その3「まさか『バニー』にそんな秘密が!?」
説明回(笑)続きデス!
そして今、ついに「バニー戦士」の秘密が明かされる!
その3「まさか『バニー』にそんな秘密が!?」
人形めいた美貌の巫女・大三島さんによって語られる、三ツ矢神社、そして三ツ矢学園に関わる驚きの秘密はまだまだ続く!
「……で、その『問題』ってのは何なんですか?」
ゴクリと喉を鳴らして問いかけた宗春に、思わせぶりな笑みを浮かべた大三島さんが、チラリと横の玉神に視線を向けながら答えた内容とは--!?
「こいつがさ、『デカくなりすぎた』んだよね」
「…………は?」
「やっぱさー、花盛りの女の子たちの《エナジー》はすごいよね。おかげでグングン無駄に育って、ついにはこの有り様。体積で言えば元の1000倍ぐらい?」
「せ……!」
最初は「そんなこと?」と戸惑った宗春だが、そう言われるとすごさが分かる。ひょっとしてこんな地下空間に置かれてるのもそのせいなのだろうか? 少なくともあの「本殿」にはとても収まりそうも無いし……
「でもってもう一つ、キミも体験したように、この学園に《怪異》--いわゆる妖怪や化け物の類いが出現するようになった」
「ええ!? な、何でですか!?」
今度こそホントに驚いて聞き返す宗春に、大三島さんは答える。
「地脈が交わる要所だってのもあるけど、そもそも学校ってのはそういうの出やすいんだ。ほら、よく『学校の怪談』とか『七不思議』とかあるだろ? まして女子校だからさ、そういう話大好きじゃん。しかもド田舎だから娯楽少ないし。人に信じられてこそ力が強まるのは、《神様》も《怪異》も同じなんだよ」
「な、なるほど……そういうものなんですね……」
「あと、そういう自然発生的なのに加えて、わざわざこの地を狙ってくる連中もいてさ。玉神の野郎うまいことやりやがって!って、業界で評判になったんだよ。まぁ今のご時世、どこも信仰集まんなくて困ってるから」
(な、何だか急に世知辛い話になったな……)
あと「業界」って……と、内心宗春がツッコんだその時!
「ソコデ、キイロたち、《バニー戦士》の出番ダヨ!」
どどーーーーん! どうやら出番を見計らっていたらしく、それまで珍しく黙って聞いていたキイロが「ふふん!」とばかりに大きなお胸を前に張る!
「……って、何で急にそんな話に!?」
いくらブレザーに着替えているとはいえ、これだけ大きいやっぱり「揺れる」わけで、慌てて目を背けながら問い返した宗春に、更に大きく胸を張りつつキイロは高らかに言い放った!
「ダッテ、《バニー》はセイギの味方ダカラ!!」
「いやいや、おひいさま。さすがにそれじゃあ分からないって」
苦笑いした大三島さんが補足する。基本、そうした怪異は元成が祓っていたのだが、玉神が力を増すのに比例して、怪異の数も増えるばかり。そんな中、無理がたたったか老年の元成は病魔に倒れ、そこで白羽の矢が立ったのが--
「元成さんの三人の孫娘たち。都合の良いことに、アメリカにいたおひいさま以外はすでに学園の中等部に在籍してたしさ。とはいえ、フツーの女の子じゃムリだから、怪異と戦えるよう玉神が授けたのが、あの《神衣》ってわけさ」
「……なるほど、一応分かったような気はするのですが、でも……」
いよいよここが「核心」とばかりに、宗春はゴクリと息を飲んで続ける。
「なんでそれが、『バニースーツ』……なんですか?」
「え、玉神と元成さんの趣味」
「…………………………は?」
「正確には、元成さんの強い希望に玉神が乗った格好だね。何せ元成さんバニーガール大好きだったし。玉神も大賛成で『じゃ、そういうことで』と」
「そんだけかーーーーーーーーい!!!!」
