表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第一章 戦う理由
29/138

29 王都滅亡

29 王都滅亡


 鉱山を降りたところで休憩をした。


 なんか静かだ。

 そういえば、ドラゴン戦開始あたりから

【ずんだ】の姿が無い。

 全滅を予想して逃げたのだろう。


 ナナは酷く落ち込んでいた。


 ドラゴンとの戦いでヒヨッコ4人のレベルが

大きく上がったようだ。


 成長限界に近いと思われ、

レベルが上がりにくくなっているマーボーとギリーでさえ、レベルが上がったようだ。


 ヒヨッコ4人たちはギリーに

簡易鑑定をしてもらった。


 ヌルに関しては、スキルを貰える条件の緩和と

意思疎通が少し向上したくらいのものだったが、

他3人は目を見張る成長だった。


 ナナは重さ上限500kg、新たに【浄化】

というスキルを習得したようだ。

 浄化は汚染されたものを

通常に戻せるようなものらしい。

 腐った肉が新鮮になったりするのだろうか。


 オニオは【ロールバック】

というスキルの追加だ。

 これは、自分だけが今の記憶を持ったまま、

過去に戻れるというスキルのようだ。

 必要消費魔力が大きく、

かなり魔力を貯めないと使えない上に、

一方通行のため過去に行くと

2度と戻ってこれないらしい。


 時を止める能力の方は3秒程に伸びていたが、

まだ一度の使用で1日分の魔力を消費してしまう

のは変わらないようだ。


 ナーガは【レアドロップ確率上昇】

というものだ。

 ナーガはドラゴン戦で既に、

雌であったドラゴンからレアドロップの

逆鱗を盗み取っていた。

 これはドラゴン戦以前に

スキル自体がレベルアップしていたことを

示している。


 そのスキルは、

【低確率で異性が身につけているものを盗める。

盗みに成功した場合、レアドロップ確定】

というものであった。


 ナーガは性別関係なく盗めるようになったのだ。

 相手が女性だと高確率で失敗し、

そして相手が男性の場合、

高確率でレアドロップするようだ。




 重症のヌルのために、

簡易ベットのような物を作った。

 それに車輪をつけて馬に引かせることにした。

 もちろん、サスペンションのようなものは無く、

ガタガタゴトゴトと、

もの凄い振動で乗り心地は最悪だ。


 一行は王都を目指して帰路につく。

 ケガ人がいたため、帰りは倍の時間がかかった。


 道中、ゴブリンなどに襲われることもあった。

 ヒヨッコ達は皆、見違えるほど成長していた。


 ナナ、ナーガ、オニオの3人だけで

難なく撃退した。


 王都ケンチョーに戻った一行。

ナナとギリーとマーボーの3人は、

光の水晶とミスリル鉱石を、

王都一の魔法具職人【ロカフィル】へと届けた。

 その後、王と防衛大臣に報告を済ませ解散した。


 オニオとナーガは、

ヌルを修道院へ連れて行った。

 ヌルはしばらく入院することに。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ドラゴンとの戦いから1ヶ月が経った。


 ヒヨッコ達は訓練に励んだ。

 魔王との決戦は近い。


 ほぼ毎日、訓練の後にナナは

ヌルの見舞いに行っていた。

 しかし最近は、

体調不良で訓練を休んでいたようだった。


 マーボーは突如、

魔王軍が辺境の村近くに現れたために、

騎士団を率いて遠征に行った。


 そんなある日、王から秘密の招集がかかる。

 メンバーは、

【王(オレダ・ヨオレ16世)、防衛大臣(タスク)

