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夢幻の雪原 と 幼き冬の女王 【改訂版 携帯版】  作者: 天ノ風カイト


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其の13 終わらない冬の始まり


 其の13 終わらない冬の始まり




 それは 島に季節の女王達が降り立ってから 250年が経とうとした冬の終わりの・・・春の始まりの頃のお話です


(こよみ)はもう4月に変わっていました

いつもの年なら もう雪が解けだして 小川のせせらぎが大きくなって 川辺りには下草が見え始めるころでした

しかし この日も四季の島には 強い北風が吹き 白い粉雪が舞い散っていました

島の人々は 先月までは少し春が遅れそうだと思っていましたが そんなには不安に思ってはいませんでした

ですから その頃はまだ余裕があったので


「どうやら 今年は麦の種まきが遅れそうだ・・・」


「薪もほとんど使ってしまいそうだから 雪のある内に()ソリを使って 山から沢山の木を運び出して乾燥させなければならないな」


「これは 春も忙しくなるが 秋にも薪割りで大忙しだろうな・・・」

などと 会話を交わしていたのでした



しかし もう4月なのです

それなのに 暖かい日がとても少なく 晴れることすら(まれ)で 毎日毎日 粉雪ばかり降るのでした・・・


「寒いな・・・まだ粉雪が降るなんて・・・」


「これは 2月の天気だ もう雨が振っても・・・せめて みぞれが降ってもいい頃なのに」


「雪に湿り気が無い・・・これでは雪が解けるのはいつになるか・・・・」


島の人々は いよいよ不安になってきました・・・

そしてついに 冬が終わらないまま 5月になったのでした・・・


5月はもっとひどくなって 連日の吹雪になりました・・・


冬を越すために備えていた 食べ物や薪も残り少なくなったので

島の人々は 少しでも長く食いつなげるために 食べる量を減らしました 


待てども待てども 連日の吹雪で 山に入って薪にする木を切り出すのもできません


連日の吹雪で 雪原や山に行って ウサギや鹿を捕ることもこともできそうにありません


連日の吹雪で 海が荒れているので 島の外からは誰も人が来ませんし 食べ物を運んでもらうこともできません

それどころか 島の外からスキーをしに来た人達が帰れなくなっているのでした 


それに・・・


本当なら もう 山菜がとれるころです


本当なら もう 海も穏やかになって(なぎ)が続き 魚を捕りに海に出られるころです


そうです・・・


本当なら もう 春なのです・・・


 食べ物が少ないと 子ども達は直ぐにお腹が()くので

「お腹が すいたよ!もっと食べたいよぉ!」と親に言うのでした


親達は 自分の食べ物を減らして 子ども達に少しでも多く食べさせようとしました

そうして親は 家の仕事もできなくなるほどにお腹が空いていましたが ずっと我慢していました

それは 自分がお腹が空いている苦しさよりも 子供がお腹を空かしているのを見ることが (つら)かったからでした


 それでも 春は来ません・・・

最初のころは「お腹がすいた」と言っていた子ども達でしたが

いよいよ 本当に家に食べ物が少なくなってしまったころになると 何も言わなくなってしまいました

それは 「お腹がすいた」と言ってしまうと お父さんや お母さんは 何も食べなくなってしまうと思ったからです

それに お爺さんや お婆さんも一緒に暮らしている家では もっと大変なのでした・・・ 

島の人達は 段々と痩せていき 体はますます冷えていったのでした

家が雪に埋まらないようにするだけでも やっとのことです・・・


薪も もう本当に残り少なくなっていました

家の外は 雪と氷の世界です

薪が無くなれば 家の中も同じようになってしまうのです

薪が無くなれば きっと どこの家族も数日で凍え死んでしまうでしょう・・・


 もう この四季の島の人達には () が 迫っていたのでした・・・       




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