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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編

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14.有象無象が蠢く場所

お読みいただき有難うございます。

暗いなあ…。

今回『悪役令嬢』が不満タラタラで文句しか言ってない回です。

小さいアローディエンヌは賢かった。


「あなたはわたしとちがって、ちいのあるかたなんですから、

それにふさわしい結婚をしないといけないんですよ」


でもそれは違うよ。

僕に相応しいのは君だよ。

だからどうかそんな事を言わないで。

普通が許されないのなら、普通でなくなればいいんだから。



あれから十数年経った。相変わらず令嬢として暮らしている。

気に入らないよ…心底気に入らない。

でも、家では…と言うかアローディエンヌの前だけでは男で通している。

目を白黒させて、少し困ったような表情が可愛い。

すこしばかりは意識してくれているだろうか。

だったら嬉しいな。


あのバカ王子の婚約者なんて胸糞悪い立場と振る舞いで荒んだ心も、アローディエンヌと過ごすだけで途端に上向く。

我ながら単純だと思う。


そう言えば、最近気にいらない奴が増えた。

バカ王子を無視してたら、

あのバカにすり寄って構っている奴がいたんだよね。

また目立つところで…。


「ショーン様と居ると、心がポワーンってするんですよ」


最初聞いたとき何のことか分からなかった。

何だその言動。もしかしてバカ王子を口説いてるの?

意味が分からない。

そんなのに疑問を持たないバカ王子も分からない。

そんな言動ばかりをする薄赤い髪の庶民の屑女がいる。


僕の押し付けられた婚約者…つまりバカ王子に擦り寄って媚を売っているらしい。

それはいい。どんどんやるがいい。好きにするといい。

手は抜かないが応援してやる。

目立った邪魔さえしなければだけど。

あのバカ王子が骨抜きにされようが、散財させられようが気にならない。

他の男にも擦り寄っているようだが、それもどうでもいい。

でも15以上離れているのに、叔父上までたらしこんでいるのは流石に呆れた。

て言うかどうやって知り合ったんだろうね…。

王族の責任を放り出してどっか放浪してるはずじゃなかった?


それにしても、この学園?

つまんないことこの上ないなあ。

何であのバカ従兄弟も通ってるのか意味分からないし…。


そう言えばこの間バカな事言ってたな…。

市井の生活を知る為?だっけ?

馬鹿か。

こんな衣食住に事欠かない、至れり尽くせりの所で市井の生活体験?

何の戯言だよ。

お前みたいな甘やかされたバカが、市井の生活を営むなんて出来る訳ないだろ。

そんなにやりたいんなら廃嫡されて庶民とでも結婚しろ。

そんな度胸も無いだろうけど。

大体王子は王宮にいろよ。

大人しく震えて守られてろよ、馬鹿なんだから。


それに王家も何を考えてあのバカ王子を放り込むんだ?

あんなバカでも、あれは継承権第一位持ちの王子だよ?

こんな貴族も庶民も有象無象に集められたところに放り込んで…

秘密裏に暗殺でもさせたいの?

もしくは何かの罠の囮なの?王子を?

……サッパリ分からないよ。

まあバカ王子が殺された所で僕は痛くも痒くもないから放っといてるけど。


あーそう言えば僕も継承権持ってるけど、何故か通わされてるし…

一体何のつもりなの?

それに王宮にも行かないといけないし…ここでも向こうでも何であんな奴に会わないといけない?

拷問だよ。


「ねえ、そんなフードなんか取ってよ。私と目を見てお話ししよう?」

「止めろよ!!」

「折角綺麗な顔をしているんだもの!ね、見せてよ」

「君のふしだらさにはうんざりだ!!何処かへ行ってくれ!!」


…何あれ。

人の服…しかも異性の服を剥ぎ取ろうなんて、あの屑女は追い剥ぎか何かなのかな。

見たくもないのに視界に入ってくるなあ、あれ。

何であんな目立つところでやってるんだろう。

既成事実か追い剥ぎかしたいんならせめて隠れろよ。

ああ、そんな知恵もないのか。


「おい、うちの姉さんに付きまとうの止めろよ」

「あなたの事を知りたいから話しかけてるんだよ?」

「だからって何で突飛ばしたりするんだよ」

「だって無視するんだもん。ちょっと驚かせようとしただけよ?」

「信じられんなお前…。大体どうせオレだけじゃないんだろう。他に行けよ!!」


また居る…。何でこんな人の居るところで騒ぐんだよ。

…人を突き飛ばすとか、刺客か何かなの?

見た所男の方は従騎士っぽいし…あの屑女がどっかの国から殺しに来た?

その割には弱そうだし、馬鹿だから無理だね。

あ、あの従騎士に醜聞を作らせて陥れようとした?

…寧ろ同情票は集まってるだろうなあ。大失敗だな。


それにしても凄いなこの学園。

よくあんなのを野放しにするよ…。

追放しろよ。川に流すとか。


「あの方、本当に目に余りますわ」

「王子様にも付きまとっていますし」

「アレッキア様がお可哀想」


じゃあお前らが何とかすれば?

