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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第四章 2つの人魚国
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67 占い師の予言と依頼。 高難度クエスト『十至珍宝・鳴鳥の子守貝』を探し出せ!

67 占い師の予言と依頼。

高難度クエスト『十至珍宝・鳴鳥の子守貝』を探し出せ!



 大人メイドがヌルたちに詰め寄り、

突然、土下座をする。


メイド「旅人様! 娘を助けて下さい!

    相応の謝礼はいたします。」


ヌル「娘さんですか? 

   先程、高貴な女性から叱られていた、

   メイドのお嬢さんですか?」


メイド「いいえ、違うのです。

    私の娘は、この町の領主である

    先程、メイドを叱りつけていた方の

    女でございます。」


ヌル(妾の子か……?)


メイド「ここだけの話なのですが、

    メイドのソナ……。

    いや、ソナ様は、

    本来ならこの町の領主様なのです。」


ヌル(ど、どういう事おおおおおーー!?)


  「落ち着いて下さい。

   順を追っての説明を、お願いします。」


 ぱとかは呼吸を整え、話し始めた。


メイド「これは、失礼しました。

    私の名は『ぱとか』と申します。

    この町の"仮"の領主"ゆい"に仕える

    メイドであり

    また、"ゆい"の母親でもあります。


    何から話してよいものか……。

    長くなりますが、話を聞いて下さい。


    こんな所で立ち話をして

    誰かに聞かれたらマズいので、

    私の家で話しましょう。

    ご案内します。」


 歩き出す5人。


 この様子を高い木の上から見ている者がいた。

 木の幹の模様にそっくりな体色をした

鳥型のキメラであった。


キメラ「手配書に似たニンゲン……。

    レイド様に報告しておくカ。」


 キメラは飛び立った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ヌル達は、ぱとかの後を付いて行く。



 やがて、小さな家の前で足を止める、ぱとか。

 5人は中へと入る。


 ぱとかが話し出す。


ぱとか「話は16年前に遡ります。


    私は、1人の女児を出産しました。

    父親は無職の遊び人で、

    私が娘を出産する頃にはもう、

    私の側にはおりませんでした。


    私の両親は、

    私が子供の頃には

    既に亡くなっておりました。


    私は彼との結婚のために家を売りました。

    家を売って得たお金は、

    彼が持ったまま消えてしまいました。


    私は住む場所もお金も無く、

    路上生活をしながら娘を出産しました。


    当時は子育てに関する不安しか

    ありませんでした。

    なんとか、娘だけでも生き延びて欲しい、

    そんな思いで頭が一杯でした。


    私は、偶然にも同じ日に生まれた

    前領主の娘であり、今は領主のメイド

    として働いてるソナ様と、

    自分の娘である、"ゆい"を

    入れ替える事を思い付き、

    領主の屋敷に侵入しました。


    しかし、私の悪事は寸前で

    前領主により阻止されてしまいました。


    しかし私は罪に問われませんでした。


    前領主様は高名な占い師であり、

    未来予知のチカラがありました。


    私の行動は予知されていたのです。

    そして、それを利用したのです。


    私と娘は、領主様によって

    メイドとして雇用されました。


    そして、お互いの娘を交換して、

    秘密の共有をする事になりました。


    前領主様は16年後に起こる、

    ソナ様の誘拐事件に備え、

    私の娘の"ゆい"をソナ様の身代わりに

    するよう、命じたのです。


    もちろん、ゆいが助かるのが前提です。


    先日、ゆいは16歳の誕生日を迎えました。

    近日中に、ゆいは人攫いに誘拐されます。

    それを救うのが旅人様と、旅人様によって

    覚醒したソナ様だと言うのです。


    前領主様は16年の間、ゆいに

    何不自由しない、贅沢な暮らしをさせる

    事と、私の無罪放免を約束し、

    その代わりソナ様の身の安全を

    対価として要求しました。


    前領主様の予知によると、

    16年後に現れる、ゆいを助けてくれる

    旅人様の概要は、小人族の男性、

    鬼人族の女性、エルフ族の女性、

    猫人族の小柄な女性の4人との事でした。


    そして今、この街は

    旱魃に喘いでおります。


    この街の危機を救うソナ様の

    覚醒に必要な、

    秘宝『鳴鳥の子守貝』の在り方を

    知っているのも、

    その旅人様だという話です。


    ソナ様の魔法で降らせる雨が、

    この街を救い、また人攫いとの戦い

    においても、重要な一手になる、

    と前領主様は仰いました。


    その秘宝は、悪しき者の手に渡らぬ様、

    この街から遠く離れた地に

    厳重に封印されているという話でした。」


ヌル(俺達が、秘宝の隠し場所を知ってる?


