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出会い
話が全然進まなくてすみません
仁紀は太ももを気付かれないようにつねる。もうかれこれ1時間近くは同じ話を聞かされていた。いるんだよなぁ。自分の世界に入っちゃう人。
「あの人とはね、社内恋愛で、両方とも一目惚れでね、…」
「それで19年前のクリスマスに永遠の愛を誓ったんですよね。」仁紀が後を継ぐ。さらに間髪入れずに「まだ浮気と決まったわけではないので今後も調査を続けて行くつもりです。今日はもう遅いのでタクシーでもお呼びしましょうか。」
おおかた満足がいったのだろう。えぇと小さく言って帰る支度をし始めた。時計を見ると7時近くなっていた。もう客は来ないだろう。1人になって少ししたら外に出てシャッターを下ろし始める。少し錆びたシャッターを半分まで下ろしたところで、「あの」と声を
かけられた。
「すみません、今日はもう終わって…」
そこで振り向くとあの女性だった。しかも昼間よりもさらに悲しげな様子で立っていた。
「落合探偵事務所ってここであってますか?」
「…そうですけど」
「あの、た、助けて欲しいんです」
次回はちょっと前進します