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ようこそ幻想都市塔京へ   作者: 竜馬光司
26/43

第4話 その3

「あっ、いたいた。ノリコー」

ミスフォルラが駅前で待つ親友の姿を見つけて手を振る。

彼女が待ち合わせしていたのは、丸メガネに黒のショートカットを持つ少女、甲上ノリコだ。

「ミスティおはよう……」

ノリコはミスフォルラの姿を見つけて、挨拶を返すが、いきなり固まってしまう。

彼女が予想外の人物と歩いてきたからだ。

「どうしたのノリコ? 固まっちゃって」

「だ、だって。ミスティ横にいる人は……」

「ああ、海崎くんだよ」

勝太郎は小さく会釈をした。

「あっ、おはようございます……じゃなくて! なんで二人一緒に登校してるの?」

ノリコは一人でノリツッコミをしてしまう。

それほどパニックになっていた。

「そっか、ノリコに伝えるの忘れてた! 実はね……」

ミスフォルラは自分が探索者になる為に、勝太郎の所で世話になっている事を話す。

自分が誘拐された事は伏せておいた。

ノリコはミスフォルラの身に起きた事を、一喜一憂しながら聞いていた。

「……という事なの。ごめんね土日に色々あって連絡するの忘れちゃった。本当にごめん!」

「色々大変だったんだね。大丈夫、私が怒るはずないじゃん」

「良かったー、ありがとうノリコ」

「おい、二人共。そろそろ行かないと電車に乗り遅れるぞ」

スマホで時刻を確認した勝太郎がそう告げる。

「大変!」

「ミスティ急ごう!」

ミスフォルラとノリコは一緒に走り出す。

勝太郎も二人の後をついていく。そして満員電車に揺られて古宿高校の最寄の駅に到着した。

「もう満員電車、嫌だよー」

「本当。暑い季節になると辛いよね」

通学路を歩きながら、バルイールとミスフォルラの会話を、勝太郎は会話に入らず後ろでそれとなく聞いていた。

因みに二人に不埒な輩が近づかないようにさり気なくガードしていたが二人は全く気付いていなかった。

「そう言えばミスティ。銃作ってもらったんでしょ。何作ってもらったの?」

ノリコはどこか興奮した口調で聞いてくる。

「ノリコは知らないと思うけど、ジェリコ941って名前のピストルだよ」

「えっ? なんて言ったの?」

「だからジェリコ……」

「嘘! ミスティ。ジェリコ使うの? 凄い!」

銃の名前を聞いた途端、ノリコの目が輝きミスフォルラの眼前に迫る。

「ノリコ、ちょっと近いよ」

「だって、ジェリコだよ。ジェリコ941。それってデコッキングレバー付いてるタイプ?」

(デコッキング?)

