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【完結済】俺の彼女は幻かもしれない  作者: Melon
第3・7章 謎・不安

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七瀬の誕生日会の計画

 ある日、七瀬が学校を休んだ。

 俺は授業が終わり次第、走って七瀬の家へと向かった。



 インターホンを押し、七瀬の母さんに軽く挨拶をし、階段を駆け上がる。

 そして、七瀬の部屋の扉を勢いよく開けた。


「正道!」


 部屋に入ると、七瀬の姿は見えなかった。

 その代わり、山のように膨らんだ布団が、ベッドの上にあった。


「......寝てるの?」


 様子を確認するため、布団へ近づく。

 すると、布団の端っこから、七瀬が顔を出した。


「あ、起きてたんだ」


 俺は七瀬の調子を確かめるため、顔を確認する。


「顔色はそんなに悪くなさそうだね。良かったー」


 七瀬が無事であることを確認し、安堵する。


「まぁ、そこまでは悪くないよ。明日は学校に行けると思う」


「そうなんだ! ......正道が居ないと寂しいからさ」


「......悪いな。休んじまって」


 七瀬が落ち込んでしまったため、必死に頭の中でフォローする言葉を考える。


「仕方ないよ! 調子が悪かったんだし......。あ、そうだ」


「どうしたんだ?」


「あんまり言いたくなかったらいいんだけどさ......。どんな感じで調子が悪かったの? 例えば、前みたいに意識を失った、とかさ......」


 もしかしたら、心配をさせないようにしているのかもしれない。

 そう思った俺は、そう聞いてみた。


「あー......。今回はそんな大ごとじゃないよ。ただ、目の調子が悪い気がしてさ。なんか、ここ最近見間違えが多くなった気がしてさ。学校を休むほどでもないと思ったけどさ、少し心配だったから......」


「......見間違え、かぁ」


 そう聞いた瞬間、俺は思った。


 七瀬は回復してきたのではないか。

 勉強から一時的に離れ、精神的ストレスが無くなったことにより、幻覚の症状が軽くなってきたのではないか。


「ちなみにさ......」


 俺は本当にそうなのか、それを確認するため、質問することにした。


「人を見間違えたりとか、そんなことってあった......?」


「あっ......? えっ......?」


 七瀬の体は、震え始めた。


「ど、どうしたの!? そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔して! それに、そんなに震えて......」


 俺は七瀬に近づき、額に右手の手のひらを当てる

 それと同時に、自分自身の額に左手の手のひらを当てた。


「うーん......。熱は無さそうだけど......」


「はっ......!」


 七瀬は突然、ベッドの上で後ずさりし、俺から距離を取った。


「えっ!? もしかして、急に触れたから驚いちゃった......?」


「あ、いや......。ご、ごめん......」


 七瀬が突然謝る。


「い、いや。私も悪かったから......。ごめん......」


「......七瀬。申し訳ないんだけど、少し一人にさせてくれないか......? また少し調子が悪くなって、休みたいんだ......」


「うん、分かった......。......それじゃあ、明日学校で......。お大事に......」


 七瀬を励まそうとしたつもりが、逆効果になってしまったようだ。

 俺は七瀬の部屋から出た。



 翌日の朝。

 俺は七瀬を迎えに行った。


「お、おはよう正道。......調子はどう......?」


「......まぁ、何とか大丈夫だ」


「......そっか。それじゃ、行こう」


 俺は七瀬と手を繋ぎ、学校へと向かって歩き始めた。



「......正道、本当に大丈夫?」


 登校中、草に囲まれた道で、七瀬に声を掛けた。

 まだ体調が悪そうだったので、心配になったからだ。


「大丈夫だから......。あまり気にしないでくれ......」


「そ、そう......」


 それから、お互い喋らなくなってしまった。

 しかし、それが気まずくて、俺は何か良い話題が無いか、考えるために頭を働かせた。


「あっ......。そういえば......。正道ってそろそろ誕生日だよね? えーっと確か......。七月二十五日......だっけ?」


「そ、そうだけど......」


「良かったー正解で......。彼女なのに彼氏の誕生日が分からないなんて、最悪だからね......」


「それで、なんで誕生日なんか......」


「せっかくだからさ。誕生日会しようよ」


 昨日、俺は家に帰った後、一人で考えた。

 もし、七瀬の症状が回復してきているのだとしたら、不安になっているはずだ。

 正道だと思っているのに、まるで自分が正道ではないかのような現象に見舞われているはずだから。


 ここで、また精神的に悪くなってしまえば、この計画が意味無くなってしまう。

 だからこそ、七瀬を元気付けて、真実を受け入れられる精神状況にしよう、そう思ったのだ。


「いや、いいよ......」


 しかし、七瀬は否定的だった。


「えーっ!? やろうよー」


 俺は七瀬の手をグイグイ引っ張り、そう言った。


「私が準備するからさー」


「......分かったよ」


「やった! じゃ、楽しみにしててね!」


「はいはい......」


 俺は誕生日会が開けることになり、嬉しくなった。

 七瀬の精神状況が改善するという理由もあるが、それ以上に、好きな七瀬を祝えるというのが、凄く嬉しかった。


 だが、それと同時に、心の奥には、別の気持ちがあった。



 それから、誕生日会を開くことを坂月先生にも伝えた。

 祝い事は人数が多いほど楽しく、嬉しいだろうと思ったからだ。



 七瀬の誕生日の一週間前。

 俺は七瀬にこんなことを言われた。


「なぁ七瀬。なんか今日はやたら声が低いな......」

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