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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
番外編

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31/212

番外編そのにの11 素敵な恋を愛に変える

お待たせいたしました…恋と愛です!!

タイトルは恋と愛!!恋愛なんですよ!!

…この話を書くまでにえらく長くなってしまいました。

そして多大なご評価有難うございます。

とても嬉しいです。御礼申し上げます。

どうしよう、とにかく機嫌が悪いわ。

えーと、えーと、じゃ、じゃあ…これか!?

正解は、これか!?


「えーあのー、…じゃあ…カイジュさま?」

「カイジュの名前は家の一族の男に…父にも兄にも付いてる。

今度こそ全滅しても、名前が残るように」


私の精一杯の頑張りがぶった切られてしまった。

……思った以上に重い理由によって。

…そんなに刹那的なの…。


あの王家のせいだな、本当に許さん。

本気で許さん。

戦闘だ、武器を持て!!

…いや、今そういうムードじゃなかったわ!!

カイジュさまの顔が早くしろ遅いと告げている…。


「…じゃあノロットイさま」

「は?そこで家名にいくなよ!!」


ええええ、怖いよー。

じゃあ、じゃあー1つしか無いじゃないの…。

セカンドネームだと思ってたのに、こっちが本名…というか、個人の名前だなんて聞いてないわ。

それが分かって呼ばせるとか、嬉しいけど、恥ずかしい!

でもご主人さまの視線がそろそろ痛い…痛いわ!!

……でも超恥ずかしい…。

顔に血が集まっていくのが分かるわ…。

で、でも勇気を出すのよ、ドリー!!

ここで正解を叩き出して、勝利するのよ!!


「……ルーロ…さま?」

「…………………何」


ちょ、人がなけなしの勇気を出したと言うのに…!!

聞こえるか聞こえないかの小さい返事、ずるい!!


「……えー、神官商人さま?」

「はああああ!?何でだよ!!返事しただろ!?」

「えええ、あんな小さい声で返事なんですか?聞こえたけど…」

「聞こえてるんじゃないか!!ルーロでいい!!」


怒られた。

理不尽だわ…。

こっちは恥ずかしくていっぱいいっぱいだと言うのに…!!


「……あのー、何で呼ばせるんですか?

とっても照れるんですけど」

「俺だって滅茶苦茶恥ずかしいよ!!」


更にキレなくても…。

あ、でも恥ずかしいんだ、ご主人さまも…。

ちょっと嬉しいかも…。

良く見たら真赤な頬っぺたがちょっと可愛いな。

で、でも聞かなきゃいけない事が有る…。

あんまりにあんまりだけど…ここは聞いとかないと。


「…それで、ごしゅ…ルーロさま」

「何」


普通に返事してくれた。やったあ!!

やったわあああああ!!何だか知らないけど、とっても達成感!!

…ちょっと、かなり、とっても恥ずかしいけど!!

ここ何日か?10日くらい!?もっと!?

冷たかったから、呼びかけて返事が有るって凄く凄く嬉しいわ!!

そして…この和やかな内に聞いとかなきゃいけないわ…。


「あの…私の呪いの話ですが」

「あ。え…ああ」


ルーロさまはすぐに何時もの表情に戻してしまった…。

あの、こう…最初は人を食ったような生意気な顔っていうか、それもこの頃は良く見えて来た顔って言うか…なやつに!!

いいんだけど!!いいんだけどね!?

あの可愛い表情が!!

消えてしまった嘆きは抑えられない!!

言うんじゃなかった!!

言わなきゃいけないけど!!

だって私はまだ、呪われた最中をひた走ってるんだもの…。


「あのお、私が道を踏み外す以外には、お金の力でしか呪いは解けないってことで宜しいんですね?」

「…ぐっ!?」


盛大にご主人さまが顔を引き攣らせているわ。

…だ、だって…三日三晩?

悍ましい事をしない方法を選ばなければ、

結局お金で解決なのよね?

何でご主人さまが頭を抱え出したの?

あれ?さっきそういう話だったじゃない?

違った?違うならそう言ってほしいわ…。


「いや……あれはその」

「えっと、どれがどの?」

「悪かった、ドリー。訂正させてくれるか?」

「……何処をですか?」


まあ、こんがらがってしまった話なのは分かったけど…。

私が怒鳴って話をぶった切ったせいね…。

えーと、何だっけ…。

私の呪いをお金を掛けずに解くには、実弟と三日三晩一緒に居て、夜明けにキスという…思い出すのもえげつない忌まわしい行為をしなきゃいけないんだっけ?


何なのあの女神像。マジで変態だわ。

邪神だわ。

あれ、

…でも何故かルーロさまは

サジュが弟だと知らなかった?


んんん?

何が何だか分からなくなって来たわ。

何かがおかしい。

でも何がおかしいのかが

私には理解が出来ないんだけど。

んん?何処が、どうおかしいの?


