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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
番外編

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番外編そのごの6 世間知らずの朝食会

朝食会スタート。

四人分用意されているのは勿論館の主の指示。

悪役令嬢の裏工作のせいです。

「…………義姉さま」

「本当だよ?もおー、最初に私、ドートリッシュ夫人って言ったじゃない」

「通常の初対面で有れば私だって覚えてたでしょうよ!!」


この異常な環境で通常の会話が出来るとでも!?

義姉さまのせいじゃねえか!!


「まあ、広い!!」

「そ、そう?」


王都のユールの家に比べれば普通にこじんまりとしてる気がするけど。

……いかん、貴族の生活に馴染んでるな。慣れって怖い。

まあ前世の家はもっと手狭だった筈だから、狭くても文句は無いけどね。



で、ドートリッシュ夫人がウチの設備に感動する中、私はイライラしながら食堂の定位置に座った。

横は義姉さま。これも一緒。

普通向かいだよね?普通はね。

でも横なんだよ…。

因みにこれ子供の時からずっと一緒…。


で、お向かいにルーロ君とドートリッシュ夫人。

貴族のマナーに掠りもしない変な席次で本当に申し訳ないけど、

気にしていないようね…。

この二人…普通の貴族っぽくないと言うか、結構変わってるわね…。

いい人なのは間違いないんだけど。


…で、漸く朝食にありつけました。

料理人はこの騒動の中でもちゃんと用意をしていたのね。

聞き耳立ててたのかしら…。

謎だわ…。


「見て見て見てルーロさま、すっごいわ、すっごいわあああ!!

お高そうキラキラしてるわあ」

「止めろドリー!!欠食児童みたいなこと言うな!ちゃんと食わせてるだろ!?」

「勿論よ!でも感動したんだものお高そう…!!」


朝食の場がこんなに賑やかになるとは思わなかったけど…。

主にドートリッシュ…令嬢、いや夫人が騒いでる。

しかしそんなに豪華かしら…。

トマトスープにオムレツ、5種類位のパン、焼き菓子、ジュース…。

私も義兄さま…今は義姉さまもあんまり朝は食べないから、がっつり肉料理とかは無いんだけど。

そんなに喜ばれると逆に申し訳ないわね。


て言うか料理人、タイミングが良過ぎね…。

熱々が出てくるの凄いわ。

あの人も謎よね。

あんまり顔を見た事が無いし。

あ、通いの侍女と夫婦なんだっけ…。


「ええと、お気に召した…?ドートリッシュ…夫人」

「まあ勿体無い!呼び捨ててくださいませ義妹姫様!!」

「そ、…そう?いいのかしら…いいの。ご主人の前で…」


仮にも私、今殿方なんだし…。

あ、また女言葉出ちゃったわ…。

この声で女言葉ってマジで怖いし恐ろしいわ。


「義妹姫様、お気遣い有難う御座います。ですがお気になさらずお呼び捨てを」

「ルーロ君…」

「俺にも君付けは要らないんですが…」

「差し支えなければルーロ君はルーロ君って呼びたいのだけれど」


美少年には君付けしたいって言うか…。

既婚者の美少年…新しいわ…。

新しいジャンルって良いわよね…自分の身に降りかかる以外なら大歓迎。

ええ、現実逃避だけど何か。


「仰せのままに、義妹姫様」

「…やっぱりたまには私にもちょっとそういう風に言ってほしいわ、

ルーロさま…」

「しつこい」


そしてドートリッシュとの関係も美味しいわ…。

年上がしっかりした年下にやり込められてるのってとってもラブコメよねえ。

そうよ、こういうキャッキャウフフが見たかったのよ…!!

ゲーム終わってから漸く念願叶ったのね!!

…それなのに、どうして今私は声の怖いモブ男なのかしら。

喋る度にビクブルするし、目がどんどん死ぬ気がするわ…。


「アローディエンヌ、ちょっと話し方変えてるのに慣れて無いの可愛い」

「誰のせいですか煩いです義姉さま」

「えへえ、私のせいだよねえ?」


デレデレすんな義姉さま!!

腹立つな!!

…今この貧弱なモブ力で殴ることは無理だしやったことないから…

小突いたら喜ぶんだろうなあ。目に見えるわ。

それにしても何というモブさだ。

全く義姉にダメージを与えられる気がしない。


「…はーあ…」


やべえ、溜息迄メッチャ怖い。

何て言うか、地響きみたいに体に響く…。

ご飯に集中しよう…。

このオムレツ美味しいな…。

中にチーズとハーブが混ざってる…。


「……」

「…何ですか義姉さま」

「はああああ」


何だよ食い辛いな!!

