Uパート
郵便配達がいよいよ本格化される業務。
お前に任したぞって思われるのが、”書留”・”簡易書留”……などの重要な郵便物を任されてからです。
始めに言うが、書留を配ったことがないで仕事を辞めている方なんて結構います。
配達ルートや家の並び、郵便物の取り扱い、あとはどの仕事も同じな人間関係の色々……。
「今日から森橋くんには書留をやってもらいます」
「は、はい!よ、ようやく。みなさんと同じような仕事ができます」
ともかく、”書留”の全般を任されてたら、ほとんどの配達員と並ぶということを覚えて欲しい。配達するお仕事の種類はこれまで……。そして、”書留”をやるに辺り、新人さんが他班との交流を深めることとなります。辞める人と仲良くする理由はございませんからね。
短編などでちょいちょい出したかったけれど、出せなかった新キャラのご登場になります。
ピンポーンパンポーン
『書留の準備が整いましたー。12班から取りに来てください!』
局のやり方は色々ありますし、配送トラックの到着時刻や郵便課のスピードにもよりますが……。こちらは9時半頃にご用意されています。
放送が掛かったり、フライングして取りに来たりと様々ですが。そこは局によって、ホントに異なります。
「書留をとりに行く前に、机の上を整理しておけ」
「じゃあ、このコマを組み終えたら……」
「そうだな。終わったら、一緒に行こう」
放送が掛かったからといって、机の上が”通常郵便物”を組立中の場合は、そのコマを終わらせてから行きましょう。理由は、”通常郵便”と”書留”をゴチャゴチャにしちゃう可能性をわずかでも潰すためです。
これはしていないと”書留”を取りに行きづらいですから、普通の動作になると思います。
「73区の書留をお願いします」
「はーい。73区、北砂流町1丁目ですね」
配達担当者さんが専用の書留ケース(大きい奴)を持ち、郵便課の方に伝えて……持って来てもらうわけで
「書留は23本か」
すぐに書留の総数を数えましょう。
自分のところでは、書留をその場で数えるために長机が用意されており、担当者はそこで数えてから戻ります。
「数だけでいいんですよね?」
「うん。あとで”書留”の種類について、教えるからね」
先ほど、班ごとに放送が掛かると言ったが……基本は複数の班が同時に呼ばれる。今までなら自分のところの班だけに集中していたが、ここらへんから他班の様子が分かりやすくなる。
森橋くんが採用されてやってきたように、別の方も何人かやってきて、それを指導する者達。
「どーよ、実。新人くんの様子は?」
「困っていることはある?」
新人さんが覚えて欲しいのは、他班の班長達である。これは書留の1種類、”特別送達”と呼ばれる種類の書留を配達完了時に、頼み込むからである。
それから課長席にいる皆様の顔と名前も覚えましょう。あの人達は、部長以上に身近な味方であり、トラブル次第じゃ強大な敵にもなります。
……計画席の連中はどーでもいいです。作者はあいつ等、大嫌いですし、使えねぇ連中と思ってます。そーいう部署だって思っているので、目指したい奴は変わりもんだなと思います。
そろそろいい加減、同僚や先輩のみならず、関わる人達の顔と名前を覚えましょう。
「堀山班長と江渡副班長。森橋くん、見かけていると思うけど、改めてこの二人を紹介するね」
書留の順番はまだだろうって思いながらも、実はここで森橋に紹介してあげる。
二人共、相当な配達員であることを認めているからだ。
「こちら7班の班長、堀山班長」
「よーっす!困った事があれば、我が力を貸してやろうぞぉ!何分、暇を持て余しておる!この頭脳に刺激を与えられぬのか!?」
「……………」
一人称が我……?
