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貧乏探偵 ロボを駆る─テン・コマンド・ノックス!─   作者: 我武者羅
7.探偵自身が犯人であってはならない。ただし犯人に変装するなどの場合は除く
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1.潜むドッペルゲンガー

 マンチェスターは穏やかな朝を迎えていた。

 そこかしこで人々が町に流れて、少しずつ賑やかになっていく。


 騒がしくなるまでのわずかな間隙のなか、ロックとユリエルもまた、事務所にて食卓を囲んでいた。

 大家が運んでくれたのは、固くも味わい深いパンに挟まれた瑞々しい葉と卵のサンドイッチ。

 やわらかな野菜と塩漬け肉でさっと作られたスープは、朝の冷気に凍える体をほど良く火照らせてくれる。


 大家の料理はやはり素晴らしいもの。

 毎度の感謝の念を胸に抱いて平らげたロックは、早速とばかりに新聞に広げた。


 新聞を見るだけでも、世情と言うものをよくまとめてくれている。片寄りはあれど、そこは他の紙を見れば良いだけのこと。

 

 ユリエルもまた、新聞を広げ没頭している。いつのまにやら彼女も加わったこの時間。

 時おり紙面をめくる音と時計の針音だけを耳にしているうちに、外から漏れ聞こえてくる音が増えていく。


 ロック・ロー・クラームは、この時間を不思議と気に入っていた。

 何気ない、普段の行程(ルーチン)だったことがこんなにも心地よくなったのは、いつからだろうか。

 そんなことをおぼろげに考えながらも、紙面をなめる目は止まらない。


 西のリーズで起きたコンラッド教授謎の失踪。コヴェントリのマストランド邸殺人事件は迷宮入り。

 バーモンジーではアカバ夫人宅から宝石類が盗まれた──……


 世間の不幸は止めどなく、悪の根果つることは無し。この世はこのなんと物騒なことか。


 これだから、警察は日夜問わずに牙爪剥いててんてこまい。探偵は頭を捻り、地に這いつくばる。


 日々を暮らす糧とするからには、事件は欲しい。さりとて”それ”は不幸ばかり。望むのはいかがなものか。

 どうしようもないジレンマにはため息も隠せない。

 

 ふと(おもて)をあげれば、ユリエルが新聞も放りだして食卓に突っ伏しているのが見えた。 

ああ、これは異常事態。漏れ聞こえるのは「あぁ」だの「うぅ」だの呻き声。

 そして傍らに積まれた新聞の山を見て、彼女を見る目は飽きれたものに変わっていく。


「またか……」 

「あぁ、もう結局わからないものなんですかぁ……」


 探偵事務所に、鈴をならすような声が染み渡る。

 突っ伏したまま頭を抱え、金の髪をかきむしる。せっかく整えた髪型が荒れることにも気が回らない様子。


「警察も記者も誰も知りやしない…… なんであんな偽物の情報がないんですかぁ……」 

「偽物だからじゃないかな」


 呆れたような眼差しを向けられようとも、ゆりえルは気づかない。


 ユリエル・アウグストルが求めるのは、謎の重騎士『”偽”マスクマン』。

 近頃噂の『マスクマン』にそっくりな、先日警察の捜査現場に現れた謎の重騎士を、ユリエルは求めていた。

 

