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「エリア24にて攻撃対象確認!速やかに総員出撃準備せよ!」
けたたましい警報と共に館内に放送が流れた。
談笑に興じていた奴らも、俺も勢いよく部屋から出、上着を羽織る。
休憩室には飲みかけのコーヒーと、急いで消したタバコだけが残っている。
操縦者は各々の機体に乗り込み、ヘルメットを装着し、自身の形に固まった椅子へ腰を下ろした。
機体の最終点検が始まる。
機体の外では上の指揮で、エンジニア達があれやこれやと武器を入れ替え、弾を入れ替えしている。
準備を待つこちらには配慮もなく、「装甲が薄い」「装甲の重量がオーバーしている」「軽くしろ」等口々に喚きながら、迫りくる時間の音をまるで頭に入れていない。
中途半端に放り出されでもしたら、命が危ういのは出撃する我々だというのに。
「カウントダウン入ります。10…9…」
ドックにカウントダウンが響く、俺の機体は準備できたのだろうか。
「6…5…」
後ろの方で一度大きな音がした。衝撃が操縦室までくる。
そして後ろから「バンバンッ」と機体を叩く音がした。
「準備は出来た」との合図だと判断し、いつも通りエンジンをかけた。
リズムの良い振動と音が俺の身体に伝わり高揚感があがり始める。
他の奴ならハードなリズムの音楽でもかけるだろうが、俺はシンプルなエンジン音が好きだった。
「出撃準備完了」
「了解。出撃準備よし…」
「3…2…1…出撃!!」
合図と同時に機体を発進させる。少しの間揺れが続くが、慣れたものだった。
館内から出るとそこは空だ。
この空けた空間に出る瞬間こそ、最上の気分だ。
「出撃部隊に告ぐ、攻撃対象が現れたのはエリア24、中学校が中心部にある民間エリアだ。昨今建物の破壊が多すぎるとの苦情が来ている。また、被害者の数もそれに伴い増えている。今回若年層が集中している区域の為…特に学生を巻き込まないよう注意しろ。攻撃対象により校舎が破損しているとの連絡あり。近くに体育館があり、そこに避難が集中している可能性が高い。よって本隊は殲滅部隊と救助部隊の二手に分かれ、殲滅と救助を同時進行する。」
無線から隊長の声がした。
俺は殲滅か救助か…どちらにせよ失敗は許されないが…。続く指示を聞き逃さない様耳をすました。
「こちらNT5502、本機件の校舎の上空に到達。現場は報告の破損以外は見当たりません。が、攻撃対象の一体を校庭にて確認。」
先行する仲間からの連絡で、保護対象のいる箱と攻撃対象が近いことが分かる。
少し遅れている俺も、もう少しで目視できる距離まで来た。
「総員、作戦を告げる。保護対象のいる箱と攻撃対象が近く、速やかな行動が重視される。まず、NT5502とNT5503は校庭の攻撃対象を。その間にA隊が攻撃対象の反対側から救助を行う。二機は攻撃対象沈黙後救助班に合流しろ。その他のB隊は私と共に他の殲滅に向かう。以上。」
「Yes sir」
俺は攻撃対象の反対へ回った。




