困り中な私とすとーかー対策
陛下が撃沈してるっ!!!
いつもよれている陛下がよれよれにぃ~っ!!!
——うん、悪夢再来のせいですね。
分かります。
先程、陛下のとばっちりをくらいましたが、あれはないよね。
「……我が君、こうなれば徹底的に駆除するべきかと」
旦那様の目がコワイ。
旦那様は、本気でヘンテコ集団=台所の大魔神扱いしている模様だ。
気持ちは分かるけどさ。
「……駆除した端から湧いてきそうだから、やめてくれ……」
わあ、ホントにそんな光景が目に浮かんでくるんですけど。
陛下が今にも魂飛ばしそうになるのに、共感せざるを得ませんヨ。
「もう、悪魔でも召喚したくなってきた」
陛下が淀んだ目で、そう言った。
……陛下、アナタ相当追い詰められてますネ……。
悪魔は異次元にいる存在で、中には願いをかなえてくれるモノもいるらしいけど、その対価はすっごい碌でもないらしいのに。
「……次に引き継ぐまでは、代償をつけてもらうけどな」
「それなら、搾り取るだけ絞り取った後、抹消するほうがよろしいのでは?」
二人とも悪魔相手に踏み倒す気満々だよっ?!
あ、でもこのくらい図太くないと、すとーかー攻撃で精神崩壊起こしていたのカシラ。あのヘンテコ集団って、ある意味悪魔よりもタチ悪いもの。
でも、何か対策とらないと、割と本気で不味いよね。
主に、陛下とか陛下とか陛下とかが。
——何かいい考えないかな。
唸れ!私の何色なんだか分からない脳ミソっ!!!
たまには私も陛下と旦那様から尊敬の眼差しで見られたいですっ!!!!!
う~ん……。
「魔法使いで師匠なら、魔道書見たら食いつきそうだよね」
「——それだっ!!!!」
陛下がすごい食いついてきた!
「それで彼らの気を逸らして、私の身の回りを固めたら、多少なりとも平穏に……」
「むしろ魔道書を撒き餌に誘き寄せて一網打尽にした方が、早いのでは?」
さっきから旦那様が物騒です。
というか、言いだしっぺですが、本当に効果あるのかな?
「物は試し、だな」
陛下が使ってない紙をピッと一振りすると、あら不思議。
持っていた紙に、魔法陣が浮かびあがっているではありませんかっ!
わ~、すご~い。
これなら様子見も簡単だよね。
——って、思っていた時もありました。
ええ、餌に群がる鯉の群れ以上の反応が返ってくるとは、これっぽっちも思ってませんでしたヨ……。
——いや、ほんとすみませんでした……。
「しつこいのう……」
真っ赤な髪の美少女は、しかめっ面も麗しいです。
うちの国の神域な森のあるじさまは、美少女なのだ!
でも、実は本体が真っ赤な鱗の地竜様で、仮の姿の美少女は100%うちの旦那様のご先祖の趣味だったって情報は別にいらなかったな。何でも、産まれたての地神様に旦那様のご先祖様が、神様っぽい姿についての熱い講義をかましたそうです。……ちょっと旦那様、夢が壊れたじゃないですかっ!
ただ今、神域内の自宅に陛下と一緒に避難中です。
陛下は部屋の隅でどんよりしながら、魔法使ってます。
旦那様?
森の外でヘンテコ集団を全力で妨害中ですよ。
……たかが紙切れ一枚で、ヘンテコ集団が暴走するとは思いませんでした。
うん、びっくりです。
その場の勢いで陛下が拉致られかけたので、ウェインのお屋敷に逃げてきたんだ。
ヘンテコ集団も、流石に地神様の領域では好き勝手できないらしくて何よりです。
私?
私はただ今絶賛魔道書作成中ですヨ。
陛下が宙に書いてる魔法陣を紙に描き写すだけの、簡単なお仕事です。
……はい、嘘つきました。
模様が細かすぎてぜんっぜんかけないってばぁっ!!!
陛下の魔法陣って、そこら辺の魔法具についているのと違って、模様がみっちり詰まっているんだ。
描いている内に、どこまで描いたのか分からなくなるんだな、これが。
正直、無理すぎて泣きたいよ……。
——でも、陛下の精神崩壊は絶対避けたいですっ!!!!
御姉様方やお客様方も、為せば成るって言ってたし、やるっきゃない!!
***
「師匠の書っ!!!!」
「ししょうのしょだ~っ!!!!!」
死屍累々だったヘンテコ集団の復活ぶりがスゴイです。
魔道書(仮)につられて、陛下+ウェインさんちの使用人一同作の渾身の罠に嵌ってボロッボロなのに。
私、『我が一生に悔いなし』って叫びながら吹き飛ばされるヒトを初めて見たよ。
『師匠にやられるなら本望』とかバカなこと言って倒れていたヒトもいたし。
……陛下がものすごーくビミョウな顔をしてました。
というか、魔道書(仮)の中身って、私が描き写そうとした線がガタガタの変な模様しか描いてないんだけどな~。
「ふぉ~っ!!!」
「試練ですかっ!!! 試練なのですね、師匠っ!!!!!」
——なんだか燃えてるっ?!
いいんだ、それでっ?!!!!
元気いっぱいのヘンテコ集団が小躍りしながら帰った後、陛下と旦那様は一週間ぐらいぐったりしてました。
確実に、ヘンテコ集団のせいだ。
……ヘンテコ集団め~。