  鬼人?レスベラか?

  クルムはエルフに見えたのか?


  まぁ、あの2人は姉妹には見えないよな。

  特に双子には……。)


レスベラ「クルムは冷たく見えるけど、

     根はイイコなんだゾ。

     鬼人は酷えなぁ。」


クルム「鬼はアンタに決まってるでしょ!!

    このクソデカ女!!」


 レスベラに肩パンするクルム。


レスベラ「え? アタシがエルフだろ!?」


 クルムとレスベラが、

ギャーギャー喚きケンカする。


 ぱとかとヌルはかまわず話を続ける。

 うまーるは、レスベラとクルムを交互に見ながら

オロオロしている。


ぱとか「先ずは、その秘宝の封印を解く鍵を

    お渡しします。」



 ぱとかは自宅の床板を剥がし、

小さな小箱を取り出した。

 中には小さな手鏡が入っていた。


 ヌルは手鏡を受け取る。

 一見、普通の鏡のようだ。

 背面の青銅の板には翼の模様が彫られている。


ヌル「この模様……そして形、大きさ。

   コレとよく似たモノを、

   俺は見たことがある。」


 ヌルは鑑定魔法を使い、手鏡を鑑た。

 鑑定の結果、その手鏡は魔鏡であった。


ヌル「光の水晶を入手した洞窟にあった

   セイレーン像が持っていた、

   丸い石板……。」


ぱとか「セイレーン像!! 

