一応見た目は嫋やかな女性達だよ。中身は相当変らしいけどね」


中身が変って何だよ!

変な女しかいねーのかよ!?

最近変な女しか会ってねえよ、呪われてんのか、俺は!!


「脅かすなアレキ」

「隣のバカ皇女も来てたね」

「フィルルか…確かにアレはねちっこいな…。

しかしアレの狙いは寧ろお前だろう」

「会う気はない」

「叔父上…陛下がどう言うのかだな。行き止まりではないか?」

「お前もな」


何かまた更に険悪になって来たな。

…空気がトゲトゲした魔力と混じって苦えし。

兎に角、危険な偉い系の奴等が来るって事だな…。

当日は……死んでも家から出ねえことにするか。


「まあいい。そろそろ出ることにしよう」

「お、おう」


窓の外を見ると、アホみたいに雨が降っていた。

…若干出るの嫌になったが、此処に居るよかマシだな…。

ここ…マジで空気悪いぜ…。焦げたみてーな味がする…。


「そうサッサと出て行って」

「ああ、アローディエンヌに挨拶をしなければな」

「ハァ!?」


何で此処でアレキちゃんの義妹に気ィ使う必要あんだよ!?

サッサと帰った方がいいだろうが!

喧嘩なら別の場所で売れルディ!!

相手の本拠地でやらかす必要ねーだろ!!


「……ショーン、図に乗るなよ」

「寧ろ勝手に僕達を帰したら、お前がアローディエンヌにお叱りを喰らうんじゃないのか?」

「…だったらいいけどね」


ん?

…アレキちゃんの…こっちを馬鹿にしたような顔が…若干歪んだ。

……何だ?

何か、今までと違うか?


「何だアレキ。

お前はアローディエンヌに愛されてはいるが、あまり思い通りになってない…興味を持たれていないんだな」


アレキちゃんの薄青い目がギラッと光った気がしたと思ったら、

スゲエ魔力の熱量が巻き起こった。


「熱っ!!」


……ってオイ!!

喧嘩すんなって言われただろうが!!

義妹の言った事無意味かよ!!


「……燃やす」

「ハハハ、傑作だ。やるか?」

「おいいいいいい!!止めろボケエエエエエ!!」


コイツ等、一緒にしとくと滅茶苦茶沸点が低すぎるだろ!!

って家具壊したら賠償が!!

やべええ!!

其処のテーブルの布切れでも今の俺らに払える額じゃ絶対ねえだろうが!!


俺は加勢よりも賠償が怖すぎてルディを引っ張り出した。

アレだ、ぶっ飛んだ野郎が他にいると冷静になるヤツだな。


「オイ!!今のお前一般人なんだぞ!?この家のモン弁償出来ねえだろ!!」

「アレキに傷を負わせるなとは頼まれていないから、ついな」

「ついじゃねええ!!大体こっちも間違いなくやられんだろうが!!ボケ!!」


…とすると、向こう側からパタパタと…義妹が走ってくるのが見えた。

…アイツ、お嬢だっつーのに走るのかよ?

いや、お嬢知らねーけど変な奴。


「お二方…義兄さまが失礼を!?」

「気にするなアローディエンヌ、帰るだけだ。よく分かったな」

「その、家が揺れましたので…」


げ、揺れてたのかアレ。

やべーな、花瓶とか割ってねえだろうな…。

サッサとずらからねえと。


「もうお帰りですの?雨が…」


義妹が示した外には、雨が窓に叩きつけるように降っていた。

雷もひっきりなしみてーだ。

結構キツいな。

濡れんのはいいけどよ、雷が面倒だ。家が壊れたりしてねーといいけど。


「アローディエンヌは雨が似合うな」

「……はい?」

「その目は青い雨の器のようだ」

「いや何口説いてんだよ」


ルディ、見境無しかよ。

こんな大雨が似合うって誉め言葉じゃなくね?

それにこの無表情なの口説いたとこで喜ばねえだろ。

大体コイツ、アレキちゃんのなんだしよ。

チラッと目をやったら、義妹の目が分かるくらい見開かれてて…さっきと違ってた。


「………勿体無い、御言葉を賜りまして……光栄に存じますわ」


え。

目が細まって…地味に、地ー味に………笑ってんな。

…動く表情が有ったんだな…。

ずっとそのまんまなのかと思ってたぜ。


「……アローディエンヌ」


後頭部の上から野郎の声が…アレキちゃんの声が降ってくる。

……コイツも地味に報われねえのか?

…まあ、同情はしねーが。

……地味に、色々あんだな。

只の我儘お嬢…野郎かと思ってたけどな。



「レルミッド、レルミッド」

「……おお?」


ぼんやりしていた俺の背中をルディが軽くどついてきた。


「帰るぞ、面白かったな」

「ルディ…お前も色々ぶっ飛んでておかしくねえか?」


……何処が面白かったんだよ、ボケ。

アレキちゃんの怒りの気配が此処まですんじゃねえか。


コレッデモンの舌切り悪魔に花咲か悪魔は日本昔話から。

他にもいますが三太郎は居ないです(笑)


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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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