魔法具職人(ロカフィル)、ギリー、ヌル、ナナ、

ナーガ、オニオ】の8人である。


 城の地下にある、

隠し避難経路でその極秘会議は行われた。


国王「では防衛大臣、説明を頼む。」


大臣「はい。

   ロカフィルよ、例のものを。」


 魔法具職人ロカフィルは、ドワーフの女性だ。

女性の職人は、かなり珍しいらしい。

しかし、その腕は世界トップクラス

というのだから、驚きである。

 ロカフィルは、スーツケースのような鞄から

何かを取り出した。


 それは布に包まれていた。

 包んでいる布を開き、

小さな丸いプレートを取り出した。


 それは鏡のようだった。

 ロカフィルは、防衛大臣に鏡を渡す。


ロカフィル「お納めください。」


大臣「これは、魔法を反射する鏡の魔法具である。

   この魔法具の鏡を盾に取り付けることで、

   魔法を反射する魔法の盾ができる。


   その盾をヌルが持つ事で、

   魔王軍の強力な魔法攻撃を、

   相手に跳ね返す事ができるようになる。


   これから、王都の魔道士を相手に

   コレを使って訓練をしてほしい。

   訓練が終わり次第、

   魔王軍との決戦となる。」



ナナ 「少し鏡を見たいです!いいですか?」


タスク「落としたりしないよう、

    気をつけるのだぞ。」


 ナナは防衛大臣から鏡を手渡された。


ナナ「きれい…。」


 それは、輝く銀色のミスリルのプレートに、

薄く加工され磨き上げられた光の水晶が

張り合わせられていた。


 美しい。

 性能だけでなく、

その外観も一流の工芸品である。

 モース硬度が極めて高い、

光の水晶の加工に相当な時間がかかったようだ。


 ガメついナーガも覗き見る。


ナーガ「これ売ったら、

    いくらになるんだろうな?」




  ドスッ!




 突如、

ギリーが後ろからナナの背中をナイフで刺した。


ナナ「えっ!??」


 膝をつくナナ。


 ナナから鏡を奪い手に取るギリー。


ギリー「これが人間の切り札か。」


国王「貴様!何者だ!!

   ギリーではないな?

   曲者め!!」


 王は剣を抜き構える。


大臣「王!お逃げください!!」


 倒れたナナを、ヌルが抱き起こす。


ヌル「ナナ!?ナナ!!

   待ってろ!今、薬を!!」


 ヌルはポーチに手を入れ、薬を探す。


ナーガ「何やってるんだ、あんた!?」


 ナーガが、ギリーを怒鳴りつける。


 壁や床、空中などに、

多数の魔法陣が展開された。


 魔法陣から、

大勢の武装された戦士たちが出てきた。

 その多くが、屈強な竜人族や鬼人族である。


大臣「魔王軍!?」


国王「武器を構えよ!!

   戦え!!!

   何よりも優先して自身の命を守れ!!」


 ヌルは必死に、瀕死のナナに、

エルおじ回復薬を飲ませようとしている。


ヌル「ナナ!

   死ぬな!

   頼む!間に合え!!」


 その光景を見たギリーが、突如激しく嘔吐した。


 ギリーは何かを思い出して、

それを今のヌルと重ねているようだ。

 膝をつき、床に手をつき、

激しく嘔吐するギリー。


ギリー「ゲボッ!オロロロロ!!

    ゲホッ!ゴホッ!」


 必死に救助活動をしていたヌルに、

魔王軍の兵士が迫る。

 すると、ヌルが突如、消えた。


 ヌルは暗闇に包まれていた。


ヌル「なんだ!?敵の攻撃か!?」


 ナナの声が聞こえた。


ナナ「ヌル…ヌルの、

   赤ちゃん産んであげられなくて…ごめんね。

   今度は私がヌルを助ける番だよ。

   ヌル、死なないでね。」


挿絵(By みてみん)


ヌル「は!?ナナ!?何言ってんだよ!?

   出せ!ここから出せよ!!」


 ヌルはナナのポーチの中の缶の中だった。


ナナ「みんなが、私のことを勇者というけど、

   なんか実感無いんだ。

   だって、わたしにとって、

   勇者はヌルしかいないんだもん。」


ヌル「何言ってるんだよ!早く出せって!!」


ナナ(女神様お願いです!ヌルを守ってください!)


