§第十二章 高貴なる我らの血潮よ永遠なれ 3 §
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時は来た。両軍は、五本峯を挟んで対峙した。聖エルベリア教皇軍は二十五万、ローヴァス帝国軍十万の兵士だった。そして、この戦いのキーとなるのはこの地方に住む土民の存在だった。それを無視して行くエルベリアは完全に愚かなる者たちではあるのだが……
「さて、戦いの準備は出来たね。後は、土民さんがちゃんと動いてくれるか……」
マサムネ達は、情報兵の帰還を待った。彼らの報告が終わり次第、侵攻を開始するのだ。兵士達は皆、マサムネの指示を待っている。規律よく兵士は立っている。その姿はまるで黒薔薇の騎士と例えてしまいたくなるほど勇壮であった。そんな中、鎧を着なくても黒い人……いや山城チョメ助はじっと街道の先を見つめている。
「チョメ助? どうしたのさ? 」
「あ、いや、特に何でもないけど。ふと気になってね、あの先に二十万を超える大軍団がいるんだなぁ……と思っただけだよ」
その言葉を聞いて、ラスコーは嫌そうな顔をした。全く誰が戦うんだ。とも言わんばかりである。そんな中、情報兵からの報告が来た。内容は、予定通り、土民達の協力を得られることと、今回の彼らの協力に関して、エルベリア軍はノータッチであった。ということであった。その報告にマサムネは違和感を感じていたのだが……
「そう、か……これはイケるかもしれない!! 」
「ん? どういうことだ? 」
ラスコーは尋ねる。マサムネはヘヘッと笑うとラスコーに説明した。
「うん、僕自身としてはかなり不本意だけど。今の状況を見ると、ハーヴィスは身動きが取れていないみたいなんだ。この戦いの”キー ”はあくまでこの土地を知り尽くしている土民の存在なんだ」
「ほぅ……あれか、” 天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず ”いわゆる” 天地人 ”だな」
ラスコーは言った。それは、マサムネの著書にも書いてあったことだ。マサムネは少し嬉しくなった。
「そうそう、戦略が成功する三条件” 天の時、地の利、人の和 ”だよ。今はこれが全部揃ってる!! 」
機嫌のいいマサムネにラスコーも嬉しくなった。周りの兵士達は、普段キリッとしている将軍がデレデレと笑っている姿がとても新鮮に見えた。今までは悪い噂しか流れていなかったが、最近は少し丸くなったとも噂されている。それは今のようなシチュエーションがよく見られるようになったからでもあるのだが……
「さて、無駄話はここまで、準備も整ったし、少しづつ侵攻をしてください。マサムネ本体は五千の兵と共にここに待機します。防衛をしつつ、こちらから指示をしますので、ラスコー将軍宜しくお願い致します」
「おぅ!! 任せた!! こちらは俺たちがやってやるさ!! 」
ラスコーは意気揚々と軍を進めていった。ゆっくりゆっくりと、マサムネが言うようにジワジワと侵攻を開始した。しばらく進むと、マサムネからの情報兵が報告に来た。
「お伝えします。土民達の活躍により、街道以外の四本の道の通りを来たエルベリア軍は、足止めと計略により、混乱状態です」
「わかった。我々はこのままゆっくり進む」
ラスコーはそう言うと、ジワジワと侵攻を進めていく。すると、エルベリア軍の主戦力がローヴァス軍を発見し、突撃をしてきた。彼らはエルベリア軍の鎧ではなく、マサムネの言うとおり、金で雇われた傭兵だった。思い思いの装備に身を包んだ彼らは、無秩序に走ってきた。
「これが、戦争だと思っているのか……コイツらは……」