「…ドリー」

「はい」


こほん、とルーロさまが咳ばらいをした。

あ。ルーロさまは分かってるっぽいわ。

…説明してもらおう。

ややこしい事はルーロさまに説明してもらうに限る。

このひとは私がグダグダ推測するより、

間違いなく頭いいし詳しいんだから…任せよう。


「……まず、だけど……ドリー、俺をどう思う?」

「…え?どう思うって…えー」


あれ?

あれあれあれ?

何!?この質問は!!

このほわーんとした空気!?

…もしかして、もしかする?もしかしちゃうかしら?

ルーロさまも、私のことを……。

やだ、どうしよう。どうしよー!!


「銭ゲバって思ってるだろ」

「……いえ、まあ、……はい」

「俺は君を守銭奴だと思ってる」


……やべえ、勘違いが過ぎた。

危ない危ない。心に深い傷が刻まれるところだった。

いや、今結構致命傷だけど。

全然いい雰囲気なんてやってこないな。

……危ない所だったわ…。

何だか色々せりあがってくるこの想いをどうしたらいいの。

本気で凹んで泣けそうなんだけど。


「でも、俺を下にも見ないし、馬鹿にもしないよな」

「す、する訳ないじゃないですか……」


おおおおおお!?

やっぱりこれ、勘違いしていい雰囲気かしら!?

間違っても身長がちょっと高いから見下ろしてすみませんっ!なーんて冗談言える雰囲気じゃないわよね?

慎重に行くの、間違えたら駄目よ、ドリー!!

絶対にこのいい感じの雰囲気を死守しなきゃ!!

経験が無さ過ぎて…どうやって守ったらいいのか分からないけど!!


「君は大分規格外なひとで、他国の令嬢だ」


えええ規格外…?そうかなあ…。

そりゃこの国じゃあそうでしょうけど…。


「私は崖っぷちなだけで普通の令嬢です。

この国が変なんです」

「…まあ否定はしないけど」


そうよ、この国と言うか王族が変なせいよ。

そのせいでルーロさまの一族が…何だか分からないけど、迫害に遭っているんでしょ!?

王族のせいで!!王族のせいでええええ!!

…いけない、怒りが湧いて来たわ。


「ええ、この変な国のせいで

ルーロさまは受けなくていい差別を

受けてるのが許せないと思うわ」

「……やっぱり規格外」

「そんなことないわ、

他にも絶対そう思ってるひとだっているわよ!!」

「……無くはないけど」


まあ、居るんじゃないの!!普通の感性の人!!

捨てたもんじゃないわね、誰だか知らないけど。

有難うルーロさまを迫害しない人!

誰だか知らないけど、仲良くなりたいわ!!

ルーロさまの良さを語り合いたい!!


「ほらね!私は規格外じゃないわ!!

そしてルーロさまもちょっと斜に構えただけの普通のひとよ!」

「……俺を、普通呼ばわりか……」

「そうよ、寧ろ人より環境が悪い分素敵な普通のひとよ!」


思わず演説してしまったわ。

あれ……ルーロさま黙っちゃった。

やっぱり…普通呼ばわりは駄目だったかしら。

それとも立ち上がり掛けて、拳を振り上げたのが暑苦しかったのかしら。


ううん…それとも超可愛いです素敵です貴方を好きです!

とか言っていい雰囲気だったのかしら。

きゃーーー!!大胆!!

言えなーーーい!!出来る気がしなーーーーい!!


おおお、世間の令嬢はどうやって殿方を口説いているの?

ここで確実に落とせる!!やれる!!やれっ!!…みたいな絶妙の間合いの察知能力はどうやったら会得できるのかしら。

うーん、察知能力に間合い…はっ、騎士団?

軍属になれば…!?


……いや駄目だ。

サジュはそんなの会得している気がしないから軍は駄目ね。

大体そんなものが会得出来れば、軍属歴長いサジュの御養父さまはモテモテな筈よね。

それに大体私はか弱い普通の跡継ぎ令嬢だわ。

軍とか駄目よ。そんな兼業してる暇は無いわ。


……駄目だ、思いつかない。益々分からないわ…。


「……ドリー、呪いを解いてあげようか」

「え?」


私が絶妙の間合いについて悩んでいたら、ルーロさまがぽつんと言った。


………?

…………!?

……………え?マジで?

まさか…まさか、契約の借金無くしてくれるってこと!?


で、でも借金を無くしたら、ご主人さまと一緒に…居られない…!?

それは嫌!!

とっても嫌よ、ルーロさま!!

借金は減るのは嬉しい事この上ない筈だけれど…。

寧ろ出会った当初に言われたら、本気で喜んでいただろうけれど…。


でも、でも…やっと名前呼びが解禁になって、恋の階段を三段跳び位?したと言うのに!!

