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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第四章 2つの人魚国
69/138

69 祭・前編

69 祭・前編


 ヌルはソナに子守貝を渡す。

 すると、ソナが輝き出した。

 光が収まったソナを見た4人は、驚いた。

 そのソナの変貌ぶりに。

 ソナの背中には、大きな白い翼がついていた。


ソナ「わ……あ……

   あ。あー……。

   わたし、喋れる。声が出る……。」


 ソナは、セイレーンだった。


 4人は絶句し、しばし立ち尽くした。

 我に返ったクルムが、皆を諭す。


クルム「戻るわよ。儀式の準備をするんでしょ?」


ヌル「そうだった! 戻ろう!」


  (ソナさんの親がセイレーンだった?

  いや、ぱとかさんの様子を鑑みると、

  それは無さそうだ。


  おそらく、先祖返りだ。

  それもおそらく、偶然じゃないだろうな。

  先祖にも予知のチカラがあって、

  何かしたんだろう。

  危機的な旱魃に備えた。


  ……そんな考察は、今はどうでもいい。

  ともかく、今は"ゆい"さんを守ること、

  レイドを捕らえるのが優先だ。)


 ヌルは転移の魔法陣を描く。

 5人は光となり消えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ぱとかの家の床に光の魔法陣が浮き上がり、

光の粒子が集まり、5人は帰還した。


ヌル「ぱとかさんがいないな。領主の屋敷かな?」


 5人が外に出ると、町の人達が騒いでいた。


クルム「やられたわね……。急ぐわよ。」


 5人は領主の家へと向かい、走り出す。

 領主の家の周りには人集りが出来ていた。


ヌル「通してください!道をあけてください!」


レスベラ「無理矢理行くぞ!!」


 レスベラが強引に人をかきわけ、道を作る。


ソナ「お母さん! ゆいちゃん!!」


 ソナを見た野次馬が驚き、ざわめく。


「ソナちゃんが話した!?」


「ソナちゃん、喋れたのか!?」


 屋敷の前には、

複数の衛兵らしき男性が血を流し倒れている。

 屋敷の扉は開けっ放しだ。

 5人は屋敷の中に入る。


 屋敷の中は空き巣が物色した後のように、

メチャクチャに荒らされていた。

 数人の使用人が倒れていた。

 その中には、ぱとかの姿も。


 ヌルは、ぱとかを抱き起こす。

 まだ息があるようだ。


ぱとか「ああ、旅人様……。

    ゆいが。ゆいが攫われました……。


    領主様の予知だと、私や使用人は殺される

    ハズでした。

    しかし、押し入った賊は私達を殺さず

    伝言を残しました。 


    『タカキタの者どもよ、

     人質を返して欲しくば、砂漠へ来い』

     と。」


ヌル「レイドは、俺たちの存在に気付いてる!

   おそらく罠だ。

   だけど、行くしかない。


   今すぐにでも行きたいけど……。

   応援を呼ぶのと、儀式の準備だけは

   しなきゃいけない!」


 ヌルは下書き保存していた文章を

レイカ、こまちゅ、ヨーリー、ほえほえ宛に

送った。

 また、各王の玉座前と種子保存庫前に、

ナミノエ領主の館直通の転移魔法陣を描き上げる。


 クルムは倒れている使用人たちに

回復魔法をかけ、儀式の準備を急がせる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーダークエルフ国サイドーー


 レイカは突如目の前に現れた、

ヌルからの通信と転移魔法陣を見て即断した。


レイカ「ヘンゼルとアカマルは、

    食べ物と飲み物を用意して。

    フレームアイとゴリアシは、

    空いてる人を総動員してちょ。


    たぶんコレ、お祭りの案内ってよりは、

    SOSだよん☆」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーー白エルフの森サイドーー


 こまちゅはヌルからの通信を見て、

深い溜め息をつく。


こまちゅ「……はぁ。めんどくさい。

     アローヒよ、

     暇な者を連れて行って参れ。」


アローヒ「何言ってんの! 一緒に行くよ!

     これ、届けるんでしょ?」


こまちゅ「あの阿呆ども。

     もう忘れておるのではあるまいな。

     仕方ない、届けてやるとするか。 


     ……はぁ。」


 こまちゅはアローヒが持つ荷物を見て、

大きな溜息をついた。


 休んでいたゼットが起き上がり、

こまちゅの車椅子を押す。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーー人魚国サイドーー


 ヨーリーは、

ヌルからの通信を見て困惑していた。


ヨーリー「私達と絶縁したナミノエの民……。

     まぁ昔の話だし、

     仲直りのチャンスかなぁ?