 ナナは血まみれになった首飾りを、

ポーチに入れた。

 ポーチを置き、立ち上がるナナ。


 ギリーは起き上がり叫んだ。


ギリー「王族と貴族は全て殺せ!!

    歯向かう者も全て殺せ!!

    投降する者は殺さず捕らえよ!」


 ギリーが叫んだ直後、

ギリーの手の中の鏡が消えた。


 鏡を手に、走るナーガ。


 ギリーが逆上する。


 突如倒れるギリー。

 両脚と両肩に傷があり、血が流れる。


 血の付いた短剣を握りしめ、震えるオニオ。


ギリー「ムシケラが!!ふざけたマネを!!

    雷魔法【球雷】!!」


 ギリーの超速の詠唱のあと、

光の球がオニオに向けて放たれた。

 光の球はオニオに当たると弾け、

強力な電撃となり、オニオを焦がした。


 黒焦げで倒れるオニオ。

 オニオはピクリとも動かない。


ギリーは掌に魔力を集中させた。


ギリー「炎魔法【煉獄火球】」


 魔王軍の包囲を巧みにすり抜けながら、走り逃げるナーガに小さな炎の球が迫る。


 ナーガは振り向き様に鏡を突き出した。


ナーガ「ひいいっ!うわあああっ!」


 炎の球がギリーに向かい加速する。


ギリー「しまっ!!」


 ドオオオオオン!!


 小さな火の玉だったが、

それはギリーに当たると大爆発を起こした。


ギリー「その細長いガキを絶対に捕まえろ!!」


 火傷を負い、

ローブが焦げたギリーの前にナナが立ち塞がる。


ナナ「ギリー様。

   何か事情があるとお見受けします。

   しかしこれは見過ごせません。」


 血を流し倒れている防衛大臣。

 黒焦げで動けないオニオ。

 王と職人は勇敢に戦うも、

大勢の魔王軍に取り囲まれ、脱出は不可能。

 ナーガは敵に捕まるも、格闘術で暴れている。

 しかし周りを既に魔王軍に包囲されている。


 ナナが、何かの魔法を使おうとするも、

ギリーの無詠唱の突風のような魔法で

吹き飛ばされた。


ナナ「あうっ!!」


 ナナの背中からの出血量は深刻な状態だ。

 ナナは壁に叩きつけられた衝撃もあり、

起き上がれない。


ギリー「お前だけは、

    万が一でも蘇生

    されたりするわけにはいかない。

    すまないが消えてもらう。」


 ギリーが高く上げた掌の上には

巨大な火の鳥の造形が。


ギリー「炎極大魔法【鳳凰】」


ナナ(村の皆のおかげで楽しかった。

  ヌルのおかげで、私幸せだったよ。

  ありがとう。)


 火の鳥がナナを包んだ。


 炭のようになったナナが崩れおち、

灰となって消えた。


 王と職人は血を流し倒れていた。


 ナーガは激しく殴打されている。

 顔を腫らし鼻血が出ている。


ナーガ「ナナちゃん!ナナちゃん!!

    ああああああああああああ!!」


 叫ぶナーガに、無慈悲な一撃が加えられる。


  ドスッ!!


 動かなくなるナーガ。


ギリー「はぁ、はぁ。

    手こずらせやがってゴミどもが。

    これから城下町含めて

    この王都を制圧するぞ!


    騎士団の精鋭はいない!

    1日で片をつけろ!!」


 王都の外から城下町へ、魔王軍が雪崩れ込んだ。


 この日、王都ケンチョーは滅亡した。


 一方、缶の中のヌルに絶望の声が聴こえる。


スキル【巻き戻し】を手に入れました。

スキル【ヘルメスの出来心】を手に入れました。

スキル【鍛治[特級]】を手に入れました。

スキル【英霊召喚】を手に入れました。

スキル【戦略[特級]】を手に入れました。





スキル【封印】を手に入れました。





 ヌルは悟った。

 ギリーによって、皆が殺されてしまったことを。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