春。
紫子さんは今日もボーッとしている。
何故ボーッとしてるかって?
そりゃ簡単だよ。
『やる気がないから』。
紫子さんは、年がら年中やる気がない。
何故かって?
だって、面白くないから。
面白そうなことを探そうとは思うんだけど、
そんなもの、すぐに見付かりっこない。
そうこうしているうちに、周りから野次が飛ぶ。
「ちょ、邪魔! 何もする気がないのなら、外に行っててもらえる? 掃除出来ないじゃない!」
「……」
シェアハウスも楽じゃない。
一緒に住んでる瑠奈さんに、追い出されてしまった。
紫子さんは椅子にかけてあった薄紫色のショールを肩に引っ掛けて、外へと出る。
待ってました! とばかりに背後でゴーっと掃除機が唸った。
外はピカピカの春日和。
こんな日に、外へ出ないのは勿体ない。
……外に出てから紫子さんはそう思う。
家にいたらいたで、家が一番……とか思うんだけどね。
そこはまぁ、ポジティブってことで。
そんなこんなで、紫子さんは外へ出た。
春の少し甘ったるい、あたたかな花の匂い。
どうしてこんなに、周りが白く光るのかしら?
紫子さんは不思議になる。
太陽が高くなるからかしらって、上を見上げると、
ヒラヒラと何かが降ってくる。
「あ」
小さく呟いて、紫子さんはソレを捕まえ……られなかった。
白いソレはフワフワしていて、なかなか捕まらない。
「んー……!」
紫子さんは、ヤケになってソレを追いかける。
ソレはフワフワ、ふわふわ……飛んでった。
紫子さんはそこで、行方不明になった。
全く困った紫子さんです。
× × × つづく× × ×
『小春日和』が冬の前の、
春のような気候の事だとの指定を受けまして、
『春日和』に変換してます(*^^*)
いや〜まさかの、秋のこととかね?
知りませんでした。