     困ってるっぽいし、仲直りまで

     いかなくても、

     貸しを作るのはアリよね。


     ともっちょ、アッチ、準備して。

     なるべく多くの人手と、

     救援物資の準備も。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーー氷の大陸スカディサイドーー


 ほえほえは

ヌルからの通信を見て、皆に声をかける。


ほえほえ「出来上がったアイスクリームを、

     全て持ってゆくぞ!

     今こそ、恩返しの時だ!


     そして、アイスクリームの

     販促をするのに絶好の好機だ!

     人魚国にも売り込むぞ!! 急げ!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーナミノエ 領主の屋敷前ーー


ヌル「よし、できる準備は終わった。

   行こう、みんな!

   ゆいさんと、タカキタの人達

   そして、うまーるの兄貴を取り戻すぞ!!」


レスベラ「ついにあの、ゲス野郎を

     ぶっ飛ばせるんだな! 

     うまーると、タカキタと、

     そしてアメノウズメの仇を取るぞ!!」


 ミヅハノメを握る、レスベラの手に力が入る。


クルム「このバカ!

    うまーるは元気でココにいるでしょうが。


    レイドを捕まえて半殺しにするわよ。

    タカキタの人達をどうしたのか、

    聞かなきゃね。


    ……手加減できるかしら。」


 クルムから、恐ろしいほどの殺気が放たれる。


うまーる「今日は絶対、逃がさないんだよ……。」


 うまーるは兄の事を思い出し

怒りに震えながらも、必死に帯電を抑える。

 4人は砂漠へと向かい走り出した。


 砂漠へ出てすぐ、遠くに黒い大きな柱のような、

そそり立つモノが見えた。

 竜巻のような、巨大な砂嵐だ。

 その砂嵐は動かず、その場に留まっている。


ヌル「アレか。強い魔力を感じるな。」


 4人が竜巻の近くまで行くと、

年老いた小柄な魔導師風の男と

複数の異形のキメラ達が待ち構えていた。

 ヌルたち4人は、

魔道士風の男に見覚えがあった。


 それは、タカキタでクルムを攫った、

魔王軍幹部で元奴隷商人"レイド"であった。


 レイドの前に並ぶキメラは6体。

 いずれも2本足で直立している。

 知能が高いヒト型だ。


 町を見張っていた、

両腕が翼でフクロウのような顔の者。


 3メートルはあろうかという、

巨体でラクダの顔をした者。


 砂色の体毛で、

子供くらいの大きさの猫人族に似た者。


 リザードマンのような全身黒い鱗に覆われた、

トカゲ顔の者。


 乳白色の鎧のような外骨格に、

ハサミのような腕と尾を持つサソリ風の者。


 首が長く、コブラのような頭をした者。



 ラクダのようなキメラが大声で話す。


ラクダ「ダーッハッハッ!飛んで火に入る…」


 突如、敵の足元に流砂が発生した。

 ラクダが流砂に飲み込まれる。


 鳥型が飛び上がり、他の4体は後方に跳ぶ。

 レイドは砂に持ち上げられ、

足場を作り難を逃れる。


 ラクダ型のキメラは、砂の中から現れた

クワガタの大顎のようなモノに捕らえられ、

断末魔の悲鳴をあげた。

 そのままラクダは砂の中に引き摺り込まれた。


 空に滞空していたフクロウ型キメラの背後の

砂が大きく盛り上がり、大蛇のような巨大生物が

フクロウに噛み付き、また砂に潜った。


 いずれの生物も、体長は10メートルを下らない。

 人間を丸呑みできるほどの巨大だ。


ヌル「巨大アリジゴク!?

   それと、さっきの大蛇みたいなのは、

   伝説のモンゴリアン・デスワームか!?」


クルム「虫っぽい方は、砂漠の王・シャン。

    ミミズっぽい方は、砂漠のヌシ・アペプ。

    砂漠の伝説の生物ね。

    どっちもキモくて萎えるわぁ。」


レスベラ「何からやればいいんだ?」


うまーる「あのネコのひと……。

     獣人なのかな……?」


レイド「招かれざる客の乱入か! 

    コイツらの血を持ち帰れば、

    魔王様も喜ぶだろうな。

    ゲヒヒヒヒヒ!


    さぁ、お前ら!

    このレジスタンス共をブチ殺せ!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーナミノエ領主の館前ーー


 ヌルが通信を送った同盟国の主要人物が

一堂に会する。


レイカ「楽しいお祭りになりそうだね☆」


ヨーリー「ヌルちゃんが紡いだ絆、

     既視感あるヒトばっかりね。」


こまちゅ「……はぁ。なんなのだ?