随分と変な人が班長をやっているなーって思う森橋に、当たり前だと思うが、
「江渡副班長でも治せないほどの痛すぎる中二病のおっさんですが、……お仕事は確かな方です。業務中は人間になって配達されてます」
「はっはっはっ、趣味はなんたって、ゲームや漫画、アニメ作りとした創作関係!!こう見えて1児のパパだってやっている!!とはいえ、若さを保つために勉強と運動はするものだろう。為になっている」
「お子さんはもう中学生卒業でしょう?」
自らを中二病と昂って宣言するほどのおっさんであり、元気一杯の方。木下が気の良いおっさんなら、堀山は変な良いおっさんである。人間的にはどうやねんって思える人であるが、仕事に対しては非常に真面目であり、その根拠。
「仕事を真面目にやらねば、この闇の中二病が発揮できんのだ!!今、我は新作を考えておるところ!!」
……あえて言うなら、配達時は一人で仕事をしているから、考え事をするなら丁度良いお仕事であるってことだ。
そして、もう一人。
「こちらが10班の江渡副班長」
「怪我をしたり、体調が悪かったら、私に聞きなさい」
「え?」
「江渡副班長は、4年前まで医師として働いていたんです。凄い名医だそうですよ」
元医者という経歴を持つ、江渡副班長。
この郵便配達の業務歴はたったの3年ほどであるが、中途採用からすぐに職員へ、そして一気に副班長に任じられるほどの逸材。森橋と歳が近い山口も、勤め始めて4年だが……そんな出世はないだろうし。若くもない方だ。
「そうそう、怪我した時や落ち込んだ時は江渡さんに頼んだ方がいいよ!この人、すげーんだ!!」
「2人共、私より年上です。木下さんの下世代が堀山さん、そのさらに下世代が江渡さんといったところでしょうか?」
「よ、よろしくお願いします」
中年の人でもこんな出世ができたり、変なまま生きていられるのかーって思う森橋くんであった。
◇ ◇
「7班と10班のところにも新人が来てるんだよ」
「そういえば、同期がそこに所属でした」
同期だと、歳の差が関係なく話をしたりもした。自分はこのお仕事に苦戦をしているけれど、他の2人はそうでもないとか。
配属された職場は、新人に限らず、ベテラン勢にも分からないものだ。
森橋くんはじっくり教えられる指導に対して、他の2人はテンポの良い教え方のようだ。自分より先に書留を触っているようだ。
「1日、2日なんて、誤差だ誤差」
同期の覚えなんて大したことはないです。そして、先輩の出来もまた同じである。
森橋くんはまだ、他班の状況なんて知らない。郵便局に限った話ではないが、担当地域によっては仕方のないかなりのアンバランスがあります。
「じゃあ、書留について色々と教えようか。書留をやってから本番な」
「今までお前の書留を俺達が配っていたからな。けっけっけっ」
先輩達の嫌な笑顔。
新人を教える時に困るのは、”速達”やら”時間指定”、”書留”の配分である。”書留”が終われば、その応援には困らなくなる。そして、ようやく先輩達の大変さというのが分かる。自分の配達地域が終わってから、お前のところに飛んでいくのはかなり大変なのだ。
「総数は合ってたろうな?」
「はい。23本です」
これは完全に内部の話になりますが、区ごとに書留が配布され、”交付票”と呼ばれる今日配達する書留の情報が纏まった紙がついてきます。
チェックするのは書留の”総数”と代引きや料金収納の”値段”。あとは配布される”区”のコードです。
森橋くんは73区の担当であるため、あらかじめ端末で73区コードをセットしてから、”交付票”を読み込ます。
今日の中にはなかったですが、郵便課は区ごとの事情なんか知りませんし、彼等も誤って誤区分を致します。そのため、別の地域の書留が入っている場合は、すぐに担当の区に移動しましょう。通常郵便と違って、自分で”交付票”を作成する必要があります。
ジ~~~~~ッ
「おらぁ、行ってこ~い、矢木~」
「ちぃっ!自分が行け!場所知ってるだろ!」
木下のところに、矢木の地域の書留があったので、”交付票”を作成して渡す。
言い忘れた事だが
「他区の”追跡郵便”は、ちゃんとそこのところの担当者さんに直接渡せよな(少なくとも、周りの人に報せること)」
「分かりました」
「書留の場合は特に”数が合わねぇ”と大問題だからな!それは他のところの”書留”でも同じだ!」
”書留”の数が合わないという日は珍しくはないですが、結局、見つかってたりすればいいのです。そこらへんは大雑把でいいです。郵便課のお仕事です!
