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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第一章 戦う理由
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28 ミスリル銀

28 ミスリル銀


ギリー「やはり、ここにあったか。」


 巣には3匹の、ミスリルドラゴンのヒナがいた。

 ヒナの脇には、

銀色に輝く鉱石がたくさん転がっていた。


ヒナたち「ピィー!

     ピィー!

     ピィー!」


 ヒナ達は人間達を警戒しているのか、

それともエサを欲しているのか、大騒ぎだ。


ギリー(通常、1度に1個の卵しか産まない

   ミスリルドラゴンが3個の卵を産んだ!?


   ミスリルドラゴンの多頭出産は、凶兆だ。

   世界が3頭のミスリルドラゴンを

   必要としている。

   この事が示すのは…)


ギリー「ミスリルドラゴンは歯を持たない

    代わりに、石を飲み込み胃の中に蓄える。

    この石を使い、

    食べたものをすり潰し消化を助けている。


    そして、

    ミスリル銀が含まれている鉱石を好む。

    ミスリルが身を守る効果を、

    本能で知っているのだろうな。


    石は胃の中で丸くなる。

    とれた石の粉を吸収し、

    羽毛に蓄えるのだ。


    話が逸れたな。

    ともかく、

    これで目的のものは手に入れた。


    王都へ戻ろう。」


ナナ「待ってください!!

   このヒナたちはどうなるのですか?」


ギリー「親ドラゴンがいなくなった以上、

    気の毒だが生きてはいけないだろうな。

    仕方のない事だ。」


ナナ「そんな…。

   ヌルなら、なんとかできるかもしれません!

   すこし話をさせてください!!」


ギリー「はぁ…。」


 ギリーは頭を抱えている。


 ナナとナーガは持っていた食料を少し、

ヒナたちに食べさせてあげたあと、

崖を降りヌル達と合流した。



 ナナは、断崖を登ったところにドラゴンの巣が

あったこと、巣にはヒナがいたこと、

親ドラゴンを解放しないと

ヒナが生きていけない事を話した。


ヌル(まじか!

  缶詰からドラゴンを解放しなきゃいけない

  流れかよ!)


  「わかった。

   届くかどうかわからんけど、

   話してみるよ。」


 ヌルはドラゴンが入った缶を受け取り、

缶に向かって話しかけた。


ヌル「頼む、聞いてくれ。


   俺たちは石を掘りに来ただけだ。

   お前達の命を取りたいとは思わない。

   お前の事を解放したい。

   お前の子供達と共に生きてくれ。


   お願いだ!

   俺たちのことを襲わないでほしい。」


 ヌルたちは岩陰に隠れた。

 マーボーが缶の蓋を開けると同時に

遠くに缶を投げた。


オニオ「ひいいいい…」


ナーガ「頼むぞ!俺の晩飯、

    お前のヒナにやったんだからな!」


 缶から巨大なドラゴンが出た。

 まるで、ランプから出てくる魔人のようだ。


ヌル(体積の問題とかどうなってるんだろ。これ?)


 ドラゴンはこちらの気配に気付いていた

ようだが、飛び立ち巣に舞い降りた。


 ヒナたちは親鳥に甘えているようだ。


 ドラゴンから戦意は感じられない。

 痛みや疲労なのか、

はたまた尾羽を失い飛行能力が落ちたのかは

定かではない。


 ヌル達はドラゴンの親子を見届けると、

鉱山を後にした。


 応急処置をしただけのヌルは、

歩くのがやっとだった。

 ナーガとオニオが肩を貸してくれた。


 ナーガは、

いつのまにかドラゴンの尾を持っていた。


ヌル(ナーガ…いつの間に回収したんだよ。

  たしかにコレ高く売れそうだもんな。

  ケツァールの尾羽も

  王族の装飾品に使われるらしいし。


  こいつ、親が金持ちのくせに、がめついよな。

  セコイから金持ちになる、

  みたいな理論あった気がするけど、それか?)


 それは、尾というよりは長い尾羽であった。

 断面から血が少し出ていた。

 まだ伸びる羽だったから血管が

残っていたのかもしれない。

 しかしこの斬り方なら、

おそらくまた生えてくるであろう。


 ヌルは羽を掴んでみた。


ヌル(軽っ!!

  これ、切る必要なかったかもな。)


 鉱山を降りたところで少し休憩をした。








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