「ああ、うん。デコッキングできるよ」

ミスフォルラはこの前教えられたデコッキング機能の事を思い出し頷く。

「きゃージェリコ941R。今度見せてもらってもいい?」

そノリコの大きな声で周りの生徒たちの視線が集まるが本人は全く気付いていない。

「うん。出来上がったら写真撮って送るね。それでいい?」

「もちろん! ジェリコ941Rの実物見れるなんて幸せだよ〜」

そういう彼女の表情は天にも上りそうなほど恍惚としていた。

「ノリコ。銃詳しいんだね」

「うん。私、アクション映画もアニメも漫画もラノベも銃が活躍するのが大好きなの!」

ノリコはミスフォルラに「今度遊びに来た時見せてあげるね!」とミスフォルラに興奮しながら話す。

「うん。時間ができたら、色々教えてね」

「約束だよ。ミスティ」

そんな話をしている内に学校の校門が見えてきた。

「もう着いちゃった。今日は通学路が短く感じるな」

「ノリコ、また休み時間に話そうね」

「もちろん。そうだ……カイザキ君」

「何だよ」

勝太郎はぶっきらぼうに答える。

「あの、後で色々聞きたい事あるんだけどいいかな」

ノリコは恐る恐る勝太郎にそう尋ねた。

「……ああ、いいぞ」

ノリコはそれを聞いた途端笑顔になる。

「ありがとう! じゃあ休み時間に」

「お前の友達……元気だな」

「いやあ、私もノリコが銃好きなんて知らなかったよ」

一人ハイテンションなノリコと対照的に朝からどっと疲れてしまう二人だった。


その日の昼休み。勝太郎、ミスフォルラ、ノリコの三人は屋上にいた。

授業の合間の短い休み時間ではノリコは満足しなかった。

今話していたのは、訓練所の模擬戦の話題だった。

「凄いじゃん!カイザキ君に勝っちゃうなんて。ミスティは才能あるんだね」

「そんな事ないよ。まだまだ初心者だよ」

ミスフォルラは両手を振って否定する。

「確かに初心者だな」

勝太郎は弁当のふたを開けながらそう答えた。

「あの、カイザキ君は探索者なんだよね?」

ノリコがピンク色の可愛い弁当箱から、卵焼きを取り出しながら尋ねる。

「ああ、そうだ」

勝太郎はメルヒェンが作ったおにぎりを頬張りながら答えた。

因みにミスフォルラも同じ物を、メルヒェンに作ってもらい、それを食べている。

「じゃあ、家には銃もいっぱいあるの?」

「まあ、あるな」

「へーどんな銃があるの?」

「色々あるぞ……すっぱっ!」

勝太郎は二個目のおにぎりを頬張る。

中身は種抜きの梅干しだった。

梅干しのすっぱさに驚いてむせてしまう。

「大丈夫海崎くん! ほらお茶!」

ミスフォルラが勝太郎に紙パックに入った緑茶を渡す。

「ふ〜。すまんそれで何の話だっけ?」

「その、持っている銃の種類だよ」

ノリコは勝太郎に再び同じ質問をする。

「ああ、色々あるぞ。ピストル、アサルトライフル、ショットガンにスナイパーライフル。とかだな」

「じゃあベレッタM92Fもある?」

「いや、M93Rならあるぞ」

M93Rはバルイールが愛用している銃だ。

「三点バースト機能がある銃だね」

「おっ、よく知ってるな」

勝太郎が少し食いついた。

「へっへ〜ん。伊達に色々な銃を見てきただけじゃないんだよ」

ノリコは胸を張る。

「ワルサーP99とグロック30はあるの?」

「いやどちらもないな。うちのパーティでワルサーもグロックも使っているのはいないな」

「そっか残念。じゃあ、ケースレス弾薬のパルスライフルや自動追尾機能を持ったスマートガンみたいな銃はあるの?」

二つ共、勝太郎は聞いた事がない名前だった。

「いや、二つとも知らないな。そんな銃があるのか?」

「そっか、その二つがあれば、例え宇宙から異星人が来ても楽勝なんだけどな。まだ今の科学じゃ無理なのか。はぁー」

ノリコは大きく溜息をついた。

「そうだ。今度その映画見せてあげるよ。パルスライフルもスマートガンも大活躍するからきっと海崎くんも欲しくなるはず!」

「ああ、ありがとな」

勝太郎はノリコの誘いに素直に礼を言う。

(今度、桃ノ木博士にも聞いてみるか。何か知ってるかも)

勝太郎はそんなことを思いながら、二個目のおにぎりを完食して弁当のふたを閉めた。

「ううん。こっちもいろいろ聞けて良かった。ありがとうね。それと……ごめんなさい」

突然、ノリコが勝太郎にお礼を言ってから謝り頭を下げる

「ど、どうしたのノリコ? ほら頭上げて」

それを見たミスフォルラが彼女の頭を上げさせる。

勝太郎は驚いて何も言えなかった。

「私、カイザキ君の事誤解してたみたい。怖くて近寄りがたいなって」

「そういう事か、それはすまない」

勝太郎は自分からそういう態度を取っていた非を認めて謝る。

「謝らないで、カイザキ君の事よく知らないで避けてたから、ホントにごめんなさい」

「もう謝るなよ……甲上は悪くねえよ」

勝太郎は少し顔を赤くして、そっぽを向きながらそう言った。

「へへっ、そう言ってくれて嬉しい」

ノリコが勝太郎に向けて手を差し出す。

「これは?」

「握手。友達の証し。ミスティともしたんだよ。そのお陰で今まで喧嘩ひとつしてないんだ。ねえミスティ?」

「うん。海崎くん。ノリコの言う通りだよ」

ミスティは頷く

勝太郎はノリコが差し出した手をしばらく見ていた。

「……なんかよく分からないが、よろしくな甲上」

勝太郎はそう言って彼女と握手をした。

「よろしく、カイザキ君」

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