第三十話
ノークアミス王国編最後となります。
ファリン「何で貴方が居るわけ?」
トロン「王命やから仕方なくや、国を出るまでの手続きの為に着いていかなあかんのや」
アヴァル「ファリンお姉ちゃん許して・・・」
王都での一件を国王に丸投げして、国王が丞相になる投したのを見てトロンがその場から消えた。
丞相が仕方なく青い顔をしながら処理をしていたが国王がトロンにロイ一行が国外へ出るまでの手続き関連を全てトロンに丸投げした。
ノークアミスを出るまではトロンがサポートする形で旅路を進む事となると同時にアヴァルに従軍の訓練をさせる為にバルテクスの頼みで着いてくることになった。
ロイ「まあまあ、ファリン、まだ外務大臣一派で事情を知らない奴が居るので、不本意ではあるでしょうけどきてもらったほうが私達は楽なんですよ、全部トロンさんに押し付けてしまえば良いので」
トロン「にぃちゃんも、案外人使い荒いなぁ」
ロイ「使えるものはとことん使わないと」
ニコリと笑いトロンを見るロイ。
トロン「えげつな」
こうして王都アミスを出発するロイ一行と二人は順調に進み始めた。
◇
トロン「なぁ、あんちゃん」
不意にトロンがロイに話しかける。
目の前ではファリンとアヴァルが格闘術の段取りをしている。
ロイ「何ですか?」
トロン「あんちゃんとそこの姫はどっちが強いん?」
考えこむロイ、目の前にアヴァルがファリンにやられて滑り込んでくる。
ロイ「多分、何も無しならギリギリでファリンだと思いますが、全部引っくるめたら私ですかねぇ」
トロン「何やえらい、含みのある言い方やなぁ」
ファリン「そりゃそうよ、ロイは別に勝つ戦いはしないからよ」
トロン「何やねんその勝つ戦いはしないって」
ファリン「ロイは絶対に倒されない戦いをしてくるのよ、だから私は一度も勝てた事は無いのよ」
トロン「え〜っと、姫さんあんちゃんに勝てへんの?、あんな化け物じみた事してんのに」
ファリン「だって、絶対領域展開してそれを盾にしてくるのよ?、破れない盾の相手はこっちが疲労して倒れるまで永遠と続くのよ?」
ロイ「まあ私はあくまで聖職者、後方ですから・・・」
ファリン「しかもこの法丈、ツヴァイヘンダーなのよ?、まずこの法丈を何とかして、その後絶対領域を超えた先にバルテクス直伝の格闘術があるのよ?勝てる?」
トロンが顔を左右に振り呆れ返る。
トロン「姫さんですら既に人の域を超え始めてるのにその上かいな」
ファリン「そうね、まず懐に入れない、入っても防がれる、食い破ってダメージを入れても回復する、倒せないでしょ?」
トロン「あ〜、回復もあるんか・・・、あんちゃん卑怯やな」
ファリン「そう!、卑怯なのよ!、一度だけ不意に一撃入れた事があったけどすぐに回復されて無かった事になってしまったわ」
トロン「そりゃ卑怯や」
ロイ「私、それしか能が無いんですよ?、師匠からは剣は程々までしか到達できないと言われましたし・・・」
トロン「あんちゃん、あれだけ出来れば上等やで」
ロイ「剣だけならファリンが上ですよ」
トロン「またまたぁ、あんちゃんより上なら大陸一と言ってもええんちゃうん?」
ファリン「ロイには勝てないのよ・・・」
ロイ「そこまでこだわる事無いのに・・・」
ファリン「こだわるわよ、アヴァルだって回復使えるから対峙すると油断出来ないし」
トロン「ワイも回復使えたなぁ・・・、こればっかりは生まれた時の相性やからなぁ・・・」
ロイ「そうですねぇ、私はファリンみたいに速く鋭い剣は出来ませんし、格闘術も程々なので守る事しか出来ないんですよ」
ファリン「全部出来たら師匠超えれた?」
ロイ「超えれたでしょうね」
トロン「あんちゃんの師匠って?」
ロイ「ライ・ザッハです」
その名前を聞いたトロンがため息をつく。
トロン「はぁ・・・、何やあんちゃんライ・ザッハの弟子なんか・・・」
ファリン「孫でしょ?」
トロン「はぁぁぁ?、まごぉぉぉ?」
呆れた様子のトロン。
トロン「そりゃあんちゃんがバケモンじみてるのも理解出来るわ」
ファリン「ねえ、ライ・ザッハってそんなに有名な人なの?」
トロン「有名も何も【勇者と竜と大魔王】の主人公の勇者のモデルとなったってきいとるよ?」
ロイ「そんな話も聞きましたねぇ・・・、私からしたらただの偏屈じじぃですけど・・・」
トロン「ライ・ザッハ、バルテクス・アミス、エルベム・ローエンス、ブランドン・リースン」
ファリン「何?」
トロン「この大陸で名の通った人間や、特にライ・ザッハは抜きに出ていて最強やったと聞いとる」