「そんなに”騎士”のことがつまらない!? 『マスクマン』の偽物なんてどうでもいいの?」

「そうだろうなぁ」


 ──え、と。 

 思わずあげた眼差しが、ロックとぶつかる。何をいうんだと、不満の色をありありと浮かべていた。 


「話題にするには燃料が足りない。もっと確実になるものがないと」

「ロックも見たじゃないですかぁ……」

「一度だけ、な。そこから証言は変わらないんだ。同じ話を二度三度も繰り返しても、読者は飽きるだけ」


 そうとはわかっていても、引き下がれないもの。ユリエルは恨めしいようにうめくしかない。

 とはいえ、ロックの言うことも痛いほどにわかるのだ。

 話題の源は情報と興味。さりとて今あるのは警察とロック、周辺住民の証言とあやふやな影の写真のみ。

 これでは出た当初は話題になっても、時勢に流され噂と世間話に消えていく。


「情報不足だ。ここに関しては、コレ以上進みようがない」

「でも……でもねぇ……」


 眉を潜めて、ユリエルは渋る。

 わかっているからこそ、諦めきれない。その執念にはロックも目を見開くもの。

 なにせ好奇心のままに追い求め、新聞という新聞に目を凝らし、警察まで話を聞きに行ったのだ。

 ユリエルの目覚ましいその動きは、記者にでもなったかのよう。 


「足踏みしてても仕方ないさ。区切りはつけておいた方がいいぞ」

「わかってますぅ……はぁ、また出てきてくれないかしらねぇ」


 つい、そんな大それたことを考えてしまう。それほどに”偽”マスクマンをユリエルは望んでいた。


「しかし、なんだってそんなに気になる。ただの物真似(フリーク)かもしれん」

「せっかくの重騎士ですし。それに”そっくり”なんて”騎士”鍛冶屋(私たち)には驚きものです」

「そうなのか?」

「学校の騎士学科でも噂で持ちきりですよ。”変わり者””ドブ騎士”。よくもまぁってみんな絶賛です」

「その口ぶりじゃあ称賛には思えんがな」


 はっきりと言うのを、ロックは意外なように見ていた。

 それも然り。否定せず、ユリエルは深く頷く。


「そんなこと、よっぽどのお金持ちじゃないとできませんからね

「すまんが、俺は”騎士”の価値にはまだ不勉強でな

”そっくり”は珍しくとも、そうも驚くことに思えん」

「”騎士”って機械であり、美術品ですからね。今あるのはどれもこれもほぼ一品ものなんですよ?」


 ──わかってますね? その確認に、ロックは首肯する。

 ()()の教えもあって、多くを学んだつもりではある。多くは本。そして誰かに教わることも多々あった。

 だが、細かいところをなるとやはり専門家には負けてしまうところ。


「重騎士整備で装甲を外して、内部骨格から初めて共通項が見つかることもあるんだったか?」


 ──騎士は、古くは騎士王の時代から作られたものという。

 かつての戦乱で埋もれた騎士を細々と発掘修理を繰り返し、今に至っている。

 当時からカスタム化が進んでいたがために、原型はだれもわからない、らしい。

 少なくとも、ロックの読んだ本ではどれもそのように書いていた。


「だからそもそもプレーンな状態のものが珍しいわけ。ほとんどの重騎士は改造をいっぱいして、独自に成長していく」


 それこそが重騎士。今までの”赤錆”や”幅広帽”であり、”ノックス”─『マスクマン』。


「ノックスは、手足が完全新造です。それ

と”似てる”、”そっくり”だっていうんですよ?」


 解せない、と苛立たしげに机を指で叩き、眉を潜める。


「重騎士全身、作り直しです。雑騎士を丸々作るほうが安くて楽ですよ。そんなこと考えるんですから、会ってみたいわ」

「それは警察の連中も同じだとおもうぞ」

「警部さん、ですか。そうなりますよね」


 こんな奇特な人はそういない。どんな人なのか、なにを考えたのか。一度話をしてみたいもの。

 とはいえそれは叶いそうにない。心のそこから惜しむように、息を吐く。

 