     このビッチの集いは。


     ビッチ祭かよ……。」


フレームアイ「ご無沙汰しております。」


ゴリアシ「ヨーリー様。」


 フレームアイとゴリアシが、

素早くヨーリーの前に跪く。


ヨーリー「あら、久しぶりね♡

     クラミジア君と、

     バイド君だったっけ?」


 フレゴリ兄弟は、得意の光速土下座をキメる。


フレゴリ「そんな、意地悪しないでくださいよぉ。

     俺たち、頑張ってますから!」


ヨーリー「話は聞いてるわ。

     口説きまくってるってね。

     去勢しといて良かったわぁ♡」


フレゴリ兄弟は、肩を落とし項垂れる。

 集まった客人たちの前に

ぱとかが、ソナを連れてやってきた。


 ソナの姿を見た、客人たちは驚く。


(セイレーン……!)


ぱとか「本日はお集まりいただき、

    ありがとうございます。

    これより雨乞いの儀について、

    説明いたします。


    私、今回の司会進行役を務めさせて

    いただきます、ぱとかと申します。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーー砂漠サイドーー



 レイドがコントローラーのようなモノを

操作すると、砂嵐が動いた。

 レイドの狙いはヌルだ。


レイド「ゲヒヒヒ! 最新最強の砂ゴーレムだ!

    今度こそ、すり潰してやる!

    死ねえ!!」


 ヌルが砂嵐の攻撃を避ける。

 砂嵐が直撃した岩が抉れていた。


ヌル(研磨をする機械、サンダーのような攻撃か!


  スライムのような流体の砂型ゴーレム。

  これは厄介だな。

  どんな攻撃が効くのか……。


  熱か? 酸か?

  コントローラーを破壊するしかないのか?

  もしくは核を壊す? 核はどこだ?


  王水を浴びせるにしても、

  動きを止めなきゃいけない。


  コイツに勝てるイメージが湧かないっ!!)



 レスベラは、サソリとトカゲの猛攻を受ける。

 サソリのハサミと尾による、

高速の連撃に加えて

死角からトカゲの鋭利な爪が襲う。

 ときおり、

アペプが捕食しようと砂から飛び出す。


レスベラ「デケエ奴の攻撃を避けながら、

     キメラの攻撃を捌く。

     なかなか忙しいな!」


 コブラ頭のキメラが、クルムに噛みつこうと

襲いかかるも、クルムは華麗に躱し

毒を含む風の斬撃を放つ。

 コブラ男も頭を左右に振る軽快な動きで

クルムの攻撃を躱す。

 コブラのキメラは毒液を吐き出し、

クルムに浴びせようとする。

 クルムは風を起こし、ソレを薙ぎ払う。


クルム(乱戦……。

   大きな技を使うと味方に当たる。面倒ね。)



 うまーるとスナネコのキメラが

高速のフェイントを掛け合う。


 本来のスピードなら、うまーるに分がある。

 しかし、うまーるは慣れない砂の足場に

四苦八苦しているのに対して、

スナネコは足の裏の毛が滑り止めになり、

急停止⇄急加速の動きで

うまーるを翻弄する。


 しかし、うまーるの防具の効果で

うまーるは動くと残像を見せる。

 スナネコは未知の動きをする敵に対して

警戒心が強く働き、攻めあぐねる。


 獲物が少ない砂漠での久々の好機ともあり、

砂漠の王・シャンは、隙あらば

獲物の足元に流砂をおこし、呑み込もうとする。


 しかし、うまーるとスナネコは素早く

殺気を読み取り、流砂の上を走り

シャンの咬撃を回避する。


 ヌルは砂ゴーレムの攻撃を躱しながら、

周りを見る。



ヌル「なんて攻撃だ。

   敵はゴーレムだけど、

   ロボット相手というより、

   災害を相手にしてるようなもんだな。


   一つの行動選択のミスが、

   死に繋がりかねない。


   そして動けなくなったら

   巨大生物の餌になる。

   とにかく早く俺が、

   この砂ゴーレムを攻略しないと。


   どうする? どうすればいい……?


   そうだ。ヒントは貰ってるんだ。

   雨だ。

   雨をどう使えばコイツに勝てる?


   オレンジ色の砂漠の砂は、

   たしか砂鉄の色だ。

   おそらく、コイツは磁気のチカラで

   動かされている。


   ……そうか! わかったぞ!

   たしかに、雨が降ればなんとかなる!!」


 ヌルは魔力を練り、

地属性魔法の要領で足元の砂を動かす。

 同時進行でヌルは万物創生魔法を使い

ケイ酸ナトリウムを作り出した。

 ヌルは白い砂を集め、ケイ酸ナトリウムと共に

少しづつ砂嵐形態のゴーレムに混ぜていった。

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