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俺の彼女は姉です嫌です助けてください  作者: Melon
第1章

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3/3

作戦

 次の日、俺が彼女に姉のフリをさせているという噂が広がっており、周りからドン引きされた。

 朝からずっと、周りからの視線が痛かった。


 そんな苦痛な時間を耐え、五時間目の授業を迎えた。


「あー痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!」


 校庭での体育の授業中、俺は腹を抑えて倒れ込んだ。


「どうしたー! 神谷ー!」


 体育教師が慌てて俺の元に駆け寄る。


「な、何故か分かりませんが、お腹が痛くて......! 給食でお腹を下したのかも......! すみません! 保健室で休んできます!」


 俺は立ち上がり、保健室へと走って向かった。


「な、なんだあいつ......」



「うーん......。熱は無さそうね......。まだお腹痛い?」


 保健室のベッドで横にっている俺の脇から、体温計を取り出す保健室の先生。


「め、めっちゃ痛いです......! 病院に行かないとダメかもしれないです......!」


「そう......。じゃ、担任の先生に早退するって伝えておくわね。一人で帰れるかしら?」


「だ、大丈夫です......!」


「分かったわ。じゃ、帰れそうになったら、自由に帰っていいわよ。それと、一応保護者の方に連絡しておくわね」


「は、はい......! あ、もう帰れそうなんで帰宅しちゃいますね......!」


 俺は起き上がり、カバンを持って保健室を出た。


「......もしかして、サボりかしら?」


 俺は駆け足で校舎を出て、駅へと向かった。



 昨日、俺が家で考えた、姉さんを避ける作戦。

 それは、学校を早退し、隣町へ逃げる作戦だ。



 駅の眼の前まで俺は、周囲を見渡す。

 念のため、姉さんが居ないかどうか確認したのだ。


「......マジかよ」


 居た。

 姉さんが居た。

 駅の入口でニコニコとしながら、俺を待ち構えていた。


「ど、どうして......!」


「お姉ちゃんなんだから、分かるに決まってるでしょ? 最近、英治のことをだんだん思い出してきてさ。英治って、私から逃げる時って、近くに隠れるよりもひたすら遠くへ逃げるなぁ、って......」


「な......! そ、そもそも! どうして俺が学校に居ないことを知ってるんだ!」


「なんでだと思う?」


 姉さんはニヤニヤしながら、俺のことを見つめる。

 分からない。

 どうして、俺が学校を早退したことを知っているんだ。


「......保健室の先生、なんて言ってた?」


「保健室の先生? 確か、担任の先生に伝えるってのと、保護者に......!」


 俺は気が付いた。


「昨日、保健室の先生に会ってね。私たちの両親が体調不良だから、しばらくの間は姉の私が保護者の代わり......って伝えたの! 私があそこの卒業生って分かったら、疑うことも無く対応してくれたよ」


「そ、それで......」


「当然、私から逃げるために英治が早退したら、保護者の代理人である私に連絡が来るってわけ!」


「な、なんて執着心だ......! そこまでして実家に帰りたいのか......! というか、昨日もそうだけど仕事は!?」


「まぁまぁまぁ、そんなことは置いておいてさ。どう? 私と付き合う気になった? 社会人の私から、中学生の英治が逃げられると思わない方が良いよ?」


 姉さんは俺の手を握り、引っ張る。


「ほら、英治に相応しい彼女になるために、お洋服とか、色々買いに行こう!」


「嫌だ! 放せ!」


 俺は手を離そうとするが、びくともしない。

 まるで、強面の男性に手を握られているようだった。


「さ、お買い物にしゅっぱーつ!」


「いーやーだー!」


 俺は姉さんに引っ張られながら、買い物に付き合わされることになった。



 姉さんに連れてこられたのは、安価でお手軽なことで有名なブランド店だった。

 店内に入っても、姉さんは俺の手を放そうとしない。

 俺が逃げる隙を伺っている一方で、姉さんは楽しそうに服を見て回っている。


「ねぇ、どれが良いと思う?」


「どれでもいいって! 何選んでも今よりマシだろ!」


 姉さんのシワシワなパーカーとジーパンを見ながら言う。


「ちょっと! 彼女の服だよ!? どれでもいいって、適当すぎない!?」


「彼女じゃないだろ!」


「あ、良い服発見!」


「ちょ......! 話を聞いてくれ!」


 姉さんの強靭な力でズルズルと引っ張られ、店内を無理やり見て回っていく。


「お父さんとお母さん、どんな感じの服が好みだっけ......? ねぇ英治、どの服なら印象良いと思う?」


「絶対に、教えない!」


 両親が好みなデザインを教えてしまっては、変装した姉さんのことを受け入れる可能性が上がってしまう。


(ん? まてよ......?)


 ということは、逆に嫌いそうな服を選べばいいのではないか。

 そうすれば、彼女面して家に戻ってきたとしても、親が姉を引き離してくれるかもしれない。

 俺はそんなことを閃いた。


「......派手な色で、露出が多い服が好みだったと......」


「嘘付かないの! 私が両親の嫌いな服装を忘れたとでも思ってるの!?」


「クソっ!!!」


 姉さんは、俺に都合の悪いことだけ的確に覚えていた。


(......待てよ?)


 こんなことをしなくても、もっと楽な方法があるではないか。


「......分かった。俺、諦めるよ」


「英治......?」


「俺、姉さんを受け入れるよ。そして、実家で二人仲良く、楽しく過ごそう」


「っ! 英治ー!」


 姉さんは、俺に強く抱き着いた。


「ちょ、待て......! って、痛い痛い! 力が強い!」


 しかし、余程嬉しかったのか、姉さんは俺のことを離そうとしなかった。



 そうだ、わざわざ逃げる必要などない。

 むしろ、俺が観念したフリをして、早急に実家に連れ込んだ方がいい。


 そして、両親の前で言ってやるんだ。

 俺の隣に居るのは、両親が過去に追放した姉さんの音々だと。

 そうすれば、両親が姉さんを無理やり引き離してくれるはずだ。

 俺にとっても、両親にとっても、俺の恋愛を邪魔する姉さんは、排除すべき対象のはずだからだ。

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