ラスコーはそう言うと突っ込んでくるエルベリア軍に大量の矢を浴びせる。それに合わせてエルベリア軍の傭兵達は倒れていく。怖気づくかと思いきや、勢いが増すようにどんどん来る。
「ほぅ、意外とやるな……だが、ここまでだ」
ラスコーは合図を送った。すると、街道の両脇の崖から大量の岩が落ちてくる。かなり深いところまで突撃していたエルベリア軍は完全に岩に押しつぶされていった。こうして、ローヴァス軍は苦もなく街道東側を制圧した。
「さて、エルベリア軍は逃げたな……よし!! 皆次はこちらが突撃する番だ!! 岩があるから馬を置いて突撃だ!! 」
「オオオオオッ!! 」
完全に勝利モードのローヴァス軍は岩を登り逃げるエルベリア軍を追撃した。傭兵部隊は完全に士気はなく、いいように攻撃されていった。その勢いのまま、エルベリア軍の本陣に突撃を開始した。五本峯の一つの入口、林の方では、煙が立ち上り、森が大掛かりに燃えていた。それにより、本陣も完全に混乱しており、ローヴァスの突撃をまともに受けた。中には相手の攻撃を互角に受け止め戦う傭兵もいたが、完全に戦いはローヴァスのものとなっていた。
「ラスコー将軍の軍は、エルベリア軍本体を攻撃開始、夕方には勝負は決するとのことです」
マサムネは情報兵の言葉を聞いた。やはり簡単すぎる。三人で軍議をした時、マサムネが発した言葉である。” 多分楽勝 ”その言葉が思い起こされる。あまりにもおかしすぎる。
「ど、どういうことだ……エルベリア軍は壊滅するのも必死、なのに何でこんなに気分が晴れないんだ……」
確かに、この主力部隊は弱い、だが、この中には、ハーヴィスとギルト将軍がいるはず。こう簡単すぎるのはどういうことだ。そう思ったとき、マサムネの悪い予感は当たった。いきなり五本峯の一つ、聖なる山からの登山口からエルベリア軍が躍り出てきたのだった。
「え? な、何で!!? 」
マサムネは狼狽した。聖なる山の登山口は五本ある道筋のうち、一番険しい道だった。そして、その道には村に通じる道があり、土民の本陣があるはずだった。何故通れたのだ。
「く、くそう!! 弱気なんて言ってられない!! 戦うぞ!! 」
躍り出たエルベリア軍にマサムネ率いるローヴァス軍は戦闘を始める。だが、そこでも違和感を感じた。そう、このエルベリア軍は皆高齢の者たちだった。高齢の者たちだったのだが、ありえないぐらいに統率が取れていた。
「行くぞぉ!! ローヴァスのひよっ子どもがあぁ!! ワシらだけで十分じゃわぁ!! 」
先の戦いにおいて、ハーヴィスに従軍したあの隊長達の部隊だった。二千人の老人軍が雪崩込む。そして、彼らはローヴァス軍を蹴散らしながらそのまま突っ切って行く。そして、Uターンをすると突撃を開始した。
「な、何だ。この暴れるだけの突撃は!! 弓兵部隊!! 突撃する爺達を撃ち落とすんだ!! 」
マサムネは弓兵部隊に指示を出す。それに合わせて弓兵部隊は弓を構える。すると、後ろから更に他の兵士達が突っ込んできた。その数およそ三千。マサムネは驚いた。
「え、嘘!! 何でこんなに兵士がいるんだ!! 」
マサムネの軍はエルベリア軍に挟撃される形となった。そして、前方の老人軍、後方には、ハーヴィスがいたのだった。
「クッ!! ハーヴィスうううぅぅ!! 」
マサムネは敵を認識した。確実にマサムネの首を狙いに来たあの男がいた。マサムネは憎しみを込めて雄叫びを上げる。だが、マサムネの雄叫びとは反対に、ローヴァス軍は瓦解した。老人軍が思ったより精強な上、ハーヴィス率いる軍も恐ろしく強かった。そんな中、ハーヴィスとマサムネは目が合った。
「アッ!! き、君は!! 」
「クッ!! 」
マサムネは必死に逃げながらハーヴィスの追撃をかわす。だが、完全にマサムネの軍は崩壊した。そして、夕刻、エルベリア本陣は壊滅し、ローヴァス本陣は壊滅したのだった。
