表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
約束と契約2  作者: オボロ
22/30

#22 七曜神楽とは



秋も深まり、黒石神社を囲む森の木々の葉は、鮮やかに色付いた。

黒石神社で秋祭りが開催されるというポスターは、町中のあちこちに貼られていた。

ポスターには、七曜神楽しちようかぐらのことも書いてあった。


黒石神社 秋祭り

開催のおしらせ


奉納式 PM2:00~

子供神輿こどもみこし PM3:00~

七曜神楽 PM5:00~

※次期宮司による七曜神楽は55年ぶりです。


地方紙にも、小さくだが載っていた。


「55年ぶりに、皆さんの前でお披露目できることは、非常に嬉しい限りです。次期宮司は、まだ若く、宮司になるのは、まだまだ遠い先の事ですが、七曜神楽は、いすれ、宮司となる者のお披露目と、その者の決意表明のようなものです。無事に宮司となるまで、これからは毎年、皆さまの前で舞うことになるでしょう。ですが、初の舞は非常に貴重なもので、記念となるものです。初々しい七曜神楽を、ぜひ、ご観覧ください。」


新太あらたの写真付きのコメントなのだが、「父さんは切り抜きを額入れて飾っている。」と、元昭もとあきがみんなにバラしていた。


黒石神社でも秋祭りの準備は着々と進んでいる。


「そっとな。そっとだぞ。」


今日は、蔵から子供用の神輿を出して来て、新太と元暁と陽菜乃ひなのが、清掃と安全点検をしていた。

B・B達も、秋祭りを楽しみにしているようで、境内の清掃にも力が入っていた。


「また、出店があるんだって。」

「夏祭りの時とは違うのもあるって。」

「マリアの学校のとも違うみたいだよ。」

「楽しみだなぁ。」

「楽しみだなぁ。B・Bも楽しみ?」


「あぁ、楽しみだ。」


色付いた葉を眺めながら、B・Bは呟いた。

屋台も、マリアの舞も、楽しみだった。








シャンッ!

シャンッ!

シャンッ!




「はぁ…はぁ…はぁ…どうだった?」



ここは、社務所内の会議室。

マリアは、誰も居ない社務所内の会議室で、一週間後に控えた秋祭りで舞うことになっている七曜神楽の確認を、琴音と凪にしてもらっていた。

これが、最終確認となる予定だった。


「問題は無さそうだね。衣装の丈も袖も丁度いい。裾のさばきも、弓と矢のさばきも上手くなっている。後は、落ち着いて、普段通りを心掛けていればいいよ。」


本番と同じ衣装を着て、本番と同じ弓と矢を持ち、七曜神楽を一通り舞って見せたマリアに、琴音は満足そうだった。

しかし、凪は、何かが気になるのか、もの言いたげに琴音を見ていた。


「どうしたの?凪。」


マリアは、不思議に思い、聞いた。

何か、気になる所があるのなら、言って欲しかった。


「七曜神楽の意味を、マリアに話さなくていいのか?」


凪は、マリアにではなく、琴音に言った。

なぜ話さないのか?と、遠回しに責めているようにも聞こえた。


「うーん。話して、プレッシャーになってもねぇ……。」

「しかし、知らなければ、パニックを起こすかもしれない。」

「そうだね……。でもね…。」

「話した方が良い。心構えが違う。」


琴音と凪は、ヒソヒソと話して、相談を始めた。

マリアは、プレッシャーだの、パニックだのと、穏やかではない言葉に、嫌な予感しかしなかった。

知らない方が良いような、知らないと怖いような、どちらにしても、良くないことになるような気がした。


「とりあえず、座りなさい。ちょっと長い話になるからね。」


話すことで決着が付いたらしい。

琴音は、マリアにそこへ座るようにと、手でうながした。

マリアは、素直に従った。


「七曜神楽が、次の宮司になるもののお披露目だってことは、前に話したね。」

「はい。」

「お披露目ってことは、次の宮司に相応ふさわしいと、認めてもらうという意味も含まれているんだよ。」

「認めてもらう?」


マリアは、ピンと来なくて首を傾げた。


「七曜神楽を、ちゃんと舞えるかってこと?」

「うん。まぁ、簡単に言ってしまえば、そうなんだけどね……。」


琴音は、どうも歯切れが悪かった。


「つまり、七曜神楽、そのものに、舞以外の意味がある―――ということだ。」

「え?舞以外って?」


痺れを切らした凪が説明を加えたが、マリアにはイマイチわからなかった。

凪は、更に説明を加えた。


「七曜神楽で神社内のお祓いをする。」

「お祓い?」

「七曜神楽の前に、神社の周囲に張られている結界がける。お前は、七曜神楽を舞いながら、入り込んで来た邪気を祓い、結界を張りなおす。上手く出来れば認めてもらえる。」


はぁ?


マリアは、大声で言いそうになった。


なんでわざわざ結界を解くの?

どうしてわざと入り込ませた邪気を、神楽を舞いながら祓わなければならないの?

挙句に結界を張りなおす?

結界なんて、張ったことないわ‼


「まぁ、言いたいことは、なんとなく分かるが、やってもらわなければ困る。」


口をパクパクさせるだけで、声にならないマリアを見ても、凪は容赦なかった。


「秋祭りは、収穫祭のようなもの。秋の祈りを感謝して、新米を御弥之様に捧げる儀式がある。その、子供達が神輿をかつぎ、町中をり歩く。七曜神楽は、そのあとだ。

神輿を納めた後、結界は解かれる。七曜神楽が始まる頃には、ほどよく邪気が入り込んでいるはずだ。おそらく、マリアにも分かるだろう。境内が邪気でよどんでいることが。だが、驚くな。何事も無いような顔をして、神楽殿に上がり、七曜神楽を舞え。邪気を祓うつもりで矢を放て。実際には、矢など放ちはしないが、それが邪気を祓うことになる。最後に空へ向かって矢を放つだろう?あれが、結界を張りなおすことになる。意味が分かれば、舞にも力が入ってしまいがちだが、お前は、あまり力をめるな。普段通りで良い。いつも通りの力加減で弓を引け。いいな?」


「………。」


マリアは、軽いパニックを起こしていた。


見えるくらいの邪気を祓う。

祓うつもりで矢を放つ。

でも、力は籠めるな?

訳が分からない。


「ほらごらん。」


頭から煙を出しているだろうマリアを見て、琴音が溜息を吐いた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