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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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21/200

山田 優一(やまだ ゆういち)10

死のやや残酷な描写があります。

苦手な方はご注意ください。

渡部の身体が折れていく。

バキッと音がする度に、僕が支えている肩はずっしりと重く、のしかかってきた。

折れているのは下半身なのだろう、寝る態勢の僕を覗き込むような形で、覆いかぶさるように渡部の身体は近付いてくる。

何故こいつは逃げなかった?何故外に出た?意味不明だった。

自暴自棄になった末の行動だとは思う。

何かに絶望して上野を殺して…滝中を撃とうとして失敗して、一番近くの僕を選んだ。

手っ取り早く掴める位置に居た僕を。

自分と同じくらいひょろい僕を…。

そして、何かに骨を折られながら、今血を吐いて死んだのだ。

胸の上にボタボタ、びちゃびちゃ音を立てながら落ちている液体は…血だ。


渡部の肩を支えている手が、痺れてくるのを感じた。

肘も下がり始め、土に着いた…指の先の感覚がチリチリとなっている。

力を抜けば渡部の身体は一気に落ちて来るだろう。

だいぶ重く、渡部の身体の向こうから何かが押している。それは何人もの人間が押す力よりも強い気がした。

そして、じりじりと肘が土にこすられる。

どうにかこの場から逃げられないかと顔を横に背けたが、体育館が見えるだけで手立てはなかった。

体育館への距離も短いはずが、異様に離れているように思え、到底そこまでは這ってでも行けない。

ドアの付近に人影が見えた。

しかし、助けには来ないだろう。

もう、薄々分かり始めている。

僕はここで死ぬ。

前回や前々回、その前もずっと僕は死んでいたんだから。


ゆっくりと僕にかかってくる圧力。

指先に激痛が走った。爪が縦に割れ始め、血が流れ始めた。

僕からこの重みの原因はもう見えない。見えるものは渡部のシャツの柄と、その隙間から見える体育館の人影。

地面と渡部の胸に挟まれて、頭すらもう動かすことができない。せめてあの人影が凛ちゃんである事を祈りながら、ミシミシという音を聞いた。


バキッ


手首が痛い。

支えていられなくなった身体が、一気に僕の上半身を圧迫してくる。


ボキッ


鎖骨辺りが折れた様だ。

圧迫されて息を吸うことが出来なくなった反面、必死に息を吸おうとする僕の肺。

頭が痛い…。渡部の胸が押し付けられている…。


ごきゅっ


今度はどこだろう…もう全身が痛い。

空気が吸えない。喉が苦しい。頭に血が上るような…圧迫感…。

目が飛び出そうだ…。


ぱきょっ


渡部の身体の肉が圧迫で破裂した様で、じゅわりとぬるい液体が身体に広がるのが分かる。

僕もその内同じになるだろう…あぁ…苦しい。目が痛い…。


「り”んぢゃん…り”んぢゃん…」


僕は名前を呼んだ。

涙なのか血なのか分からないモノが目から流れている。視界は暗くなっていき、体育館すら見えない。

それでも、届かない事は分かり切っているが、口から漏れ出る呻きと血の間で、好きな子の名前を言い続けた。


「り”んぢゃん…り”んぢゃん…ず…ぎ…で…し…」


最期に言いたかった。

もう、頭の中は苦しいと痛いで満ちていたけど、せめて好きな子に最期に一言…。

意識も遠のく中、僕は好きな子の事を思い浮かべ名を呼んだ。


「り”んぢゃん…」


ぽくっ…


山田優一が力尽き中身をぶちまけた頃、体育館のドアの前の人影は消えていた。


男性 14歳 圧迫による頭蓋骨粉砕及び裂傷等 死亡

どこまでが残酷か人それぞれで分からないので、前書きは少しでも残酷だと感じられる文が含まれているものに書いています。

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