「な、何だって!! 」
ラスコーにローヴァス本陣が壊滅した情報が流れたのは、丁度エルベリア軍の本陣を叩き潰した時の事だった。ラスコーの表情は一気に青ざめた。
「ま、マサムネは!? マサムネはどうした!! 」
ラスコーの言葉に情報兵は困惑した。強い勢いで聞くラスコー、その手をチョメ助は制した。
「まだ、見つかっていないらしい。エルベリアには捕まってない」
チョメ助にそう言われ、ラスコーは取り敢えず安堵した。そんな時、ギルトの軍が現れた。彼らは潰れた本陣から五本峯の外であり、しばらく戦線を離脱していたようだ。
「久しぶりだな、ラスコー将軍」
「ギルト将軍……か」
二人の将軍は見合った。かつての戦いにおいて、二度彼らは手を合わせた。初めはギルトの惨敗、二度目はマサムネの介入があったが、ラスコーが勝利を収めていた。ラスコーは獲物を構えた。
そんな時、ギルトから意外な言葉が発せられた。
「今回の戦いは我々の負けだ!! 早々に両軍兵を引きたい。この件了承してもらえぬか? 」
「笑止!! 我々はまだ戦う!! 貴様らの本陣も潰した!! 何故引くか 」
ギルトは無表情だった。その時、五本峯の一つの道から新たな軍が現れた。この軍を率いているのはエスラーだ。
「ラスコー将軍、まだ戦う気か? そなたの軍は包囲されている」
「なん……だと!! 」
次は五本峯の川が見える道からハインツの軍が現れた。
「やるなら……仕方ないですけど……今、堰ができたところです。あなたの軍を流す準備できてますよ」
「グッ……」
五本峯の街道からハーヴィスが現れた。聖なる山の道からは土民の軍隊。
「今回は、我々の軍が大敗した……ということで、お願いしたい。私達はこれ以上、あなたたちと戦う意思はない」
「うるさい!! ハーヴィス!! 貴様が、貴様がいつも俺の邪魔をする!! 」
そう言うと獲物を取り出し、単騎でハーヴィスに走っていった。兵士達が弓を構えるが、ハーヴィスは制した。彼は双剣を取り出すとラスコーに向かっていった。ラスコーは槍を使って攻撃を開始した。ハーヴィスは剣で受け流す。だが、槍の力は思ったより強かった。何より、ラスコーの怒りは余程のものだろう。全ての突きが鋭かった。だが、その全てをハーヴィスは捌いた。
「おお、なんということじゃ……」
この異様な光景に皆は見とれていた。そう、槍を使っているはずのラスコーが段々後ずさっていた。そして、攻め疲れか、滝のような汗が出ていた。ハーヴィスは変わらず剣で捌いていく。
「こ、この化け物があああぁぁ!! 」
全く手応えがない攻撃にラスコーはそう叫んだ。その時、ハーヴィスは答えた。
「貴方は守る剣を持っていないのか? 」
「どういうことだ……? 」
距離を置いて、息を整えつつ、ラスコーは答えた。ハーヴィスは剣を構えながら言った。
「貴方の大切な人が、貴方を待っている。なのに、貴方はここで死ぬ気か? 」
「!!! 」
ラスコーの心に迷いが起きた。その時に思い起こされたのは、マサムネの姿だった。ラスコーの戦う意志が弱まったところで、ハーヴィスは剣を引いた。驚くラスコーの前で、ハーヴィスは頭を下げた。
「ラスコー殿、今回は我々の” 負けだ ”だから兵を引いて欲しい」
「……わかった」
ラスコーはそう言うと槍を引いた。正直、不本意だったのだが、この状態ではまともに戦えそうになかった。
「次こそ決着だ……」
「ああ、次は容赦しない……」
ラスコーの言葉にハーヴィスは答えた。その時、二人の間に何か通じるものを感じたのだが、二人は敢えてそれを言及しなかった。
「皆引き上げるぞ。帰ったら再訓練だ!! 」