    やはり、旅人様は知っているのですね、

    秘宝の在りかを。」


ヌル「ぱとかさん、セイレーンに心当たりが?」


ぱとか「この町は、セイレーンと人魚の

    ご先祖様が作った街なのです。


    今となっては、セイレーンの血は薄れ、

    2番目の人魚の里となっております。

    秘宝の子守貝は、

    セイレーン族の秘宝だったそうです。」


 ヌルは地図を開く。


ヌル「この町は、

   地図でいうとどの辺りになりますか?」


ぱとか「この辺りです。

    この町は砂漠のオアシス、

    『ナミノエ』です。」


 ぱとかが指差した島は、目的地であった

南の大陸ではなく、

人魚国から見て西の島であった。


ヌル「道を間違ってたみたいね。」


クルム「勇気の柱を見るため、

    寄り道したからね。」


レスベラ「まぁ、いいじゃん。

     珍宝の貝の話聞けたし。

     サクッと取りに行こうぜ。

     ヌル、その貝はドコにあるんだ?」


ヌル「ここからまっすぐ、北の方だな。

   ただ、かなり距離がある。


   フォトンアラウンド大陸の西の果て、

   竜の墓場にある洞窟の中だ。」


クルム「片道だけで7日はかかりそうね……。」


ヌル「転送魔法を開発しよう。

   使ってる者がいるから、

   原理さえわかれば、使用可能なハズだ。

   3人は引き続き、

   ぱとかさんの話を聞いててくれ。」


 ヌルは検索魔法を使い、

転送魔法の習得に向けて動き始めた。


 4人は話を続けた。

 その内容は、

ソナは生まれてすぐ、

父親により能力と声を封じられたという事。

 その、呪いにも似た封印を解くには、

鳴鳥の子守貝が必要であること。


 ソナの真の力で雨を降らす魔法が使えること。

 今この町は、深刻な水不足であること。

 ソナの一族のチカラが、

悪しき者に狙われていること。

 ゆいを囮にし、ソナを覚醒させ、

ゆいを救い出して欲しいこと。

 また、人攫いと戦うには

雨が必要であるコトなど、を確認した。


 達成した暁の、このクエストの報酬は

前領主が用意してくれていた遺産から

支払われること。


そして報酬以外にも、

ヌル達にはメリットがあった。


 これは、レイドを捕まえる絶好の機会で

あること。

 うまーるの兄に関する情報を手に入れる

最高の機会であることであった。


 敵の拠点になりそうな場所を地図から探す4人。

 この砂漠の島で、拠点になりそうな場所が

1つだけあった。

 それは、伝説の大盗賊が使っていたという

アジトで、今は廃墟となりダンジョン化している

という場所だ。


クルム「大盗賊の迷宮……。もしかしたら。」


レスベラ「タカキタから盗まれた

     勇者ザトマルの愛刀

     【七星流転】だな。」


クルム「この寄り道は、

    時間ロス以上の収穫がありそうね。」


 ヌルは転移魔法と、レイドを逃さないための

転移阻害魔法についても開発を進めた。


ヌル(転移魔法……原理は3Dプリンターに近いな。

  魔法陣による分解からのデータ送信、

  からの魔法陣による再構築。


  そして、

  一度行ったことのある場所に限る、か。

  いけそうだな。)


  「よし、行ってみようか。」


ぱとか「お待ちください、

    ソナ様も同行させて欲しいのです。」


ヌル「危険な旅ですよ?」


ぱとか「セイレーン像の声を聴けるのは、

    ソナ様の1族の特殊能力らしいのです。


    声を聴けなければ、

    秘宝を探し出すのは不可能

    らしいのです。」


ヌル「なるほど……。」


ぱとか「ソナ様を連れて参ります。

    しばしお待ちください。」


 ぱとかとソナを待つ間、4人は話あった。


ヌル「今回の件だけど、雨を降らせる規模の

   魔法はソナ様1人じゃ厳しいと思うんだ。

   俺たちはきっと、

   レイドと激しく戦う事になるだろうし。


   応援を呼ぼうと思う。」


クルム「なるほどね。面白いじゃない。」


レスベラ「どういうこと?」


ヌル「協力型の高位魔法は、魔力が高い人が

   多いほど、成功率が上がるのさ。

   エルフ、人魚、

   スカディに助けを求めてみる。」


レスベラ「来るかなぁ? 遠すぎだろ?」


ヌル「転移魔法を俺が設置できれば、

   距離なんて関係ないさ。


   まずは手紙だな。

   手紙というより、通信魔法か。


   下書きしとこ。」


 ヌルは空間に光の文字を書く。


《親愛なる同盟国の皆様へ。

 この度、人魚の里ナミノエにて

 雨乞い祭りを開催する事となりました。


 つきまして、皆様にも奮ってご参加して頂きたく

 手紙をしたためた次第です。


 1つお願いがあります。

 おいしいものを持参していただけると

 助かります。(任意)


 転移魔法の陣を設置しますので、

 どうぞ御利用ください。     敬具   

                 ヌルより》



ヌル「こんなんでいいかな?」


 ぱとかとソナが帰ってきた。

ぱとかが、ソナに事情を話す。


ぱとかは、自責の念に苦しんでいるのか、苦悶の表情でソナに話かける。


ぱとか「ソナ……。いえ、ソナ様。

    実は私は、

    あなたの本当の母親ではありません。」


 ソナが驚く表情をする。


ぱとか「ソナ様の本当の親は、

    今は亡き先代の領主

    "ひす"様なのです。


    今は時間がありません。

    詳しい話は、全て終わったら話すと

    誓います。

    旅人様と一緒に伝説の秘宝を

    探し出してください。


    ソナ様は、今回の村の危機を救うための

    鍵となります。

    16年前から、ひす様と私で計画を練り、

    準備してきたのです。


    そして、本当に身勝手なお願いで

    恐縮なのですが、ゆいを、

    あの身勝手なバカ娘の、

    ゆいを助けてください!