…いや、名前呼びがどの程度の段階なのかもよく分かってないけど…。

おおお、恋愛偏差値が低いわあああああ!!

何とか誤魔化せないかしら!?


少しでも、長く…近くに居れる理由を…!!

あ、そうだ!!魔力!!

女神像の呪いの解呪には

魔力がすっからかんになるのよね!?

それはきっと、いや、かなり困る筈!!


「で、でも、ルーロさまの魔力が向こう三か月無くなってしまうわ」

「そっちじゃ、ない」


えええ、そっちじゃないってどっちなのかしら。

細かい説明を…説明が足らないんだけど!!ルーロさま!!

何故口数が少なくなってしまったの!?


「1000万ゼニゼロ掛からない方で」


んんんん?

掛からない方法?

結局何なの?

お金が掛からないって…超不安だわ。

でも…お金掛からない方が不安になるって…。

お買い得を求めていた昔の私なら思いもしなかったわ。

私も成長したわね。


「えっと……道を」

「…ある意味、外れることになるけど」


ええ…やっぱり外れんの…。其処は外さないのね…。

そうでしょうね、女神像ですもんね。

…まあ、崖っぷちには代わりないから

何処にでも逸れるけど。

取り合えず弟とか家族は巻き込まないならいいわ…。


「ええと、サジュは巻き込まないでほしいわ」

「弟の彼でなく、俺でよければ」

「……え?」

「改めて、訂正するね」


そうルーロさまが囁いた。

その手が私の頬を撫でて、

口の傷を避けて、唇に触れてきた。


ルーロさまが私に触れている。

しかもとても優しく……。

夢の様だわ…おお、…優しい…。

とても優しい。

相当勘違いしそうな手つき。

まるで、物語のようではないかしら。



「呪われた君を愛するひとから、三日間。

夜明けにキスを贈られる」

「……」



ルーロさまの目が私をまっすぐに見つめる。

それは、綺麗な薄い黄色の目。

暑い暑い夏の朝、暗い夜明けを裂く太陽のような…光の色。



彼の紡ぐ言葉は…私に都合が良すぎる。

……本当なの?

ああ、でも何故?

私にそのことを言うの?

自惚れてもいいの?



…自惚れてもいいのかしら?

ルーロさま、好きよと…告げてもいいの?



「三日目の夜明け、君の呪いは解けるよ」



その微笑みは、本物なの?

そんなことが有り得るの?

私の都合のいい妄想では無くて?

本当に私が、言われたことなの?

でも、幻でも何でもいいわ。




「……それを、あなたが私に贈って下さるの?」



まるで物語のようではないの。

呪われた私に、偽りでない恋が?

本当に好きな人が、私を呪いから解き放ってくれるの?

素敵な恋は、叶えられるの?

ああ、駄目だわ。震えた声しか出ない。

ろくな言葉も、告白も口から出ないの…。



ルーロさまは、少しだけ瞼を伏せて、再び私の目を見て、手を取って…

頷いてくれた。

…ルーロさまの手は、意外と大きくて、ささくれた指をしてた。

好きな人なのに、私はそんなことも知らなかったのね。








ああ、これって…これって私、恋が叶ったのよね!?

踊れないけど、踊り出したい気分…!!

ルーロさまを抱えてクルクルとかしちゃってもいいわよね!?

いいわよね!?良いわよねえ!?

わあい!恋愛成就だあ!!

やったあああああ!!

そして、脳内が恋愛物質で溢れそうな私は

心のままにルーロさまを抱き上げてクルクル回ろうと抱き着いた。

わあい!相変わらずいい匂い!

細い!

可愛い!!

愛してるわ!!


「っ!?!????」

「やった、やったわ、やったわあああ!!」

「って…はあ!?ちょ、この、ドリー!!

降ろせっ!!降ろせえええええ!!」

「うえ?はえ?」


5回位回ったところで何故か怒鳴られてしまった。

個人的にはもう50回位回り足りないんだけど…目が回ったのかしら。

しまったな。近所の農家の子供と一緒にしてしまったかしら。

ルーロさまはか弱いの忘れてたわ。

いかんいかん。

あれ、顔が真っ赤になってる。


「仮にも…仮じゃないが…、想いを告げた男を抱き上げて振り回すなんてする令嬢がいるかああああっ!!」



…それはそれは、ルーロさまに超怒られた…。

あれ?

…何でかしら?

何か、お気に召さなかった?

…あれれれ?

こ、これ…間違ったの、かしら?

……間違ったのね。ど、どうしよう?

えっとさっきのお申し出…取り消しとか、しない…わよね?

でもまだエンディングじゃないんです。

もうちょっとお付き合いくださいませ。

ここで止めて置いたら、ギャグとしては美しく終わるかもしれないんですが。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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[気になる点] 番外編要る?って思っちゃいますね。
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