そう言うと、ローヴァス軍は本国のある街道を歩いて退却していった。エルベリア軍に見送られながら……
(クソッ、何ということだ……天下のローヴァス軍とあろう者が、このような退却を許すとは……)
先頭を歩くラスコーを睨みつける一人の戦士がいた。彼の名前はユーシス、ユーシス=アルベリウス。今回のローヴァス遠征で新たにラスコーの軍に編成された若き将校だった。逃げるローヴァスを何もせずに見送るエルベリア軍、その姿はとても異様だった。そして、エルベリア軍は、彼らが確実に見えなくなるまで、その姿を見送っていたのだった。
「マサムネ、どこに行った……」
ローヴァス軍は、本陣があった場所に着くと、即席のキャンプを作り、そこで一夜休むことにした。一応、エルベリアからの攻撃はないだろうが、念のため、見張りを付ける。その一方、捜索隊を編成し、ラスコー達はマサムネを捜索した。しかし、そうそう見つかるわけではなく、捜査は難航した。焦るラスコー、声を張り上げて呼び続けた。しばらくすると、滝の音が聞こえる。そういえばこの渓谷には美しい滝があるらしい。
「そういえば、ここの水は綺麗だから、もしかしたらその水を飲んで飢えをしのいでいるのかもしれない」
ラスコーは滝の音が聞こえる方向に歩き出す。段々と滝の音が大きくなる。すると、轟音と共に、滝壺が姿を現す。さすがは天然の要害。天を貫くような高い崖から大量の水が轟音と共に降り注いでいる。大量の水しぶきが濃い霧となり、視界が全体的に白い。その時ラスコーはあるものが見えた。
「ん? あれは……」
よく見ると人影が見えた。その人影は滝壺の隅におり、自分の体を優しく洗っていた。肩まで濡らした髪は、肌に吸い付くようについている。何より、肌が真っ白でとても美しかった。まるで白い妖精を見ているかのようだった。ラスコーはその姿に釘付けになる。
「だが、どこかで見たことがあるような……」
ラスコーは不思議に思った。しかし、あのような姿を見たこともない。悩んでいると、湯浴みをしている人物の脱いだ服が見える。その服を見たとき、やっと分かった。マサムネのようだ。それで合点がいった。
「おーいマサムネ!! ラスコーだ!! 探したぞ!! 」
ラスコーは思いっきり声を張り上げた。……と同時に悲鳴が響き渡る。
「ウワアアアアア!! 」
その声と同時に、石が飛んできた。え? 石が?
” ゴツン!! ”
鈍い音と共に、ラスコーは気を失ってしまった。
しばらくすると、ラスコーは目が覚めた。おでこに鈍い痛みを感じる。たんこぶが出来たようだ。
「あ、お、俺は……イテテテ 」
「あ、ラスコー……ごめん驚いて……」
驚いて、石を投げるのは十分恐ろしい。だが、マサムネは申し訳なさそうな顔をしてラスコーを介抱していた。ラスコーは体を起こして、マサムネの横に座った。しばらくの沈黙、後ろからは相変わらず、滝の轟音が聞こえる。それが二人の沈黙を和らげた。
「あ、せ、戦争はどうしたの? 」
「……あ、ああ、何か、エルベリア側が自分たちが負けたから、俺たちの勝ちということで、見逃してやるとか言ってきた……」
「……そっか……」
ラスコーは簡単にマサムネに状況を伝える。完全に包囲され、突っ切ろうとしたら、ギルト、その他の将校二人、土民の族長と共に、ハーヴィスが現れた。ラスコーは彼と一騎打ちをしたが全く歯が立たずに、負けてしまったことなどを悔しそうに呟いた。マサムネはそんな彼を沈んだ顔で見つめる。
「ごめん、ラスコー……僕がいながら……」
「いや、包囲されたのは俺のせいだ、お前は悪くない」
ラスコーにそう言われるが、マサムネは首を横に振る。
「僕が、本陣を潰されたから、だからこんなことに……」