一番に言われることは
「まず、失くすな!落とすな!……書留の”紛失”は局で年に2,3回はある。大抵、新人や勤務歴が短い人だ!」
「き、気を付けます」
「あと、木下も年1で無くす。(見つけるんだけどな)」
「数が合わない時は、まず落ち着いて、もう1度数えろ。……で、合わなかったら。まずは俺達に言え!!そこから課代席に報告するから!恥ずかしがるな!一人で捜すより、二人で捜した方が早い」
……これが難しいんです。
数が合わない時に、一人でもう一度数えるのは簡単なんですが。それでも合わない時に、他のメンバーに報告、ましてや上司に言うのって難しいです。
ビックリして怒られます。当たり前です。”書留”や”ゆうパック”は、他との扱いが大きく異なります。
受取人はなぁなぁな態度で許してくれる事はありますが、差出人はガチギレです。話がちゃうやんって事です。
基本は失くさなきゃいいんですが
「最悪な時こそ、すぐに最良の動きをしてください」
緊急事態で平然とできるのは、”場数”が必要です。新人は所詮、新人なんです……。前回の誤配の話がそうですが、自分が気を付けましょうしか回答できないですから。
書留の取り扱い、及び、基本以前のお話はここまでとして……。
「これから書留の受け入れから配達までをやるんだが、局によって、人によって、やり方が違う。会社側はハッキリ言うが、配達員のやり方に任せている。……ミスしなきゃ、何をしても許される。それくらいの緩さがある」
「ですから、新人が取り扱うやり方はお堅いと思ってください。最低限の注意事項をこなしていれば、問題ありません」
先輩達はパッパッとやっているのは、”自分をよく知っている”って事が大きいです。いつも、こーいう仕事を毎日やっていますから。”慣れ”って奴です。
順序も人それぞれですが、まずは……
「”交付票”を読み込みなさい」
ピッ
1.交付票を読み込みます。
この交付票を読まないと、他区の書留を移動できません(すぐにする必要ないけど)。
「書留を”道順組立”してください」
「もう配達ルート覚えたから、余裕だろう?」
2.書留を”道順組立”します。
この時に”居住確認”も行いましょう。新人の内は、しっかりと”配達原簿”で確認しましょう。もう一度言いますが、新人の内はしっかりと”配達原簿”を確認しましょう。
長い事働いていると、”いるだろう”という意識で”居住確認”を怠ります。また、複数の区を任されるとその確認が自然と疎かになりがちです。
一軒家が引っ越すとかは現地で気付きやすいですが、集合住宅の入れ替わりはまずできません。
書留の、こちら側の過失は大きなペナルティになるので、新人の内から確認する癖をつけましょう。
「”受入入力”していって」
ピッピッピッ
3.書留を受入入力する。
”道順組立”をしてから受入入力することで、すぐにどの書留なのかが把握しやすくなります。
これは書留を失くした時の対策の1つです。書留を紛失した時は、その書留をすぐに特定することが大事になります。
「書留の住所と氏名を紙に記入して」
4.書留の住所と氏名をメモしておく。
書留を失くした時に特定しやすくなり、頭の中に残りやすいです。個人的に新人の内はメモをすることが良いです。書留を失くすと大問題ですが、配達証を失くすというケースもあります。その時、書留のメモをあると特定がしやすいです。
「午前分・午後分と分けてね(この時、時間指定をうっかり置かないように)」
5.午前分の書留。午後分の書留を分けておく。午後分は書留専用のロッカーへ。(事故処理する書留もここへ)
これは書留を落失、紛失を防ぐためのリスク管理です。局に保管しておくことが、落失や紛失を防げます。
ただし、午後の配達に出る際には、午後分の書留を忘れないようにしましょう。現地に行って、局に書留を忘れたって事はそこそこあります。
