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ようこそ幻想都市塔京へ   作者: 竜馬光司
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第1話 その3

勝太郎はロックを解除して、扉を開ける。

一瞬にして三人の周りの空気が張り詰める。

中には彼等、探索者にとって一番大事な仕事道具が収められている。

それは銃であった。

ダンジョンに巣食う塔獣(モンスター)から自分達の命を守るための武器が所狭しと並んでいた。

二階の半分を改造したその武器庫には、整備された銃が、自分の出番が来たと喜ぶように、ライトの光を反射して鈍く輝く。

勝太郎は迷う事なく武器庫を進み、ホロサイトとグレネードランチャーでカスタムしたHK416を手に取る。

「あっ、ショータロー。まだ四十ミリ補充できてないんだ」

「通常弾も魔力弾(エーテルバレット)も一発もないのか?」

「うん、ごめん。明日取りに行く予定だったから」

バルイールに言われて、勝太郎は弾のないデッドウェイトのグレネードランチャーを外し、フォアグリップを取り付ける。

ガタがない事を確認してから、勝太郎は下の棚を開けた。

中には多種多様な弾薬とマガジンが収納されていた。

そこから五・五六ミリ弾と空のマガジンを取り出し、マガジンに弾丸を詰め込んでいく。

そして満腹になっだマガジンを銃に装填し、薬室に初弾を送り込んだ。

「キメラスーツもまだ戻ってきてないか」

「はいマスター。修理完了するのは来週と、桃ノ木博士から連絡が来ています」

「じゃあ、諦めるしかないか」

勝太郎は、桃ノ木博士が自分で決めた日までは絶対終わらせないことを知っているので、すぐ諦めた。

勝太郎がテキパキと準備をする中、二人も武器庫に入り、自分の使う銃を用意する。

メルヒェンは、その細腕では不釣り合いな分隊支援火器MK48を持ち出し、百発入りのボックスマガジンを取り付け、ベルトリンクで連結された七・六二ミリ弾を銃本体に装填する。

「ねぇねぇショータロー。これ持っていていい?」

バルイールは右手に、槍のようなバトルライフルG3を持ち、左手には長大な対物ライフル、バレットM82を持って肩に担いでいた。

「馬鹿。狙撃してる暇があるか。大体そいつの弾丸じゃ、誘拐犯ごと人質を撃ち抜いちまうだろうが!」

「そっかー。でも万が一の時の為に……」

「駄目だ!一刻を争うんだ。余計なものはいらない」

「は〜い」

ピシャリと一喝され、バルイールは渋々といった顔で、M82を元の場所に戻し、G3のマガジンに七・六二ミリを詰め込んでいく。

「マスター。準備完了しました」

メルヒェンは軽々とMK48を両手で持ちながら、勝太郎の指示を待つ。

「じゃあ、先に【ウミボウズ】のエンジンを始動させておいてくれ」

メルヒェンは「分かりました」と返事をして武器庫を出て行く。

それを見届けてから、勝太郎は制服の上からベストを着込み、そこに予備のマガジンや救急キットなどを取り付けていく。

最後に肘と膝を保護するパッドを取り付け、手を保護するオープンフィンガーグローブを取り付けて準備が完了した。

「バルイール。こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」

「こっちも準備完了」

そう言って現れたバルイールは、勝太郎と同じく、ベストに様々な装備品を詰め込み、腰のベルトにナイフとM93Rを装備していた。

更に素肌の上から、エルボーパッドとニーパッドをつけていた。

いつもなら、肌は露出しないように準備するのだが、今回は急いでダンジョンに向かうので、そのままの格好で装備を整えた。

二人が準備を終えて一階の車庫に向かうと、メルヒェンがドアを開けて出迎えてくれた。

「ありがとうメルヒェン」

バルイールと勝太郎は後部座席に座る。

「あれ? ショータロー運転しないの?」

「うん? すまん。もう少し寝る」

勝太郎は背もたれに頭を預けて目を閉じる。

「全く。本当マイペースなんだから」

「私が運転します。マム、ナビをお願いします」

「オッケー。任せて」

後部座席に勝太郎を残して、バルイールは助手席に移る。

メルヒェンは運転席に着くと、座席を前に動かして位置を調整。

そしてエンジンを掛けた。

「ウミボウズ発進します」

魔力(エーテル)エンジンが鼓動し、一九九三年生まれの黒いウミボウズが動き出す。

滑るように走るウミボウズは三人を乗せて塔の入り口に向かうのだった。


塔の入り口はとても大きい。

その大きさは自動車道路四車線分もある。

車でそのまま入ることが出来る入り口には常時、自衛隊員が立っていた。

彼らの目的は、塔に巣食う獣を外に出さない為である。

勝太郎たちを乗せたウミボウズは塔の入り口に近づく。

近づいてきたワゴンを見て一人の隊員が前に出て、止まるように手で制す。

メルヒェンはウミボウズを停車させ、窓のウィンドウを開けた。

隊員が近づいてきて、メルヒェンに話しかけてくる。

「塔への用事は、探索ですか?」

「はい。私達は探索者です。ダンジョン探索の為に来ました」

メルヒェンは依頼を受けたことは伏せておいた。

「そうですか。ではお手数ですが、身分証を見せてもらいますか?」

「どうぞ」

三人分の探索許可証を隊員に提示する。

「結構です。どうぞお気をつけて」

許可証を返してもらい、メルヒェンは小さく頷いて塔の中にワゴンを入れる。

塔の一階は人類の拠点になっていた。

そこにあるのは自衛隊の駐屯所や探索者の道具を売っているショップなどがある。

メルヒェンはウミボウズを近くの駐車場に停めエンジンを切った。

周りには何台か同業者のものと思われる車が停まっていた。

「着きましたよ」

「ありがとうメルヒェン」

「どういたしまして」

「ショータロー着いたよ」

「ああ、着いたか」

勝太郎はソファで寝ていた時と違い、一回言われただけで目を開ける。

そして得物を持って三人は車を降りた。

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