て言うか何で僕に付きまとうんだ、この…どっかの令嬢共は。

気が付いたら何か寄られてるし…。

バカ従弟なんて心からどうでもいい。


「…好きな方が心穏やかであれば、私はそれで」


あー、アローディエンヌに逢いたいよ。

帰りたい。

何か令嬢共がきゃあきゃあ騒いでいたけど…煩い。



それよりだ。

塵芥にも劣る女が、よりによって僕のアローディエンヌにもすり寄っていた。

気に喰わない。

許せない。

何時の間にアローディエンヌの知己に収まったんだ。


「暇だから」


優しいアローディエンヌ。

あんな屑に情けをかけるなんて、ダメだよ。


手ずからの茶会に招かれるだけでも八つ裂きに値するのに、

あの屑はアローディエンヌに感謝すらしていない。

当然のようにアローディエンヌの好意を受け取り、垂れ流している。


人との交流が少ないアローディエンヌは、最初はあの屑の訪れを楽しみにしていたが、段々屑の本性に気づいたのか、暗い顔をするようになった。


でもどうしてあんなに献身的なんだろう。

…もしかして、アローディエンヌってあの屑女に呪われてるのかな。

この頃アローディエンヌに暗い影みたいなのが付きまとってるし。


だったら、解かないといけないね。

お姫様の呪いを解くのも、王子様の役割だったから。


今まではどうでも良かったけど…

アローディエンヌが関わっているとなると最優先課題だ。

あの屑を除去するために頑張ろう。

うーん、でも今殺人となると始末に困る…。

まだ家を全部把握していないし、使える手札も限られているもんな。

何で王宮に何か行かないといけないんだか…。

あと少しなのになー。

僕は急ぐことにした。

魅了でも何でも使えるものは使おう。

とりあえず両親から手をつけるか。

多少壊したところで問題はないだろう。


「お前の好きなようにしたらいいよ、可愛い子」

「そうよ、お前の思う通りに運べるように」


僕は両親の思うがままにされていた昔とは違うしね。

魅了はとっくに、意のままに操れるようになっている。


両親は陥落した。

拍子抜けするくらい。

こいつら、何の手も打たなかったんだな…。

僕が危険だと言う事が分かっていただろうに。


「じゃあ、色々手伝ってね、父上、母上」


勿論手伝うべきだよね?

骨の髄まで利用するべきだよね?

だってあいつらだって、

僕に対して、アローディエンヌに対してそう思っているんだから。


『無関心』『厄介払い』『甘い汁』『劣情』その他色々。

モヤモヤと気持ち悪い模様が張り付いた何かに、見える文字。

何時からか僕は、他人に向けられる悪意や下心が見えるようになっていた。

他に数字とか名前とか見えるけど、それは僕にとって重要じゃない。

悪意にしか見えないので『悪意』と呼んでいる。


で、僕が無意識でも意識的にでも魅了を掛けると…背中に背負った『悪意』が気持ち悪い程の何かに覆われる。

これは幼少期には気付かなかった。

トラウマになりそうだった。

我慢できなくは無いけど…今でも見るのは気持ち悪いよ。

こんなものは慣れるもんじゃない。

僕は悪趣味じゃないんだよね。


『悪意』が無い人もたまに居るよ。

アローディエンヌはその最たる人だよね。

悪意が無い人も居るんだと信じさせてくれたアローディエンヌには感謝しかない。

魅了封じを得てから『悪意』が少なめの人も結構居ると分かったし。

世間も其処まで悪くないって思えるようになった。


ああ、でも王位の方はどうしようかなー。

こいつらの事アローディエンヌも嫌いだもんね…。

王子様、になるのに…使えるのかな。

止めとこうかな。

それに、控えめで変化に弱いアローディエンヌだから、

もうちょっとそっちはゆっくり事を運ぼうかな。

びっくりさせすぎちゃうのって、良くないもんね。

もっと楽しそうな他の手段だってある筈だ。


そうそう、両親からアローディエンヌの婚約者の事を報告された。

取り合えず便宜上行かせたけど…一緒に行きたかったなあ。

アローディエンヌの着てるドレス…地味だね。

もっと華やかな色の方が可愛いのに。

青い目だから、薄い青とかどうかな。薔薇色とかもいいね。

あー…でも、他の男に見せびらかすにしても僕が横に居ないと意味無いな。

両親を無視してお菓子を食べてる姿が可愛い。


「そこの方…私と…熱っ!?」


アローディエンヌは可愛いから、何回か声を掛けられそうになったけど、

その直前でちょっとしたハプニングが起きた。

アローディエンヌが気付く前に穏便に彼らは帰って行った。

服を焦がしたみたいだ。

しょうがないよね。

テーブルの燭台の炎がちょっと大きくなりすぎて、

偶然にも裾がすこーし燃えてしまったんだから。

…死なない死なない。


それから…『婚約者』の方だけど…。

あーアローディエンヌの、って肩書付くと本当に忌々しいな。

色々見に行ってみたけど…調べるまでもなく、屑だった。


うん、屑で良かった。

僕、冤罪は嫌いなんだ。

誰も得しないし悲しいでしょ?なるべく使いたくないんだ。

行儀見習いのついでに、王妃に報告して、

違法賭博現場の方は…そこら辺の従騎士に伝えておくか。

確か同級生が学校に居た気がする。


「ねえ、其処の従騎士殿」

「あれ、アレッキア嬢。オレに何か用か?」


あ、コイツ…。名前何だっけ。

…あー何処かで見たような…。

あ、あの屑女に言い寄られてた奴かな?

まあいいや。


「変な噂を耳に致しましたの…」

「変な噂?」

「ええ…」


コイツ経由で騎士団に踏み込んでもらうことにしよう。

違法賭博で盛り上がっているところに、強面の騎士団が踏み込んでくる…。

考えただけで怖そう。

後は静観して、結果が出たらアローディエンヌに教えてあげようかな。


『主人公』が攻略対象2人に振られるところを見ていたようですね。



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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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