「この5点くらい覚えておけばいい。局によってはやってないし。慣れてる人は自分流にアレンジしてるけれど、会社のやり方に沿って、間違った場合は会社側も考えてくれる」
「自分流にやってミスした時は、酷く怒られると理解してください。書留は責任重大です」
……新人がこーいうミスをした場合、クソ怒られるのは指導者です。書留をやらせる時はハラハラです。
どんな仕事もそうですが、指導って楽じゃないんです。そんで今はパワハラなんだとか言われるご時世ですから、余計に指導を好んで引き受ける輩は少ないと思います。新人さんは後輩ができたら、その苦労が分かりますよ。ウザい事を書いてすみません。
「結構、面倒ですね……新人はいつもこれしなきゃいけませんか」
「最低1年は我慢してやってくれ。自分流も身につけてねぇのに、勝手をやる奴は多いんだ」
◇ ◇
ブロロロロロロ
「おっし。着いた。じゃあ、書留の配達を教えるぞ」
書留の種類についての説明をしたい。
そこは内務作業では分かりにくいので、実演形式として、森橋は山口と一緒に配達をしていく。
実際やると分かるんだが、
「基本は”簡易書留”しかねぇんだが、今日に限って上手い事、全種類揃ったから教えるぞ」
「分かりました」
「本来なら、”特別送達”と”代引き”、”着払い”、”料金収納”、”本人限定”は教えるのが早いんだけど、ペースを上げねぇと終わらねぇ」
「それはこの作品の都合ですよね?」
新人の内にまず任されるのは
”簡易書留”、”書留”、”配達証明”、”国際書留”、”現金書留”の5つだと思います。……ただ、”現金書留”は書類かなにかを書く必要があったかと思います(うる覚え)。中身がマジの現金なので、新人に任せるのは試用期間を過ぎてからだったと思います。(特別送達とかと一緒)。
「この5つは処理はほぼ同じだ。昔は不在票が国際だけ違ってたけど、今は統一されてっから」
この作品の時代設定としては、書留と追跡郵便の不在票と、定形外と国際書留の不在票は別々です。今は統一されていますが、昔は分かれていました。
そのため、片側の不在票だけ足りないって事もありました。
それと”定形外”や”追跡郵便”の不在期間は、1週間。”国際郵便”、”国際書留”、”EMS”の不在期間は、15日間です。
「この辺の処理はまだ説明してなかったな。たま~に、慣れてる奴でも間違えてるのがある」
「国際ってあんまり来ないですからね。在宅してたら不在にならないし」
「書留をやり始めてよく分かるだろうが、”再配達”の不在が面倒なんだよ」
お客様がいない事でイライラするというのは、よ~ある話です(作者は特に気にしませんよ)。
ただ厄介なのは、”不在期間”を調整しなきゃいけない事なんです。基本の初回は7日ですが、再配達で不在となった日と保管期間の日を合わせる作業がダルイです。
みんな癖で端末を連打したり……、昔は定形外と国際の不在票は手書きで記入するタイプで、月を跨いだ不在票の記入は書きミスをします。2月とか面倒なんです。
「ゆうパックも種類によっては、”不在期間”が5日。3日とかある。……俺達にとっちゃ、”本人限定”が一番厄介だな。”本人限定”の不在は勘弁して欲しいぜ(俺は本人が帰って来る時間を家族から聞いて対応してる)」
不在期間の例外が、”本人限定”です。
これはちっこい付箋で保管期間が載せられてます。これが外れやすくて、現地で無くしたりします。また、頼む人によっては保管期間ギリギリだったりします。作者が”本人限定”の不在を嫌う理由として、”本人じゃない”といけない点で、その日、その時間、以降では難しいケースが多いです。しゃあない時はありますが、時間が早すぎる時のお伺いの時はもう一回伺ってます。
「そんなわけで”書留”の配達の仕方について教える。ゆうパックと大差ねぇけどな。もう森橋くんはやってるから問題ねぇよ」