何でガン見されてんの、私!!

頬を染めて溜息を吐くんじゃないよ義姉さま!!

大体モブの食事シーンに何の価値が有るのよ!?

背景画像くらいしか価値ねーだろ!!


「溜息迄カッコいいよお、アローディエンヌう!」

「はあぁ!?何でや!!」

「まあ、熱々だわ…」

「ドリー、君は見ないふりと言うのは出来ないのか…」


止めてー!!

そんな風に見ないでドートリッシュ!!

そしてルーロ君、美少年に痴話喧嘩扱いされるの嫌ーーー!!


「ルーロ君、所で…聞きたいことが有るんだけれど」

「はい、義妹姫様」

「何々?どうしたのアローディエンヌう」

「義姉さまは黙ってて」

「えーえーえー?」

「……貴方、義姉さまとどういうご関係?」


だっておかしいもの。

何も無いのに義姉さまが私と彼らを引き合わせるなんて無い。

だからこれは、意味のある出会い…なんでしょうね?

義姉さまが仕組んだことだし。


当たってる?

少し驚愕を載せた目が私を鋭く射抜いたから。

うーん美少年だ…。

それも一瞬のことでにこ、とルーロ君が微笑んだ。

美少年だな…。

いかん、思考が顔にばっかり集中してしまう。真面目な話真面目な話。


「流石義妹姫様、思慮深くていらっしゃいますね」

「義姉さまに聞いてもはぐらかされるものでね」

「えー?別にはぐらかしてないよお」

「……若様、お応えしても?」

「ああ、いいよ。疑問は明らかにしなきゃ。信頼に繋がるから」


……やはり義姉さまは回りくどいわよね。

誤魔化すしさー。

でもちょっとその冷たい感じの喋り方はときめくかもしれない。

かもしれないってだけね!!

だって悪役令嬢っぽいの!

…中身は私にデロ甘い義兄さまいや義姉さまだけどな。


「アローディエンヌの問いに答えろ、ルーロ」

「仰せのままに」


…やっぱり部下なのね…。

しかし義姉さまも癖のある答え方をするわね…。

私の聞いたことに答えろってことは…私が知り得ない、質問できないことは隠し通せってことじゃないの。

……過保護め!!

くそっ、此処での社会経験が足りない事が、こんなにもどかしいなんて!!


「他国の伯爵様である貴方は、義兄さま…義姉さまの配下で間違いない?」

「ええ、その通りです」


何してんの義姉さま。

思わず呆れて半目で見たら、凄く期待した目で見つめられたので

取り合えず横を向いておいた。


「えええどうして目を逸らすの!?ふいって!!ふいってええ!!

ああでもそんなアローディエンヌもカッコいいよお」

「黙っててもらえますか義姉さま…」


シリアスがどっか行くから…。

見失いそうになるの困るのよ、収拾がつかなくて。


「ホントに仲が宜しいのねえ…性別が本来は逆でいらっしゃるんだっけ…」

「ドリー、黙ってろ」


あ、ルーロ君も半目になってる。

何だか彼とは仲良くなれそうな気がするわ。

すっごい親近感が湧いてくるわ。何でかしらね。


「何処で出会ったとか、聞いても?」

「7歳の時ですね。近くの子供に虐められていたら助けて頂きました」

「えっ!?義姉さまがまさかの人助けを!?」


意外だな。

積極的に人助けとかしないタイプだとばかり思ってたよ。

見直したわ。


「えっへん!褒めていいよお?」

「図に乗らない」


…やはり図に乗るから言わないでおこう。

ぱし、と腰に伸びて来た手を叩いておいた。

と言うかこんなモブ男の腰を抱こうとするな。

逆だろ。私は紳士的なモブだから意地でも抱かないけど。

全く楽しくないんですけど。


「まあ何だかあしらい方も高貴だわ、流石義妹姫様」


なんでやドートリッシュ。

高貴の意味を履き違えてるな、絶対に。


「…そう言えば、ドートリッシュって元々はどちらの出で?」

「コレッデモン王国ですわ!ここから三つほど山を越えて川を結構沢山渡って…」

「……」


成程分からん。

て言うか国の名前が適当だな。笑わせに来ないでほしい。


「三つ隣の国だよ」

「成程」


それなら分かる。

分かる気がする…。多分。

世界地図でも見ておくべきだったわね。


「まあ、隣の国がアレカイナ連合国の飛び地ティキトゥーニ領なので実質隣ですけどね」


あれかいな、って…。てきとうに…って…。

…さっきから国の名前がいい加減なのはどうしてかしらね。

とうとう笑い殺しに掛かってきたの?

