第九話
とりあえずこの状況を変えないとな。
変えるにはあのコウキというご都合主義者みたいにやらないとこちらについてくるのかな? 仮に私が声をかけても、ついてくるのは一部の人のみだろう。
少なくとも今起こしたお仕置きを見て、怖がられているかもしれない。
この状況をどうにかするにはアイリスちゃんかエイル様くらいだろう。
とりあえず、起きたばかりのアイリスちゃんには悪いがエイル様に相談を持ち掛けてみよう。
「エイル様、少しよろしいでしょうか? 召喚された人たちを城へと案内したいのですが···。
あなたも付いてきてくれますか?」
するとエイル様は「分かりました。」と答え、城へ行く準備を始めた。
さてと、気絶しているコウキを無理矢理起こして、状況を打破しよう。
忘れては居たがこの人たちの教師であろう人物は真っ白になっており、いくら揺すってもびくともしない。
駄目だ···気絶している。
いつから気絶していたのか分からないが···おそらく、自身の生徒の中に暴力を振るっていたり、ナイフを振り回している生徒が居たことを止められず責任を感じて白くなって気絶しているのか? あるいは私のお仕置きがあまりにもやり過ぎたモノだったのだろう。多分、両方だと思う。
仕方ない、この教師を担ぐか。
とりあえず、彼女を椅子に寝かせて、コウキという男子へと向かい、頬をバチンバチンッ!!と叩いて起こした。周りは驚いて居たが、それは召喚された人達だけで、アイリスちゃんとエイル様あたりは呆れており、仕方がない事だと思って止めなかった。
もちろんこれはあの馬鹿勇者のせいだがな。
すると目を覚ましたコウキは、クロウという不良とその仲間達が居ないことに気づき、クロウ達は何処に行った? と私に問いだしてきた。
そして私は「残念ながらあの人達は、別のところに行きましたよ?」と答え返すとコウキは納得できないのかまた問いだしてきた。
私は何回もクロウ達は何処かに行きましたと答えてもコウキは「嘘をつくな!! お前が何処かへやったんだろう!!」と私を責め立てた。
起こさなければ良かったと内心思った。
もし仮にこいつを起こしていなくてもシモンズ辺りが少し口が悪いかもしれないが彼を担いで運んでいたのかもしれない。
仕方ない、ここは正直に答えるか。
「分かりました。
確かにクロウという不良···ゴホン、少年とそのお仲間達は私が何処かへやりました。」
するとコウキは表情を怒り変え、やはりなという感じに鼻を鳴らした。
そして、コウキは「で? 何処に行ったんだ?」と勝ち誇ったかのような表情に私に問いだしてきた。
今にもその勝ち誇っていて余裕な顔を殴り飛ばしたいが止めておこう。後から面倒な目に遭うから。
さてと、こいつは無視して、エイル様に準備が出来たかどうか聴くと?
「はい、準備が整いました。」
良し、後は教師を担いで運ぶとしよう。
するとコウキは「おい! 先生に何をしようとしているんだ!」と指を指して責めてきた為、エイル様とアイリスちゃんが「あなた方の教師を運ぶだけですよ。」と答えてくれた。後で礼を言わないと。
そして私は、未だに困惑している転移者を落ち着かさせるために「今から城へと向かいますので付いてきてください。ちなみに私かアイリス嬢とエイル様から離れると迷子になってしまうので私達に付いてきてください。お願いします。」と答えた。
さて、この女教師を担ごう。
女教師を担い瞬間に何かしら違和感を覚えた。
何だろうか? 妙に軽いような? そういえば彼女だけ妙に魔力の量が多かったような? まあ、気のせいかな? とりあえず担ごう。
そして私は女教師を担ぎ、シモンズとアンナに後の転移者達に付かして、協会の門を開けてエイル様に鍵を閉めてもらってから城へと向かう道に続いた。
すると転移してきた一人の女の子が私に質問があるらしく聴くと?
「あの、失礼かもしれませんがアイラ様はお姫様なのでしょうか?」
なるほど、そこを気にしていたか···まあ良いだろう。
「はい、私は皇族の血を引いているのでお姫様ということになりますね。」
すると周りにいた転移してきた女の子達(年上)がやっぱりと叫び、キャーキャー言っていた。
もし、あいつ(勇者)も彼女達のような性格をしていたら色々と変わっていたのかもしれないけど、それは間違いなくあり得ないな。
そもそもあの馬鹿勇者がキャーキャー言っていたら気持ち悪くて夜も眠れなくなる。
しかし、今私が気になっているのは誰からも話されていないというか自分から話してこない男の子がだった。
彼はコウキというご都合主義者とクロウという不良と違い、普通の男子だった。
見た目は、短く切った短髪と少し弱気な黒い瞳をしてて、平民達と同じで、顔がそれなりに整っていた。
一応、一部の女子の一人は彼の事が好きみたいで、今も話していた。
そして私は、自分に話しかけてきた少女にあの少年の名前を聞くと?
「ああ、あの人は上条真という男子です。」
へぇ、カミジョウマコトか···言い名前ね。
後で話してみようかな?
良し、そろそろ城が見えてきたから皆に報告しよう。
「皆さん、後もう少しで着きますから離れないように付いてきてください。」
すると全員(コウキは除く)「はい!」と答え、城の門へと向かった。
読んでいただきありがとうごさいました! この小説が面白いかな? と思いましたらブクマと評価または感想をお願いします!