指導者によると思いますが、ゆうパックの方が先に教えられるかと思います。やり方はそれと同じで概ねOKです。
ジ~~~~ッ
「端末とプリンタで配達証を作る。事前に入力された”配達地域”の情報が、配達証に印字されるわけだが……これは最初からセットされてると思う。補足程度にするぞ」
書留の配達証に記載されているモノ。
1.年月日。
2.配達地域の情報。(ここは受入入力画面で設定できたり、印刷前に直接打ち込み可能)
3.追跡番号。
4.署名及び受領印の欄
5.担当者
配達証は裏面を剥がせば、シールになっている正方形の紙です。
この性質はよく覚えておきましょう。配達証同士、くっつくことも珍しくありません。
「端末で完了入力をすると、”印刷しますか?”の質問が出るから、印刷……。そして、お客様に判子ORサインをもらう。下の欄でフルネームな」
「分かりました」
「……ってこの場では言うが、フルネームのサインをもらうのはかったりぃんで。状況によっては、”苗字”だけで良いって言ってるんだよな。”簡易書留”ならやべぇのは、チケットぐらいなもんだ。判子は苗字しか分かんねぇだろ?フルネームは意味ねぇじゃんって分かるだろ」
作者も面倒なタイプなので、絶対にフルネームにして欲しいという郵便物だけ、お客様には言っています。
というかね。やってる人はよく分かるんですよ。
「そもそも、お客様が自分のサインを書かないで、受取人の名前を書くケースが多い。……OKにしとくけど、あれは本来、ダメだからな?」
なんで署名をもらうかって話をすると、受け取った奴をお互いに知りたいわけで……。今まで一度も起きた事はないんですが、……例えば、旦那名義の書留を、明らかに奥さんが受け取るのに、そのサインを旦那名義で記入するケースは珍しくないです。受け取る奥さんとしては旦那のモノだからって認識かもしれませんが。
こっちの配達員の都合を考えてもらえると、誰が受け取ったかを知りたいんです。
これはフルネームである必要性は特にないんです。例えの続きになりますが、旦那さんが受け取ってない場合は、必ず連絡が入って、自分の名義のサインである事を”電話”で伝えるとオカシイ話になるでしょう?直接、配達証を見せる事はないと思いますよ(実例に遭った事がないため)。
「”書留”と”ゆうパック”は無事に届けば、変な文句すら来ねぇからな。ただ、年に1度あるのだが、誰が受け取ったのか教えて欲しいという申告についての対応だ」
この手の場合。だいたい、判子でもらっているケースが多いです。こーいうご申告が個人じゃなくて、会社でされることもあるんですよね。めっちゃビックリします(3度ほどあります)。
その時の対応としては、受け取った人の名前を言うのはもちろんですが、……どんな人に渡した?という問い合わせがあります。それが1日2日なら覚えてたりしますが、数か月経ってると曖昧です。
「警戒するべきは、ご高齢とお子さんには気を付けろ」
不着申告の時。両親よりも、その家族関係やお子さん達が持っていたりするケースがあります。
悪くは言いませんが、渡した後で配達証にでも
『爺』『子供』
などの渡した相手の印象を記載すると効果があります。
まず、そーいう申告が来ることはまったくないのですが、お客様を信じちゃいけません。”不着申告”はお客様を信じない事から始まるのです。
もう一つに
「今は会社で判子をもらう書留だが……。実際に高齢者や子供が、ちゃんと署名できるかどうかは怪しい。大人でも鉛筆でサインする奴いるからな。サインペンや色違いのボールペンはギリギリ許すけれど」
高齢者の場合、手や神経に障害があって、上手くサインできないケースが多いので。無理にフルネームをもらうのは避けさせているところもある。判子を常に玄関前に用意しておきなさいって思いもしますが、グッと堪えます。酷い時は、配達員がやってたりもします。自分で書いちゃいけない決まりですが、手をまったく動かせない人にサインをさせるというのは、シンドイのです……。介護職や飲食職を務める方の方が気持ちが伝わると思います。人間、なかなか動かないのです。