ドートリッシュの苗字もどうかと思うけど。モブニカって。

誰!?名付けたのは誰よ!!

忘れかけてたけど製作スタッフ!!腹筋を殺しに掛かってくる気!?

それにしても良かったあ、無表情で…。

笑い転げて不審者になる所だった。

まあ、普通に動じてスプーン落としそうにはなったけど。

流石に顔以外はねえ…動じるわよね。良かったわ…。

そこまで無感動な人間(見た目)じゃなくって。


そう言えば…今居る国って言うか、私の今の母国何て言うんだ?

全然知らねえ…。


「ウチの国って何でしたっけ」

「え?」

「アローディエンヌ、知らなかったあ?」

「まあ…知らないでも…宜しいんではないでしょうか」


うっ!!

すみません世間知らずで!!生暖かい視線が辛い!!

学ぼうとしないですみません!

ロージアに人の事言えないわ!!

設定資料集に書いてなかったんだもん!!って言い訳はもう通用しないわね…。


「……正直、殆ど外出したことが無いので知りません教えてください」

「ドゥッカーノだよ。ドゥッカーノ王国」


ま た か よ!!

名前がおかしいんですけど!!

何で国名でこんなに笑いを取りに来るの!?


「そうすると…ショーン王子様だとファミリーネームがドゥッカーノ…」


どっかのショーン?…いや、ショーン・ドゥッカーノ。

やべえめっちゃウケる。馬鹿笑いしたい。

でも馬鹿笑いできない上に声が怖い。どうしたらいいのこの思いを。

誰か共感して…!!多分此処住まい人じゃ無理っぽいけど!!

いや私も此処住まいだけどね!?居ないの他に異世界転生した人とか!!誰か!!

…まあ、居たとしても会えるわけ無いな、私引き籠りだし。


真面目に考えよう。王族はファミリーネームは国名の筈。

マナーで習った割に…国名を覚えていない私も大概よね。

うん。多分そう。

…あれ、何か私以外の全員が嫌な顔をしているわ。

何で?


「…何か間違いをした?」

「いえ、合ってます…合ってますが…」

「あの色ボケ王子の名前を聞くと…」

「色ボケ?」

「と言うか何であのバカ王子なのーもうー!!」


義姉さまがぷんすか怒り出すのはまあ分かるけど、

伯爵夫妻が王子の名前に嫌悪感に満ちているのは何故かしら。

て言うかショーン王子って色ボケだっけ?

どっちか言うと普通に正統派王子様(甘め)だった気もするんだけど。

一体何が起こったんだ、私の知らない間に…。


「まあそんなに嫌いならもういいですが」

「私を構ってよーはいあーん?」


義姉さまは私の口元に洋ナシを刺したフォークを差し出して来た。

瑞々しい果汁が今にも滴り落ちそうなキラキラした果実。

義姉さまの目も負けないくらいキラキラしている。


「……」


最初は断固拒否していたが、最早慣れた…。

しつこい上に面倒くさいので、出来るだけ早く口を開けてもしゃもしゃ咀嚼する。


「美味しい?」

「…まあまあですかね。普通に食べたら美味しいんでしょうけどね」

「もうアローディエンヌったらあ照れちゃってえ」


私が半目で義姉さまを睨むのも

義姉さまに嫌味が通じないのもいつものことだ…。


って……はっ!!

しまった!!

今人前!!


「ねえねえルーロさま、あれやってみたくないかしら?」

「君にされると口とか頬をフォークでぶっ刺されて貫通して、全治5か月とかにされそうだからやらない」

「す、する訳ないじゃない!!じゃあ逆で!!」

「君が風邪にでもなったらやってやる」

「えーーー……風邪って、どうやってひくのかしら…」


おいおいすげえなドートリッシュ。

風邪ひいたこと無いのって言うか…この夫婦も突っ込みどころが多々あるのね…。

私は義姉を適当に躱しつつ、空腹を満たすことに専念した。

後でドートリッシュから夫婦になるまでの経緯をじっくり聞かなきゃ。

実際それ位しか楽しみが無い訳だし…。

それっぽい国の名前考えるの楽しい…。

カッコいいっぽい名前を考えるのもとても楽しいです。

それにしても世間知らずが加速してますね、サポートキャラ。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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