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22話 冒険者ランク

 オレたちは対岸の国に着いた。

 

 ここは現世で言えばイベリア半島になる。

 

 「うーん、やっと着いたわね。」

 

 「ふむ、老体に船旅は応えますな。」

 

 「・・・おえ~。」

 

 オレは船酔いで嘔吐した。

  

 「ちょっと佐藤くん、汚いじゃない・・・。」

 

 少しは心配してくれ・・・。


 「さて、もう夕方ですが、どこか泊まれる場所を探しましょう。」

 

 「そうですね。ギルドに行って宿を紹介してもらいましょ。」

 

 オレたちはいつも通り、とりあえずギルドへ向かった。

 

 『ようこそ、スパニッシュ王国のギルドへ。』

 

 「この町で安く泊まれる宿を探しているのですが、良いところはありませんかな?」

 

 『こちらの宿ならば、1泊3000フールでご利用できます。』

 

 「おー助かりますな。そちらに向かうとしましょう。」

 

 「3000フールか・・・。」

 

 サキエさんは何やら困った表情をしている。

 

 「どうしたんですか?古川さん。」

 

 「どうしたんですかじゃないわよ。もう路銀があまりないのよ。」

 

 「えっ!?そうなんですか?」

 

 「アンタが借金ばかりするからよ!」

 

 「・・ぐっ。」

 

 サキエさんがルガール王国の港町で買い食いしまくっていたが、借金の件があるので何も言えない。

 

 「クラディウスさん、ちょっとこの町で依頼をこなして路銀稼ぎしてもいいですか?」

 

 「そうですな。少し滞在して路銀を蓄えましょうか。」

 

 「どんな依頼があるのかしら?」

 

 ゴブリン退治―――2000フール―――

 盗賊退治  ―――2500フール―――

 家畜の世話 ―――1000フール―――

 護衛任務  ―――2000フール―――

 

 「イマイチね・・・。もっと高い依頼は無いのかしら?」


 『フルカワ様は冒険者としてのキャリアがランク1のため、紹介できる依頼が初級のものになってしまうのです。』


 「キャリア?そんなのあるの?」

 

 『はい、依頼をこなした回数、こなした内容、登録した武器の熟練度等でキャリアが決まります。また、称号を得る依頼をこなしている場合、称号に応じた専門性の高い依頼を紹介されます。』

 

 「回数か~まだ全然依頼こなしてないわね。ちなみに称号ってのは何があるの?」

 

 『例えばですがドラゴン退治をしたことがある冒険者には”ドラゴンスレイヤー”の称号が与えられ今後は優先的にドラゴン関連の依頼が紹介されます。』

 

 「ふ~ん、なるほどね。」

 

 「古川さん、まずはコツコツこなすしかないですね。」

 

 「そうね。じゃぁ、ここの依頼全部受けるわ。」

 

 『ぜっ全部ですか!?』

 

 「えぇ、全部よ。」

 

 オレたちは明日までにこの4つの依頼を2日間でこなすことにした。

 

 護衛任務で向かう先には盗賊がいるらしく、護衛のついでに盗賊団を壊滅。家畜を襲うゴブリンがいるので、家畜の世話をしつつ襲いに来たゴブリンを返り討ちにして、さらに住処まで行き討伐。

 

 『すっすごいですね!』

 

 「さぁ、次の依頼よ!」

 

 『はっはい。』

 

 オレたちは討伐依頼、護衛依頼、素材採取依頼、家畜の世話を坦々とこなした。

 

 そして、2週間が経ったころ、こなした依頼は60を超えただろうか。

 

 『皆さん、キャリアアップです。ランク2になりました、また称号も付与されました。』

 

 オレたちは”ガードマン”、”ブリーダー”の称号を得た。

 

 「やったわ!これでじり貧生活ともおさらばできる!」

 

 「そうですね。この2週間辛かった。」

 

 平均2000フール程度の依頼を1日に4つほどこなしても8000フールで宿に3人止まれば9000フール。つまりは赤字なのだ。


 「1日おきにしか宿を使えなかったですからね、路上で寝たのは腰が痛かったですぞ・・。」

 

 オレたちは1日おきに路上で寝ていた。

 

 「さぁ、受付のお姉さん!ランクアップした依頼を紹介してちょうだい!」

 

 『はい、こちらになります。』

 

 「おー古川さん、報酬が高いですね。」

 

 「本当ね、これで赤字生活をしなくて済みそうだわ。んっ?」 

 

 「どうかしました?」

 

 「佐藤くん、この依頼・・・。」

 

 サキエさんはある依頼を指さした。

 

 奴隷搬送の護衛任務―――5500フールーーー

 

 「奴隷ですか・・・こういう仕事の片棒を担ぐのはちょっと。」

 

 「そう・・・だけど、転生者は奴隷が多いって。」

 

 「あっ!」

 

 「受けましょう・・・見たくないものを見ることになるけど。」

 

 「お2人とも、この依頼はあまり良いものではありませんぞ。」

 

 「クラディウスさん、承知の上です。同じ転生者がいるかもしれないなら、やってみる価値はあります。」

 

 「そうですか、ならば止めますまい。」

 

 「お姉さん、この依頼受けます。」

 

 こうしてオレたちは奴隷業者の護衛を手伝うことになった。

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