「配達証をお客様に渡す段階はそこまでかな。無理に警戒する必要はねぇ」
絶対にフルネームでもらっても意味はないし。
渡す相手はちゃんとしているかどうかの見極めが必要ということ。
場合によっちゃ、自分が書いてもいいように……これは現在、”置き配”が流行ってるせいで、たまにあるのですが。
自分から言うと、書留の時はなるべく出てきて、サインをして欲しいです。
今のところはこの経験がないのでどうなるのか知りませんが、”置き配”で荷物が無くなったというご相談は、……知らねぇーよとしか答えようがないのに、やたらお客様が粘ってくるので、それが書留になった場合は想像したくもないです。……という気持ちです。
奥さん
『書留!?ポスト入れて!!今忙しいの!』
自分
「分かりました。旦那のですからね!(だったら、出て来るなや)」
旦那
『なんで書留をポストに入れてんだよ!?』
自分
「奥さんがそうするように言ってましたよ!!(なんで受け取ってねぇんだよ!)」
すぐに納得してもらったのですが。家族同士でコミュニケーションをお願いします。こちらはこんな電話をもらいたくないです。
というわけで、キレる方が目の前にいる……。
「さっさと配達証を出せや!!私が判子を押せないでしょ!!目の前で仕事の解説なんかしてるんじゃない!!こっちだって仕事あるのよ!」
会社の受付さんの前で、書留の説明をしだしたり、作者の意見なども書いているせいで……そりゃあ、チンタラし過ぎでキレるよね。
「「すみません」」
会社の判子をもらう。今日はここに1通だけだった。
これだけのことで長々書いたのには、続きがある。こっちが一番大事。
「さっき言った、”配達地域”についてなんだが。ここに”北砂流町1丁目”って書いてあるよな」
「はい」
「配達が完了したら、その欄にしっかりとここの住所を記入してくれ。新人の内は、絶対にやれ!!ぶっ殺すぞ……」
「怖い事、言わないでください」
面倒だけれど、新人は絶対にこの住所の記入をやってください。これは新人だけじゃなく、ベテランも普通にやってます。忙しくないなら作者もやりたいものですよ。会社の基本動作として、言われています。
「よし!じゃあ、その理由を言ってみて」
「それは」
どうして、”配達完了”をしたところの住所を記入するのか?
これは前半部分で言っていた、誰が受け取っているのか、サインや受領印のどうたらが半分です。そこはお客様目線なので答えには入りません。
「ちゃんと自分がそこに訪れたのかどうか、記録するためでしょうか。お客様が間違えることもあるし、俺も間違える可能性があるからですよね。俺もこの前、大倉さんのゆうパケットを誤配したからです」
「おっし!100%!!」
……悲しい話ですが、取り扱っている数に差があることです。
「散々言ってる”誤配”の可能性を少しでも減らすため、気付くためだ」
”書留”や”ゆうパック”の対面誤配なんてあるわけねぇと思いたいですが、普通に起こります。直前で気付けば良い話ですが……。
”配達完了”をした住所を配達証に記入するのは、徹底してください。新人の内は、1区任せなので、大したことではないのですが。2区や3区……”夜勤”までこなすようになると、住所をちゃんと確認する癖がないとダメです。
そして、散々、誤配をするなって口酸っぱく言うのは、”通常郵便”で誤配する奴は、”書留”も誤配する可能性が高いです!このシリーズでそれをやりますが、桁が違いますからね?
「じゃあ、配達証は?」
「書留カバンのクリアケースに入れるんですよね?」
「うん(ここらへんはマジに書くと長いから、あとで長々やるか。1通じゃ意味ねぇし)」