段々と自分の計略が失敗し、エルベリア軍から花を持たされた事に対して、自覚をしていく。それと同時に涙が出てきた。こんなに悔しいことはなかった。その時、ラスコーはマサムネの肩をそっと抱いた。
「……あ……」
「マサムネ、俺は、ハーヴィスと戦っていた時に、こう言われた」
” 貴方は守る剣を持っていないのか? ”
” 貴方の大切な人が、貴方を待っている。なのに、貴方はここで死ぬ気か? ”
その言葉を聞いたとき、マサムネの肩がビクッとなった。小さな体がもっと小さくなる。ラスコーはマサムネを強く抱いた。
「すまん。その事を聞いたときに、真っ先に出たのが、お前の顔だった……」
「え……!!? 」
マサムネは目を見開いた。至近距離にラスコーの顔が見える。
「俺は、その時に、また、ハーヴィスに負けた……」
ローヴァスの兵士皆が見ている中、矛を納め、その場を立ち去った。その思いは、負けを認めたと同時に、己の誇りを捨ててしまった瞬間でもあった。が……
「俺は、気がついた……俺は、もうこんな気持ちをしたくない。マサムネ、俺は今後どんなことがあっても……」
”どんなことがあっても、命を掛けて、お前を守る!! ”
ラスコーは驚きの表情のままのマサムネにそう言った。すると、マサムネの顔がみるみるうちに赤くなっていく。だが、目をそらさなかった。
「あ、ありがとう……ありがとう!! ラスコー!! 」
そう言うと、マサムネの目から涙が出てきた。すると、段々とマサムネは本心を打ち明けた。
「本当は、本当は怖かったんだ。心細かったんだ!! ハーヴィスに本陣を潰されて、悔しくて……この森に逃げたけど、一人で、寂しくて、悲しくて……その時、ラスコーのことばかり……」
そう言うと、ラスコーに抱きついた。抱きつくと同時に大声で泣き出した。いつもは強がるマサムネだが、この時はまだまだ若輩者だということを再認識できた。ラスコーは優しい気持ちで、マサムネを抱きしめる。しばらくマサムネは泣いたが、落ち着くと、ラスコーから離れる。
「グスッ……ごめん、ラスコー本当に、本当にありがとう……」
マサムネはそう言うと満面の笑みを見せた。とても眩しく、そして綺麗だった。ラスコーも自然と笑顔になる。マサムネは笑みを見せた後、ラスコーの手を取った。
「ラスコー、僕はまだ、君に全てを話していない……」
「え? 」
深呼吸をして、ラスコーの手を両手で包むと、額に当てる。じんわりとマサムネの体温を感じる。
「ローヴァスに帰ったら、隠し事はもうしたくないから……全部話したい……ラスコーだから……」
” 僕を守って…… ”
ラスコーは頷いた。二人は見つめ合うと、何故かクスリと笑いあった。何故だか笑いがでた。胸に支えたものが取れた瞬間だからかもしれない。とても清々しかった。
「じゃあキャンプに戻ろう。遅くなった」
ラスコーは立ち上がる。すると、マサムネは思い出したかのように、顔を真っ赤にしてラスコーを見ていた。何故かその顔はとても可愛かった。
「ラ、ラスコーそう言えば、僕の裸見た? 」
「は? 何を言ってる? 後ろ姿が見えただけだから問題ないだろ。それに男だから裸なんてどうでも……」
「バカアアアァァ!! 」
マサムネの声と共に、ラスコーの頬に綺麗なモミジが出来上がった。その後、二人はキャンプに戻った。慌てて、迎えに来たチョメ助の前に、ラスコーは気まずい顔、マサムネは耳まで真っ赤にしてうつむいた顔であった。その姿を見たとき、チョメ助はかつて、エルベリアで、ギルト邸に戻ってきた時の、ハーヴィスとマサムネを思い出した。
「……何があったの? 」
「知らない!! 」
「知るか!! 」
チョメ助の問いに、何故か二人は顔を真っ赤にして怒っていたのだった。
以降 4