 情報もない、出てきてもいない。姿を見たのはあの一回切りときた。


 ──なにか手がかりがあれば、変わるのに。


「あいつ何で出てこないのよぉ……だいたいロックはずるいわ。なんであいつを見たのよ!」

「ううむ、これは理不尽」


 その文句は、もはやだだ。ばたつかせた手足に食卓が揺れて、カップが鳴る。


「私を連れてってくれてもよかったじゃない!?」

「そうは言ってもなぁ、お前さん寝ていたじゃないか」

「……──ッッ!」


 その言葉に、ぐうの音もでるはずもなく。結局ユリエルは再び食卓に突っ伏した。

 言い合うのは、そこまで。

 ユリエルもこれ以上。手出しがしようないことはわかっている。今は諦めて、他のことに向かうだけだ。

 それでも憮然としたものが胸に燻る。

 ロックの差し出す紅茶を流し込んでも、うまく消してはくれなかった。


 その不満げな顔に、ロックはしょうがないと苦笑する。


「まあ、気分転換といこうや」

「どこかに行くんですか」

「そうなるかな──さぁて、ユリエル。お客さんだ」

「え──あら音が」


 ユリエルが耳にしたのは、石段を叩く靴音。静かで、落ち着きのある足音だ。

 扉まではまだ時間がある。ユリエルが素早く手を動かせば、瞬く間に食器たちはまとめられ、隅へと追いやられた。


「はい、こっちはやっておきますから、ロックはお願いします」

「すまないな」


 そっと食器を覆い隠すのと同時に、ドアが叩かれる。

 ロックが扉を開ければ、そこに居たの細身な青年が一人。

 顔立ちから着こなしまで見事に整っていると言うのに、どこかに溶け込むように地味な印象がぬぐえない。

 それこそ執事かのような彼のお辞儀は、見事なもの。


「朝早くから、申し訳ありません。探偵と見て、是非にともご依頼をいたしたいのです」


 その言葉とともに差し出された書面を、ロックは真剣な面持ちで見つめた。

 だけれども次第に、その口許は緩んでいく。堪えきれないような笑みが、浮かんでくる。

 神妙な面持ちで見つめる青年にも、目がいかない。

 ──あぁ、これは。

 ユリエルはまた、ため息をこぼしそうになって、押さえた。

 ──大家に食器洗いを頼まなくちゃいけないかな。


「ユリエル、準備をしてくれ。旅支度まではいらないよ。ちょっとした散歩だ」

「はい、すぐに行きますから」


 ──ほら、こういうんだ。

 さぁ、お出掛けお仕事。まさしく気分転換にはもってこい。

 ステップでも踏むような軽やかな足取りで、ユリエルは自室に滑り込んだ。







 馬車の車輪が導いたのは、街の中心街。その景色を眺めて、ユリエルは目を輝かせていた。


 フォールトン通りの商店街は、品の良い様々な商店が軒を連ねるだけあって、上流に人気の場所。

 目を向けるだけでも菓子店、服飾店(ブティック)、宝飾店。他にも一見では目当てもつかない、様々な店が並ぶ。

 そのどれもが軒先に大きな窓を取り、その周囲を鮮やかな色で塗りたくって、思い思いに彩っている。


 光とガス灯で明るく輝やく内装と、一体となって華やぐ様は、まるで絵画のようと、ユリエルは思った。

 壁がフレーム。店内はイメージ。窓ガラスはカバー。収まりのいい姿が、目に映える。

 それが道々に居並ぶ姿はまるで絵画の展示列。大勢集う人たちは、さながら鑑賞客だろうか。



 不意に、馬車が速度を緩めた。歩くような速度になって、商店の姿ががよく見える。

 対面の男─モドーという名らしい─が、左手側を指し示す。


「あちらをご覧ください。これより見えます赤と金の店が、私たちの商店《ブライス雑貨店》になります」


 葡萄酒のような深い赤の壁と、金縁に囲われるようにして、その店はあった。

 大きなガラス窓には、通りに向けて精緻な細工や食器、愛らしいぬいぐるみまで、多様な品が並んでいる。

 店内には一杯のお嬢様方に奥さま方。時おり肩身狭そうな”財布”が歩いているのも見える。 


 入る余地も無くて、惜しむように窓から店内を眺める人たちも居る辺り、よほどの繁盛ぶりであった。 

 慌ただしくも、店員たちは懸命に人をさばいている。


「いいですねぇ、あぁいうところも。人が多いですけど」

「行ってみるか? 終わったあとなら構わんが」

「あら。……それも、良いかもしれませんね」


 ロックの言葉に、とっさに相づちを打つ。

 礼儀なのか、本心なのか。ユリエルに判別は付かなかった。

 だが対面の男は満足したのかのように頷くので、ひとまずは良しとした。


 馬車はそのまま店先を通りすぎ、ぐるりと裏手の家に回り込んで、ようやく止まった。

 「こちらです」と足早に歩く案内人にが導いたのは、すぐそばの一軒家。三階ほどだが、石造りに荘厳な装飾、庭までついているとあって、十分な豪邸に見える。


 玄関を潜ると、手伝いらしい年配女性が慌てたように礼をしていた。急なことに目を丸くしているのが良く見える。


「あら、ぼっちゃま、お客様ですね」

「ああ、お気になさらないでください。こちらは今日の商談相手です」

「では、お茶をお持ちいたしますので──」

「いえ、構いません。こちらで用意しますので」


 そう言って、案内人はすぐに手伝いを追いやる。

 「失礼しました」と何事も無いように案内人は変わらず先を歩いていく。


 その様子に、ユリエルはそっとロックに耳打ちした。


「……私たちのこと、伝わってませんよね」

「確実にな。こちらのことを周囲には隠したいらしい」

「どういうことなのかしらね」

「そら、面子っているものもあるからね」


 よくあること、と。さも当然のように、気にするそぶりもくロックは言った。




 案内された応接室には、椅子に恰幅のいい男が一人。こちらの姿を認めるなり立ち上がり、体を揺らしてやって来る。

 震える足で杖を頼りに進む姿は、ぎこちなく、危なっかしいもの。

 それでもロックの前にたつと、ゆっくりと手を伸ばした。


「来ていただましてありがとうございます、探偵さま。迎えにも出ず失礼致しましたが、この通り足を悪くしておりまして」


 そう、ギルボン・ブライスという男は言った。

 薄くなった頭髪、非常に恰幅の良い体は、ロックとユリエルをまとめて隠れてしまうほど。

 それを無理矢理なほどにスーツに詰め込んでいる。ズボンを支えるサスペンダーが体に食い込みそうになるほどのものだから、杖がそこらの枝のようにまるで小さく見えてしまう。