    ……お願いします……。」


 ぱとかは泣き崩れ、ソナに対して土下座をする。


 ソナは真剣な表情をし、力強く頷いた。

 まかせろ!と言わんばかりだ。


ヌル「では、行ってきます。

   転移魔法、行きます!」


 ヌルが念じると、

床に光の魔法陣が浮かび上がった。


ヌル「転移魔法『ファトラ!』」


 ヌル、うまーる、レスベラ、クルム、

ソナが輝き出し、光の粒子となって消えた。


 ぱとかは、驚いて腰を抜かした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ナミノエから北に約3000km離れた、

フォトンアラウンド大陸、ワイハアンズ岩石地帯

光の水晶の洞窟最新部、セイレーン像の前



 地面に光の魔法陣が描かれ、光の粒子が現れ、

粒子が集まり、ヒトの姿になった。


 5人は転移に成功した。


レスベラ「暗くて何も見えないゾ。」


 ヌルは光魔法・トワイライトを使った。

 辺りを見たヌルは、

駆け出しの頃の思い出が蘇り、涙する。


ヌル「オニオが食われそうになって、

   ナーガはヘンナモノばっか盗むし。

   ナナの光魔法が……。」


クルム「静かに!

    ……なるほどね。」


 クルムには何か聴こえるようだ。

 ぱとかが言っていた、

セイレーン像の声なのだろうか。

 ソナも目を閉じ、耳を傾けている。


 クルムが像の台座に登り、像の目を布で擦った。

 ソナが像の台座に手を当て、魔力を込めた。


 突然、像の右目からレーザーが放たれた。

 レーザーは、約45度の角度で地面に照射された。


クルム「なるほど。風と水の音が反響して、

    声になってる。

    この像が音叉の役割を果たしてるのね。

    ヌル、さっきの手鏡を出しなさい。」


 ソナが頷く。

 ソナにもセイレーン像の声が聴こえたようだ。


 クルムの話を聞いても、

ヌル、レスベラ、うまーるには理解できない。

 聴力が優れている、

うまーるにも聴こえないようだ。


 絶対音感のような能力が無いと

聴こえない音なのであろう。

 3人は、ぽかーん……としていた。


ヌルはハッと我に返り、クルムに手鏡を渡した。


 クルムは手鏡を使い、

レーザーの光を反射させた。

 岩壁に、手鏡と同じ翼の模様が

浮かび上がる光が当たる。


ヌル「このための魔鏡か!!」


 クルムは角度を調整し、

セイレーン像が掲げる石板の模様と、

魔鏡が反射する光の模様が重なるように

光を当てる。


 石板の模様と光の模様が重なり一致したその時、

像の左目からレーザーが放たれた。

 その光の行き先は、

地底湖から突き出た岩に当たっている。


クルム「秘宝は、あの場所ね。」


 その時、地底湖の水面が盛り上がった。

地底湖の水面を突き破り、巨大な生物が現れたが、

ハッキリ視認できない。

 剥き出しの牛の内臓のような、

グロテスクな巨大生物だ。


 ヌルは、コレに見覚えがあった。


ヌル「外殻が透明な巨大ザリガニだ!!

   みんな気をつけろ!!」


「ギィイイイイイイイイイイイイ!!」


 ザリガニが突如、大音量で鳴いた。


 よく見ると、ザリガニの体に

タコの足のような触手が絡まっている。

 ザリガニは水の中に引きずり込まれていった。


 その様子を見ていたヌルに戦慄が走る。


ヌル「あの強かったザリガニが、

   一方的に食われる存在。


   アレがこの洞窟の食物連鎖の頂点か。

   そしておそらく、秘宝を守る番人。

   泳いで秘宝を入手しようとする者は

   捕食される。

   正統な後継者である、

   セイレーンのように飛べないと、

   秘宝を入手できないようにって、コトね。


   しかし、淡水の頭足類?

   まさか、存在したのか!?


   ※オクラホマ・オクトパス!!」



※伝説のUMA

 淡水にはイカやタコなどの頭足類は存在しないが

目撃例がある。

 いずれの目撃例も、

巨大なタコのような姿であったという。

 穏やかな湖で多数の行方不明者が出ており、

その巨大タコが引きずり込み、

捕食していると言われている。



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