ファリン「有名人なのね叔父様」
アヴァン「師匠の名前もあるわね」
トロン「ああ、そうか・・・、ライ・ザッハとエルベム・ローエンスの弟子で更にバルテクス・アミスの教えを貰った二人かぁ・・・、そら人外にもなるわな・・・」
ファリン「酷い・・・、人外だなんて酷い・・・」
トロン「ほんまのことやないかい、誰が1000メル離れた場所に石ころで人のあばら折ったり、完全に気配けしてた所にボタン一つでまたあばらいってんねんぞ?」
ファリン「それは貴方が悪い」
トロン「仕事やっちゅーねん」
ファリン「命令した上司を恨むべきね」
他愛もない会話やアヴァルの訓練も兼ねたトロンの指導を行いながら旅は順調に国境へと進んでいく。
やがて隣国ワードルイとの国境の町までやって来た。
トロン「ここから先がワードルイや、わいらはここでお別れや」
ファリン「なんだかんだいってお世話になったわ」
手を差し出しトロンに握手を求めるファリン。
差し出された手を握ると力を入れるトロン、しかしすぐさま入れ替えされる。
トロン「痛い痛い痛い・・・」
ファリン「ただの握手よ?痛くはないわよね?トロン」
トロン「痛いっちゅーねん」
ロイ「まあまあ、ファリン程々にね程々に」
ロイに言われ手を放すファリン、慌てて手を放すトロン。
ロイ「アヴァル、これを貴方に差し上げます」
ロイが腰袋からふと取り出す宝石箱。
その宝石箱をみてギョッとするトロン。
ロイ「こっちに来なさいアヴァル」
そういうとロイがアヴァルを呼び何やらコソコソと話す、一瞬箱から光が飛散したかと思ったら今度は光が収縮した。
アヴァルに箱を私腰袋から袋を取り出し渡すロイ。
ロイ「その箱は既にアヴァルにしか開かない様になっています、あなたがノースアミスで貴族との縁が出来るようならその中身を渡しなさい」
アヴァル「分かりましたロイお兄ちゃん」
ロイ「トロンにローエンス王国の辺境までお使いに行ってもらいますのでアヴァルもついて行きなさい」
トロン「ちょーと!聞いてへんでそのお使い」
ロイ「既にアミス国王には承諾を得てます、あとこれは私からのお駄賃です」
ロイが腰袋からふと平然と取り出した七色に光るポーション。
ファリンがそれをみて何か言おうとしたが口を閉じる。
トロン「なんや、このポーション、けったいな色してんなぁ・・・、やばいんか?」
ファリン「それ、扱いに気をつけなさい、いいわね?」
トロン「いや、ねえちゃんが言うってことは相当のなもんなんやろ?」
ファリン「国王に渡してもいいし、万が一の時に使ってもいいわ、ただ出所が直ぐにばれるから出すときは気を着けなさい」
トロン「またえらいもんくれたなぁ・・・」
ロイ「現状ローエンス王国に一本だけですよ?、それ」
トロン「待って・・・、まさかこれ戦争おきんるんとちゃうか?」
ファリン「最初はそれと私の交換だったわ」
ロイ「一財産ですね」
さわやかに笑うロイ、トロンの隣で箱の中身を確認した時に見てしまい今のやり取りで真っ青になるアヴァル。
トロン「なんやアヴァル、そない青い顔になって」
アヴァル「いや・・・、なんでもないです・・・」
ファリン「まあ、ここまでありがとうトロン、アヴァル」
トロン「ちゃんとお礼いえたんやな姫さん」
トロンの腹部に刺さるファリンの拳。
その場にうずくまるトロンにすかさず回復を掛けるアヴァル。
ロイ「アヴァル、ここからは貴方自身が色々と経験して、勉強して、悩んでそして生きて行かないといけません」
アヴァル「はい、ロイさん」
ファリン「私たちはまだ先が長い旅になるけど、旅から帰ってきたらまた稽古しましょう、それまで色んな事や人から勉強して吸収するのよ?」
アヴァル「うん、ファリン様」
ファリン「様なんて要らないわ、貴方は私の義弟よ?、いい?、もう出会った時の様な「死を待つ目」をしないのよ?、わかった?」
アヴァル「うん、助けてくれてありがとう・・・、また・・・」
アヴァルがファリンに抱き着いて泣いている。
ファリン「じゃあ、手紙頼んだわよトロン、ここまでありがとう、じゃあねアヴァル」
ファリンがアヴァルを離し馬車に乗り込む。
アヴァル「いってらっしゃい!ロイ兄ちゃん、ファリン姉ちゃん!」
こうしてロイ一行はノークアミス王国からワードルイ王国へと進み始めた。
ノークアミス王国編が終わりました。
次回からワードルイ王国編となります。
アヴァルとトロンの配達話はスピンオフ作品を執筆しておりますのでそちらも投稿予定です。




