死後だったはずの朝 木曜日
来ないはずの朝が始まった。
まだまだ始まったばかりですが
読み続けて欲しいです
次の日、俺は登校した。
靴箱を見ると上履きがなく、生ゴミが入っている。
本来ならば靴箱に鍵付き扉がついているのだが、俺の靴箱だけには扉がない。
俺は慣れた手つきでゴミを捨て、上履きを出し、上履きについたゴミを払う。
なにかが上履きの中から落ちた。
音からするに固い物だ。
案の定、画鋲。
そのままにすると危ないので、それを拾う。
靴を履き替え、教室に向かう途中、壁に画鋲を刺す。
教室に入ると俺の机の上に菊の花が飾られていた。
今日は机がある。と安堵した。
しかし、近づいてから気付いた。
椅子が無い。
教室を見渡しても無い。
多数の小さな笑いが聞こえる。
「誰だよ。椅子を空きクラスに置いた奴は」
そう言いながら教室に入ってきた男子生徒。
手には椅子と鞄を持っている。
俺の椅子だ。
「今日使うらしく、近くにいたウチが戻すように言われた」
よく見るとその人は昨日の彼だ。
「空気読めよ……」
「馬鹿正直に戻すなよ……」
そんな声が聞こえる。
「ここに置いとくぞ」
彼は椅子を出入り口付近に置き、窓際の一番後ろの席に座る。
同じクラスだったのか。
そう思いながら椅子を拾い、花瓶を窓際に置きに行く。
席に戻ったと同時に教師が入ってきた。
「今日は改めて紹介する生徒がいる」
転校生か?
「窓際、一番後ろの席にいる彼だ。最近まで入院していたが、今日から登校出来る事になった」
今までこのクラスにいなかったのか。
同級生どころか同じ教室の他人は誰も覚えていないし、覚える気もない。
「それでは出席を取るぞ」
淡白な説明で終わった。生徒は小さな子供じゃないしそんな物だろう。
俺は自分の名前が呼ばれる事だけを気にしながら、机の中のゴミを捨てやすいように集める。
しかしやる方も毎日面倒な事をするよな。
疲れる。
そんな考え事をしている間にホームルームが終わる。
一限目までまだ時間はあるが、俺には携帯でインターネットサイトを見る事ぐらいしかない。
他の生徒みたく、下らないお喋りなどしない。
正しくはここの生徒とは話がしたくない。
俺はいつものように携帯を制服のポケットから取り出す。
「はじめまして。ウチ、ソウタって言うんだけどさ。君、暇そうだから色々教えてよ」
誰かに話かけられた。
これはいつも通りではない。
話かけてきたのは昨日の彼だ。
その一言からいつもと違う学校生活が始まった。
いや報復が始まったのかもしれない。