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わがまま義妹ルチルの悪役離脱計画!~転生先は、おかあさんの夢小説~  作者: 弥生ちえ(弥生 知枝)
第1章 悪役転生の舞台は、まさかの母親の夢小説!

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第3話 生えた毒キノコ! ざまぁ破滅への道を突き進む悪役だからでしょうか!?



 ひょこ ひょこひょこ ひょこんっ



 ボーナスステージのはずが、破滅確定の悪役義妹転生!

 しかも十歳を超えて我儘人生が始まってしまっている今、ようやくの前世記憶解禁!

 そんなハードモードスタートなんて、神様何してくれてんの!! と、天井のまだ上目掛けて睨みを飛ばせば、なんだろう……。



 ひょこ ひょっこん ひょこひょこ



 わたしの頭上で、今の絶望的な状況に全く似つかわしくない物体が踊っている。



 ひょっこり ひょこん



 えーと?

 何度瞬きしても、ガラスに映して確認しても、黄色い毒キノコが、わたしの真っ赤な髪から突き出て陽気に伸縮してるように見えるんだけど……。

 これってわたしが錯乱してるってこと!?


 呆然と見ている間にも、頭に居座った毒キノコのダンスは激しさを増して——悲鳴にならない声を上げて、わたしの意識は再びフェードアウトした。





「大丈夫かい?」


 次にベッドで目覚めた時、視界いっぱいに飛び込んで来たのは、ハチミツを溶かし込んだ綿菓子を思わせる、ふわふわキラキラ金髪の美少年だった。


 ひゅっ、と息を呑んだわたしの反応は正しいと思う。


 眠る()少女を覗き込める場所に、家族ではなく、さらには医師でも使用人でもない他人が陣取っていたら、それはもぉ不審者案件でしかない。けれどキラキラ美少年のすぐ隣に記憶に残る面影を見付けて、ほんのちょっぴりだけ安心した。お義姉さまの婚約者が、居心地悪そうな微妙な表情で並んでたから。


「セラシアと話した後で、倒れたって聞きました。ルチルが心配で、居ても立ってもいられなくて。つい、押しかけてしまいました」


 金髪天使の脇から、心配でいっぱいの様子で声を掛けてくるのは、ブロンドベージュ髪の爽やか系美少年。欲しがりルチルのお眼鏡にも叶う、()()()()の婚約者エリオッツだ。彼も、真正面の金髪少年もわたしと同じく10代前半に見える。揃って眩しすぎる美形で眼福。いや、それはさておき、距離感がおかしい。


 わたしの人格が表に出て来る前のルチルが「お義姉(ねえ)様ばっかり綺麗な婚約者が居るなんてズルい!」と、自分にだけ極甘の両親の協力を得て画策――セラシアに婚約者の交流茶会の時間を教えなかったり、遅い時間を伝えたり、セラシアに虐められていると嘘の告げ口をしたり、ベタベタとくっついたり――した結果の距離感がコレだ。うん、……悪いのはわたしね。

 着実に自ら、ざまぁ破滅への道を突き進みはじめているわ。


「定期交流の茶会に伺ったら、憔悴した夫人が出迎えてくださったんです。ルチルがセラシアからの暴言にショックを受けて倒れたと聞かされた時は、本当に驚きました」


 けど無事な姿を見られて安心しました、と満面の笑顔を向けて来る。「綺麗で優しい婚約者ステキ! 欲しい!」そんなコンボを決めたルチルの記憶にも、ちょっとは納得してしまう。けどもよ? 破滅エンドは避けたいわけよ。


「エルの慌て様といったら。セラシア嬢とのお茶会そっちのけで、君のところに駆け付けたんだよ」


 正面の美少年が、キラキラ笑顔を浮かべる。いや、アナタこそ誰⁉

 記憶を辿っても、このキラキラくんがどこの誰なのか全くわからない。観賞用としては申し分ないけれど、今の状況に対する困惑が打ち勝って、胡乱な視線を向けてしまう。


「あぁ、恐ろしい目に遭って混乱しているんですね。セラシアは、思い遣りに欠けたキツイところがあるから。可哀想なルチル。彼女には私からもよく言っておきますね」


 柔らかな表情で親身に語り、倒れたご令嬢を気遣う様子は紳士の鑑。けどね、自分がどれだけ常識はずれな事をやってるのか、ぜーったいに分かってない。

 婚約者の妹の部屋に上がり込んで、ベッドの側までやって来るなんて有り得ないんだから。ましてや、体裁を重んじる貴族よ? デビュタントもまだの、うら若き貴族令嬢の醜聞になり得るこんな状況を作り出すなんて、信じらんない。ったく、家族や家令は何やってんの!


 ……って居たわ。微笑ましげな表情で、部屋の隅に控える家令が。


「アレが侍女長あたりなら、お母様の独断で婚約者の挿げ替えを画策してる線もあったんだけど……。家長直属の家令がルチル側ってことは、お父様も首謀者のひとりなのね」


 嫌な確信を得て、自然と呟く声は低くなる。


「んもぉ! おバカな我儘ルチルを諌めるどころか、破滅的おバカを増長させる大人揃いだなんて! このムスメにして、この親アリって云うの!?」


 呟きながら考えを巡らせてゆけば、成る程と思える記憶に行き当った。


 ルチルの母は、グランフィルド公爵家当主である父が、セラシアの母と政略結婚する前から恋人関係にあった。結婚後もその関係は続き――その時、何度も繰り返しお母様に聞かされた言葉が「欲しいものは自分の力で掴み取るものよ」ではあった。あったのだけれども! まさかお家乗っ取りまでもを企てる言葉だったなんて!!

 ルチルの気質は、幼少期からの欲しがり英才教育の賜物に違いない。



 この世界にわたしを引き込んだ神様と、ルチルの性格の基礎を築いた親の采配で、悪役になるべくして生まれた『我儘欲しがり義妹ルチル』。

 改めて気付けばなんてこと……。想像以上に、あちこちからの悪役呪縛にがんじがらめのスタートだったわ。


 ここから巻き返しなんてできるの!?


 ウムムと考え込むけれど、答えは簡単には見つからない――。

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