「どうも、ギルボンさん。お会いできて光栄ですとも」 


 ロックは、いたって平静のまま、挨拶を交わす。

 しかしユリエルは、そんなことも気が回らないほどに応接間の光景に圧倒されていた。


 一目みるなり、ユリエルは思わず眉間を揉んでしまったのだ。何せ、壁際には数多くの調度品が並んでいるのである。

 それも”金やら宝石やら彫像やら、目の痛くなるようなものばかりが、たくさん。無秩序といえるほどにある。


 その雑然さは、ユリエルとしては場末の”騎士”用品店の箱詰ジャンクのほうがいささか美しいと思えるほど。

 だがこの店主様は違うらしい。ユリエルが目を丸くする様を純粋な驚きととったのか、嬉しそうに頷いている。


「こちら、私の自慢のコレクションでしてな」

「は、はぁ。これはま、”素晴らしい”ものばかりで」

「えぇえぇ、様々なものがございます。マザロンドの首飾りやグルベリグの指輪など高名なものから、私自身が目利きした逸品まで」

「へぇ」


 適当に相づちをうつのも構わず、ギルボンは語る。

 これほどのものが無名ですよ、などと様々な品をあちこち示すのだが、その際の足取りは不思議と軽いもの。

 杖が床を叩く音までも、心なしか弾むように聞こえてくる。


 笑みは子供のように綻び、目はずいぶんと自慢げで誇らしそう。

 宝石をとる太い指の指輪が、怪しげに輝いて見える。


 この手の話は長くなりやすいのが常なのだ。なにせ当の本人が言うのだから間違いない。

 仕方がないとばかりにロックが眉を潜めたのも一瞬。そっと、ギルボンへと声をかけた。


「それで、ギルボンさん。ご依頼というのは、何事なのでしょう。まさか観覧というわけではありませんな」

「あぁ。失敬。つい口が回ってしまって。甲でもして気を紛らわせないと、どうかしてしまいそうで」


 先程までの勢いはどこに行ったのだろう。すぐに収めて、ソファに腰を下ろした。

 悲鳴をあげるソファの音はまるでギルボン当人のよう。なにせその表情は、ずいぶんと沈痛なもの。

 気を紛らわすためとの言葉も間違いではないだろうほどに、顔色が悪い。余裕がない、とばかりだ。


 二人も案内されたソファに腰を下ろせば、すぐに用件を切り出された。


「──私は、重騎士を持っています。いえ、いました」


 そっと、一言。確かめるように慎重に口にする。


「あなた方には、消えた重騎士を探してほしいのです」

「重騎士が消えた?」

「ええ、全くもって驚きでしょうが、その通りなのです」


 不安に揺れていても、培ってきたものは確かなのだろう。ギルボンの話はしっかりとしていて、淀みない。


 この度、重騎士の購入を決意。

 うまく渡りをつけて購入したは良いものの、納入直後に当の重騎士が忽然と姿を消してしまったというのだ。


 深く、深くギルボンは頭を垂れる。膨れた体を必死に曲げ、額を机につけんばかりにまで、下ろす。


「どうか、どうか私の()()()重騎士を、見つけ出していただけないでしょうか」

 

 その体には無茶であろう、深い礼。声もまた震え、かすれる始末。

 それでもギルボンは頭を下ろすのを止めない。

 その姿をロックはじっと見つめていた。


 ふと、ユリエルは気づいた。

 ──今、この男はなんと言った。


「”新たな”……ですって?」

「ああ失敬。事の詳細をお話ししておりませんでしたな。お聞きいただければ、私の力の入れようもお分かりいただけるはずです。探偵に依頼までして、余計な出費をとっても、逃したくはないのですよ」


 ぎこちなく、ギルボンは体を起こす。息つくかれの眼差しは強く、杖をつかむ腕は震え、赤くなる。


「私、すでに重騎士を所有しております。そちらは家宝として大層重宝いたしましてな、商談までなにかお役に立ってくれております。今回問題となりました重騎士は、さらに購入いたした、実は二機目ということになるのです」

「わぁ、珍しいこと」

「ずいぶんと太っ腹だな」

「ええ、確かに。しかし私の買った騎士は、そうさせてもいい、買ったことを誇りに思う代物だったのです」


 ロックの言葉に、ギルボンは頷く。自覚しているのだろうか、何度も頷いた。


「はじめてあの”騎士”を見たときの情動は、”喉から手が出る”なんて言葉は陳腐になってしまいます」


 ──そんなことがあるなんて初めて知りましたとも

 当時を思い浮かべているのだろうか、

 ため息をもらすギルボンの目の色に、ユリエルは見覚えがあった。

 あれは、心酔というべきもの。誰かの躍りに惚れ込んだような、”見入られた人”の目の色だ。


「──その日目にした騎士は、私の持つ騎士とよく似ていました。いえもっと。そう”鏡写し”だったのです」

「鏡写し……そっくりだったっていうの!? そんなのがほんとうにあるなんて!」


 憧憬の眼差しで語られるその言葉は、まさしく真実味を帯びていて。

 思わずユリエルは、腰を浮かさずにはいられなかった。




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