思わず宗春が叫ぶのは仕方が無いとして、またまた少しだけ補足すると、そもそも元成がビジネス界での成功を夢見たのは、苦学生時代にバイト先の社長から広島一の歓楽街・流川の高級クラブに連れて行ってもらった時に体験した、バニーさんの接客が忘れられなかったからなのだ。
純真な田舎育ちの青年にとって、「社長になればバニーさんのお店に行き放題」は何より強力なモチベーションに……って、それはさておき--
「まさかそんなしょーもない理由だっただなんて……キイロさんはそれでいいんですか!?」
「エ? バニースーツ、カワイイからノープロブレムね♪」
「…………キイロさんに聞いたのが間違ってました……」
あっけらかんと言われてガクッと床に両手を突く宗春。でも、考えてみればあかりさんも碧衣さんもそこはあまり問題にしていないようだった。まぁそりゃ、三者三様でみんなすっごく似合ってはいたけどさ……
「まぁほら、例えば神社でお祈りする場合も、『強い願い』の方が神様的にも叶えてあげなきゃって気になるんだよね。ご加護を授けやすくなるっていうか。だからああ見えてすっごく強いんだよ? あの《神衣》」
「それはそうなのかも知れませんけど~~」
でも、どこまで行ってもバニースーツだよ? そういうお店のお姉さんならともかく、女子高生がしていい格好だとは思えないし、でもってそれで「怪異と戦う変身ヒロイン」って言われても!!
……と、さっきから色々と自分の中の「常識」が揺さぶられるのを感じて、頭を抱える宗春だったが、そんな宗春に向かい、いつになく神妙な顔をしたキイロが続けた。
「ムネリンがトマドうのも分かるヨ。タダ、コレだけは分かって欲しいカナ。ワタシたちはみんなマジメに『バニー戦士』をヤッテるんダヨ。イウなればソレゾレの『正義』のタメに--」
「『正義』……ですか……?」
「ソウ、ソノ意味ではワタシたち三人の『想い』は一つネ。あかりはグランパのノコした学園を守るため、碧衣はあかりへのアピールとあわよくばの下心、でもってキイロは楽しいカラ~☆」
「見事にバラバラじゃないですか!!」
てか、あかりさんは別として、碧衣さんもキイロさんも全然「正義」じゃないし!?
「……トいうことで、イッショに生活するナラ、あるテードは知っててもらわナキャってコトで話したケド、『セツメー回』はソロソロおしまいにするネ。アンマシ長いと、読んでモラえなくなっちゃうシ!」
「おひいさま、発言が色々自由すぎですよ」
タハハと苦笑する大三島さんだが、そろそろお開きにという思惑は同じらしく、「じゃあ、この辺で……」と話を切り上げようとした、そのとき!
--オッホン。そのことなのだがな、お主らは帰ってよいから、後は吾輩と少年の二人だけにさせてくれぬか。
それまでウズウズと話に入る隙を伺っていた様子の玉神が、威厳のある雰囲気を醸し出しつつ、厳かな口調でそう告げる--が、
「は? 何で?」「……ナンだか、アヤシーデース」
--い、いや違くて! べ、別に深い意味とかは無いのだ! ほ、本当に!!
大三島さんとキイロにダブルでジロッとされ、たちまちあたふたと狼狽える玉神。とはいえ、諦めるわけではないらしく、「|ω・`)チラッ」といった感じで二人の顔色をうかがいながらも、恐る恐る提案を続ける。
--ただ、滅多にない機会だし、吾輩だって少しぐらいはこの少年と腹を割って話してみたいのだ……ダ、ダメ?
「…………まぁ別にいいけど。ボクはそろそろ『夜勤』に備えて寝とかなくちゃだし」
別に情にほだされたわけでは無さそうだが、そう言って思いのほか大三島さんがあっさり引き下がると、キイロもまた「ジャア、キイロもハラペコったから帰る~」と同調する。そして、そんな二人に玉神はあからさまにホッとした表情を浮かべて--
かくして、急遽行われることになった玉神と宗春の一対一での直接対話! 果たしてその内容とは!? つづく!
果たして玉神の思惑はいかに!?
続きは次の土曜日に更新します!




